1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
スポンサーサイト
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   --/--/--[ -- ] --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category [ スポンサー広告 ]
戦後シンアス貧乏物語【シン、脱走】02
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2009/06/01[ Mon ] 23:03
「アンタ……何で……っ」

やっとの事で絞り出せた声音は、奇妙に枯れていた。

『……驚かせてすまないな、シン』

思わぬ形での再会、しかも直に触れ合える距離じゃなくて、冷たいモニター越しの対面。驚愕の眼差しを向けるシンに、画面に映るアスランは苦々しい表情で微笑した。その顔を見て、ああ、と実感する。
「アスラン、さ、ん……」
眸に映るその表情は、昔よく見た顔。困ったように笑う、シンがよく知る顔。小さなモニター越しでも、クリアな音声じゃなくても、アスラン・ザラに間違いないと。
ヤキンの英雄と称賛された者。二度もザフトを脱走した裏切り者。シンがかつて憧れた者。
彼は戦後オーブに残るかと思われたが、ザフトに出戻っていたのを問題視され、オーブに居られなくなった。亡命を受け入れてくれたオーブを出て、ザフト兵として再び敵対したのだから、あちらでも罪に問われるのは当然だった。アスランが二度目の脱走をし、またオーブに流れた原因の一端はシンにもあるのだから、それに関しては何も言ってやれない。否、言う権利もない。
国家元首であるカガリ・ユラ・アスハの助力で、アスランは幸いにも裁判になる前にオーブを出国した。だがその後行方知れずとなった、とシンは風の噂で聞いていた。
その彼が、今何故かシンにコンタクトを取ってきたのだ。驚かない訳がない。
「アンタ……ッ、今何処に居るんですか!」
思わず大声で怒鳴り付けていた。シンからすれば当然気になる事だったが、尋ねられたアスランはといえば。
『……それは、言えない』
と、複雑そうな顔をしたまま首を横に振るばかりで。何故!と再度聞いても苦笑して誤魔化された。
「何で言えないんですか!」
『シン……』
心配をかけまいとしたのか、それとも別の理由か。どちらにせよ曖昧な態度で答えを拒否し続けるアスランに、シンの感情は逆撫でされる一方だった。
「アンタって人は……っ!」
シンが大きく吠えた時、それまで静かに二人のやり取りを見守っていたキラが口を挟んできた。
「シン君、アスランの居場所は教えられないんだ、まだ」
『すまない……シン』
「何でですか!」
シンは目の前に居るキラとモニターに映るアスランを交互に睨み、何故言えないのか怒声を上げた。
「シン君、静かにして。騒ぐと外に聞こえるから」
しかし直ぐ様キラにきつく注意され、それ以上は閉口するしかなかった。
確かに余り下手に騒げば、牢の外にまで気付かれるだろう。しかもシンと会話をしているのが行方不明となったアスランならば、二人の対話を仲介したキラの立場が不利になる。幾ら頭に血が昇っていても、それ位はシンにだって判る。
ザフトに追われ、オーブからも捜索され、それだけ現状のアスランの立場は危険なのだ。
「時間が余りないから手短にね」
シンの怒りが沈静化したのを見計らい、キラはアスランに話をするよう促した。ああ、とモニターの向こう側で頷き、挨拶もそこそこにアスランはシンに語り始めた。
『キラから聞いたんだ。色々と大変だったな……お前も』
「…………」
シンの境遇を心配する言葉を口にするアスランに、しかしシンは何も言わなかった。言った所で何か変わる訳でないし、この人に会える訳でもないから。
『俺からキラに頼んだんだ。移送される前にお前と話をしたいと』
アスランの言葉を受けて、シンが目を丸くする。
「アンタが?俺と?」
だってアンタ、居なくなったじゃん。あの最後の戦闘の時俺を吹っ飛ばして、でも月面までわざわざ救助しにきてくれて、その後オーブの慰霊塔の前で会ったっきり、アンタ居なくなったじゃん。
俺はアンタを撃ったのに、アンタも俺を討ったのに。俺はずっと気にしてたのに、アンタは何も言ってくれなくて。そのまま居なくなって。
ああ、俺ってその程度の存在だったんだって。アンタには部下の一人でしかなかったんだって。
なのに、俺と話がしたいって、なに?
シンの中でぐるぐると感情が空回りする。ずっと秘めていた想い、でも、言えない。言っても、もうどうしようもない。
『お前は何も悪くないだろうに』
悪くない?本当に?だって俺はアンタを倒そうとしたんだよ。議長に従ったんだよ。何でそんな事が言えるの。
『これからどうするんだ?』
どうするって、どうにもならないじゃないか。もう決まったんだ、俺の将来。もうどうでもいいんだ、俺の未来。
アスランが何かを言う度にシンは心の中で反論し続けた。声に出して喋った所で、シンの処遇も今後の生き方も変わる訳ではないと諦めて。
アスランは知らない。
アスランが居なくなったという知らせが、シンにどんな影響を及ぼしたのかを。
恐らくは一番シンを判ってくれるであろう彼が、一番シンを判って欲しかった彼が、行方不明となった一報はシンを自暴自棄にさせたのだという事を。
だから、全て拒んだ。罪を免れるかもしれない結果を、それをもたらしてくれようとした救いの手を。
『お前は本当にこれで良いのか?』
良い訳、ないじゃないか。本当は、俺だって。アンタと……いや、もういいんだ。
シンは心の中で呟くのを止めた。戦犯としてこれから監獄に収容されるのだ。もうアスランと話す事もないだろう。今更遅いのだと、そう考えたからだった。

