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戦後シンアス貧乏物語【シン、脱走】01
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2009/05/24[ Sun ] 21:58
「被告シン・アスカに判決を言い渡す」

裁判官の声が、静粛な場に響き渡る。
然程大きな声ではないのに、与える威圧感は凄まじい。その証拠に、その場に居る皆が、ゴクリと固唾を飲んで次の言葉を待った。

ただ、一人を除いて。

「被告を終身刑に処する」

オオ!ともアア!ともつかぬどよめきが一斉に沸き起こる中で、唯一シンだけは平然と裁判官の判決を聴いていた。

シン・アスカ。戦時中はザフトのエースとして賞賛を受けた者。戦後、今や侮蔑と批判の中で生きるのを強いられた者。

被告人として出廷したシンは俯く事も、勿論取り乱す事もなく、真っ直ぐを見つめ己に下された判決を平然と受け止めている。
否、平然とではない。呆然と、が正しいかもしれない。
というのも、この場の主賓として招かれた時からシンは半ば呆けたような顔をしていたのだ。真っ直ぐ裁判官の顔を見ているように思えても、その実何処を見ているのか定まらない視線であった。
今も判決を下される瞬間も無表情であり、裁判官の声を大人しく聴いている。その様子に傍聴席に居るシンをよく知らぬ者達からは、戦犯の癖にふてぶてしい態度だとか、反省をしていないのかとか、そんな声が次々と囁かれた。


でも、シンにはそれすら、届かなかった。






判決を終え、警備兵に両脇を抱えられてシンはその場から連れ出された。収容施設に連行される為裁判所の廊下を歩いていると。
「シン……」
不意に背後から声を掛けられた。警備兵に促されゆっくりと振り向けば、其所にはつい最近まで一緒に過ごしてきた戦友のルナマリアが居た。わざわざシンと話す為に後を追い掛けてきてくれたのだろう。しかしルナマリアの表情は、茫然自失となったシンにでも判る位とても固かった。
「シン……何で……」
ルナマリアが弱々しい声で喋る。声音どころか表情も明らかに冴えず、普段の明朗活発な姿からはかけ離れている。
「言ってくれたら良かったのに……」
そう言った後黙り込むと、ルナマリアが泣き崩れた。彼女が泣くのには理由があった。決してシンの判決を聴いてショックを受けたからではない。シンの態度に、ショックを受けたのだ。
両手で顔を覆いさめざめと泣くルナマリアに、シンは言った。

「ごめん、ルナ」

そして。

「もう……いいんだ」

と。


裁かれるだけの事はしてきた。その自覚はある。
再び起きてしまった戦争を更に悪化させた根源、デュランダル元議長に賛同したのは他でもない、シン自身の意思である。そして議長の手先となって戦場を掛け廻り戦い続けたのも、事実。
ルナマリアを始めとして、シンをよく知る者は、あの場合仕方がない、軍に属するのならば逆らえない、と援護してくれた。確かに雄弁なデュランダルに唆され利用されたと、周囲に言われなくとも今ならシンにも判る。だが、そのデュランダルの言葉を正しいと思ったのは、紛れもなくシン自身なのだ。それを追及されてしまえば反論の余地がない。
否、今更するつもりもない。シンの本心は被せられた罪を背負う、ただそれだけだった。
信じていたデュランダルを失い、仲間だったレイを亡くし、これから一体どうしろと言うのか。既に帰る家は無い。待っていてくれる家族も、亡い。
すっかり自暴自棄になっていたシンは、助ける為に裁判で証言しようとしたルナマリアを拒み、退路を絶つかのように全ての罪を被ろうとしたのだ。
だから、ルナマリアは泣いた。仲間を救えなかった悔しさと、仲間に拒まれた悲しさに。
言い渡された判決は、終身形。一生監獄の外へは出られない。幾ら上層部の命令とはいえ、まだ年若く精神的に不安定でもあったシンに、それ程の悪意があったとは思えない。余りに重すぎる判決に、ルナマリアは今この場でも異を唱えたかった。けれど。

「もう……どうでもいいんだ、ルナ」

シンは確かにそう告げた。

無気力な表情のままで。


もう失うものはないんだ。もう放っておいてほしいんだ。もう……疲れたんだ。

深い絶望を表情に刻んだシンに、ルナマリアはそれ以上何も言えなくて。

警備兵に連行され遠ざかっていくシンの後ろ姿を、ただ茫然と見つめるしかなかった。






判決を下された日から数日、とうとう監獄に移送される日になった。その時を牢の中で大人しく待っていたシンの元に、一人の兵士がやってきた。
「シン・アスカ、お前に面会申請がきているぞ」
と言われたが、これからシンは監獄に向かうのだ。きっとその迎えなのだろうと、シンは狭い牢に唯一あるベッドに腰かけたまま、顔を上げる事もしなかった。全く無反応のシンの様子を気にしていないのか、兵士は後ろを振り向き、背後に控えていた誰かを呼び寄せる。
「シンくん、元気だった?」
その声を聴いて、弾かれるようにシンは面会希望者だという声の主を見た。
「アンタ……」
シンはその人物の顔を見るや、険しい顔つきになった。ずっと曇っていた眼光に、かつてミネルバに居た頃のような鋭い光が宿る。
「相変わらず嫌われてるね、僕は君に」
シンに睨まれ苦笑するのは、今一番会いたくなかった奴だった。
キラ・ヤマト。ついこの前までシンの最大の敵だった男だ。戦時中は所属不明艦に乗り、やがて正式にオーブ所属となった男は今はザフトに居る。新しくプラント評議会議長となったラクス・クラインに指命されたからである。一個艦隊を率いるのを許された白服を纏うキラとは、かつて何度も死闘を繰り広げ、一時シンがキラが駆るフリーダムを撃墜した事もあった。その時の戦闘が原因で、ミネルバ内で派手にもめた事さえある。

……もう、その時の喧嘩の相手は、此処には居ないけれど。

いや、そんな事は今はどうだっていい。問題はこいつが何故此所に来たか、だ。
「君と話したいっていう人がいるんだ」
怪訝そうに睨むシンに、キラは小さなモバイルパソコンを取り出した。
だが当然シンは一層いぶかしむ。終身刑を受けたシンに、そう簡単に面会許可が下りるとは思えない。しかも外部との接触などもっての他だ。下手に反応すれば余計不利な立場になりかねない。
しかし、警戒するシンをよそに、キラはにこやかな笑顔を浮かべて言った。
「大丈夫、今此処に居る看守は僕らの仲間だから」
僕ら、とはこの場合キラと、そして現プラント評議会議長であるラクス・クラインの事だろう。戦時中の事情はよく知らなくとも、二人が深く繋がっている事位シンにだって判る。事実、キラの背後に控えていた兵士は無言で頷いた。
ならば一先ず信用して良いか、と思い直し、シンは初めて立ち上がり、ゆっくりと鉄格子越しにキラに対面した。
「誰ですか?」
「直ぐに判るよ」
聞いても答えないキラに苛々しつつ、シンに向けて差し出された画面を覗き込む。

「…………ッ!」

絶句した。


「ア、アンタ……ッ!」




アスラン・ザラ。


『久しぶりだな……シン』

彼が、映っていた。
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