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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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永遠のパズル 14 (#33~34)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/10/08[ Sat ] 22:56
タリアの言葉に何も言い返せず半ば逃げるように艦長室から出てきたアスランは、自室に戻るとドアに背中を預け、そのままずる、と座り込む。その表情は俯き思い詰めた顔をしていて。

確かにタリアの云う通りだった。自分は『軍属』がどういう事か理解した上で今此処に居る。議長に『君は君の信念をもって争いをなくす為に戦ってくれ』と云われ、新しき力を与えられたのだ。その力で世界を、平和を守ろうと心に決め、一度は離れたザフトに戻った筈だ。フェイスといえども、あらゆる特権を与えられた訳ではない。己の信念で動く事は出来ても、議長から下された命は、絶対だ。逆らえば反逆と成りかねる。

しかし。議長は確かに『争いをなくしたい』とアスランに云った。
『その為に君の力を貸してくれ』とも。
カガリの護衛として影から支えるのではなく、力を持つ者だからこそアスラン自身の望むままにその願いを叶えてくれ、と。アスランを信じてくれた議長を今まで尊敬の眼差しで見つめてもいた。

だが現実はアスランの夢を打ち砕く。

議長の言葉は信頼に値する、と心を揺るがす物だが、しかし今。AAとフリーダム、つまりラクスやキラ達を戦乱を招く敵だとして討てと云う。
アスランもこの命令がなければ、彼らと何の関わりがなければ、気付かなかったのかもしれない。

議長の『真意』は、あの穏やかな表情に隠された『真意』は、果たして言葉どおりのものなのだろうか?。

一度湧き出た疑念はアスランの中で警告するかの如くシグナルを鳴らしていた。

以前キラが云っていた『ラクス暗殺未遂』の件を不意に思い出した。
その時は休む間もなく戦乱に巻き込まれるミネルバの状況に振り回され、きちんと調べる事が出来なかった。

だが今は。今ならば。

アスランは全身の力を振り絞って立ち上がる。そして視線をデスクの上に置かれたノートパソコンへと向けた。

その眸は、キラに墜とされ、シンに汚され、タリアにまで侮辱され、逃げ場を失う程に追い詰められ己の無力さに先程まで虚ろだった。
今はひとつの『疑念』によって翡翠の光を取り戻し始め、ぎらり、と研ぎ澄まされた鋭さを含んでいた。





やがてミネルバは評議会から下された命令通り、『AA討伐』の艦隊と合流する。
情報収集のプロフェッショナル達が集めた情報で潜伏場所を特定し、そのポイントへ作戦通りに集い始める。

作戦を実行する数時間前。シンはパイロットスーツを既に身に纏い、レクルームのソファーに深々と座り頭に叩きこんだ作戦とシュミレーションを繰り返していた。
その隣にはレイが当然のように立つ。二人の放つ空気にルームにいた他のクルー達は圧倒されていた。明らかに以前と違うその変貌は更に増していて、誰もが近寄れなかった。特にシンは恐ろしいまでの気迫で、その眸は倒してきた敵の流した血を連想させる程に鮮やかだった。
共に学び、戦場を駆けてきたルナマリアですら彼らには声を掛けられなくて、今も少し離れた所で様子を見守っている。

あと数時間。あと少しで、戦える。
あの『フリーダム』と、戦える。
そして、倒すのだ。絶対に、必ず。

シンはソファーに座ったまま俯いて床を睨み付けた。爆発しそうな程の人間としての『憎悪』と、何よりも強い存在と戦える事への戦士としての『昂揚』と。
それらが入り交じってシンの全神経を研ぎ澄ましていた。

全てはアレが元凶なのだ。
自分が止めようとしたステラが死んだのも、アスランがセイバーを撃墜され、力ある者が不様な姿を晒す事になったのも。
先の大戦でオーブが戦火に包まれたあの日、戦いを更なる過酷なものにしたのすら、今のシンには全てが『フリーダム』の所為だと思えてならなかった。

だが、『アスラン』の事を思い出した途端、憎悪に支配されたシンの表情が一瞬だけ、揺れた。

「…シン?」
シンの隣に居たレイが、彼のほんの僅かな異変にすら気付いて声を掛ける。
「あ…いや、何でも、ない」
「そうか」
ふ、と顔をあげてそう云ったシンの顔には一瞬の揺らぎは消えていて、レイは薄く微笑んで彼の肩を叩く。
「そろそろ時間だ。もうアラートへ向かった方がいいだろう」
レイが出撃準備を促した。
アスランだけでなくレイやルナマリアまで機体を失っている今、出撃出来るのはシンだけだ。同じMSパイロットとしての激励にも思えるレイの言葉を疑う事無く、シンは頷いて立ち上がった。

背を翻しゆっくりとレクルームのドア付近へと歩を進めようとした時。

「………っ」

シンは密かに、息を飲んだ。

開いたドアの向こうに、アスランが、居た。

シンの中で何かが激しく軋む。

「………シン」

アスランが、絞りだすような声音でシンの名を呼ぶ。

シンの部屋で此迄にない程ひどく犯し、失神した彼を見て独り慟哭して以来、二人は一度も会っていなかった。シンは今回の作戦準備に追われ、アスランは自室に籠もって何かをしていたから。

シンは人工照明に照らされたアスランの姿を柘榴の眸に映し、そして『フリーダム』への憎悪を彼にも向けて睨む。

「…あんた、今まで」何やってたんですか?」
「………」
アスランはシンの眸に怯む事無く見つめ返す。以前のように怯える事もなく、その姿は毅然としていて。
「どっちにしろ、今のあんたには出撃出来ませんからね。代わりに俺が行ってきますよ」
何も言葉を返さない相手にシンは尚も挑発する。

「あの『フリーダム』を倒しに、ね」

増長し続けるシンの態度に周囲は息を飲み。
「…っ、シンっ」
「………ルナマリア」
ルナマリアはシンを制止しようとしたが、レイによって止められた。

「あんたの『トモダチ』が乗っているアレを討ち落としてきますから」

その言葉にアスランは眸を見開き、拳を握り締めた。しかしそれでも何も云わずに。

「『トモダチ』に撃墜された、あんたの仇とってきます」

そう云ってシンは嘲笑うと、アスランの横を通り過ぎようとした。
刹那、アスランが通り過ぎるシンの腕を掴み、ぎう、と強く握り締めて。
そして、何も云わないままに彼を見つめて、その手を離した。

「………っ」
アスランに触れられた箇所が熱く痺れた。
しかしシンは逆に睨み返し、そして出撃の為に出ていった。
シンが居なくなった後の室内に安堵を含んだような溜息が誰からか漏れた。

アスランはシンが向かった先を振り返る事無く、沈黙のままで。


想いは、同じ。
見る夢も、同じ。

しかし、信念が二人の関係を歪めていく。

一時は先の未来を、同じ想いで夢見ていた二人は、今この時残された唯一の希望を失った。
Category [ 時系列(No.03)【永遠のパズル】 ]
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