『シン、俺の所に来ないか?』

だから、一瞬何を言われたか理解出来なかった。
自分の気持ちを整理するのに必死だったから。

「…………え?」

思わず聞き返せば。

『一緒に住まないか?』

信じられない言葉が、アスランから告げられた。

「アンタ……何言って……」
つい先程彼は居場所を教えられないと、確かにそう言ったのに。
シンが躊躇していると、またキラが二人の会話に加わって。
「アスランが今何処に居るかは教えられないけど、君が行くのなら教えてあげられるよ」
その言葉に、そういえば、と思い返す。さっきこいつは、まだ、と言わなかったか。余りにサラリと言ってのけたから聞き流していたけれど。
つまりはシンが行かないのなら当然居場所は教えられない。行くのならば教えてあげられる。全てはシンの答えにかかっているのだと。
「…………」
『シン、どうだ?』
絶句したシンに、アスランは言った。
行き場を無くした者同士一緒に暮らさないか?と。
予想外の展開に、頭がついていかない。モニターの前ですっかりフリーズしてしまったシンに、キラは容赦ない言葉を投げ掛ける。
「悪いんだけど、今決めてくれる?」
「い、今!」
考える猶予を与えぬ発言にシンが大声を上げると、キラは、静かにして、と注意して。
「時間ないってさっき言ったよね?」
と、爽やかな笑顔を浮かべて、シンに早く答えるよう脅してきた。
確かにシンを移送する時間は迫っている。のんびりアスランと話をしている余裕などない。だが、シンの未来を変えるかもしれない重要な決断を直ぐにしろとは、幾ら何でも酷すぎやしないだろうか。
「そんな急に言われても……」
『シン』
答えに詰まり狼狽えていると、不意にアスランがシンの名を呼んだ。

『俺の事が嫌いなら断ってもいいんだぞ?』

嫌い、って。

ああそうか、俺いつもこの人に逆らってばかりだったから。嫌ってるって思われてたんだ。

無理もないけど。

「嫌い……じゃ、ないですけど……」

寧ろ……と本心を言いかけて、キラに邪魔をされた。

「じゃあ決まり。シン君、これから脱走だから」


脱走。

ええと。

エーーー!



この瞬間、シン・アスカはアスラン・ザラと同じ脱走兵という肩書きを背負う羽目になった。
Category [ 戦後シンアス貧乏物語 ]
Web 拍手
少しでもお気に召して戴けたならぽちっと 押してあげて下さいw

Web拍手

気紛れでお礼SSを更新中。 お返事は日記の方で不定期にしてたりしてなかったり。 日記へはリンクコーナーからどうぞw。
カレンダー
最新記事以外のログはカレンダー日付からどうぞ。
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
サイトについて
当サイトはガンダムSEED DESTINYの二次創作小説サイトで、シンアスオンリーで活動中です。 女性向の同人的要素満載な上、性描写を思わせるSSも多数UPしております。 (もろそういうのは全てR18裏に隠しております) そういったものが苦手な方、及びシンアスに興味のない方は、閲覧つらいかと思われますので回れ右して下さいませ。 そして学校、会社等の公共施設での閲覧もご遠慮下さい。

現在仮オープン中ですが、いずれ正式に開設予定。 しかしこれからオフ生活が繁忙期に突入な為、 年内の開設はけっこうきつい今日この頃。
ブログ検索
メール
管理人へのご連絡はこちらから。シンアス同志少ないのでいただけると泣いて喜びます。 ご意見ご感想、好きなシンアスシチュ等何でもOKですのでお気軽にどうぞ。

メールフォーム

お返事は余程の事がない限り必ずしております。 シンアスシチュが管理人のツボにはまったら書く可能性大w。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。