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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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月ひとしずく 15 (#43~45)
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2008/09/14[ Sun ] 23:25

自らの命を危険に晒してまで得てきた情報を、アスランが皆に伝え終えた時だった。一区切りがつくのを見計らうようにキラが言い出した。
「アスラン、そろそろ医務室に戻らないと」
まだデスティニープランの本質を告げたばかりだ。どう立ち向かわねばならないか、皆で話し合い策を練らねばならぬというのに、こんな所で中座しろと言うのか、キラは。
「いや、大丈夫だ」
「駄目だよ」
当然嫌だとアスランは拒否したが、しかしキラはどうしても駄目だと首を縦に振らなかった。
「まだ怪我治ってないでしょ。顔色悪いよ?」
それを指摘されると、もう反論の余地はない。確かにまだアスランは満身創痍な状態である。明らかに無理をしていると判る顔色では強がっても意味はないし、はっきりと言われたせいでカガリがキラの味方についてしまった。
「そうだぞ、アスラン!」
「カガリ……」
「これからお前にも協力してもらわなきゃならないんだからな!」
「…………」
只でさえ分が悪い状況で、更にカガリまでもアスランに戻るよう言われては、どうしようもない。元より口下手なアスランには、この双子に勝てる自信は無いのだから。
「ね?アスラン?」
「……判ったよ」
ここは従うべきかと判断し、アスランはキラに苦笑しながら頷いた。
カガリが今言った、協力、という言葉には、返事をせずに。
「じゃあ何かあったら呼んでくれ」
そう言い残し笑ったアスランの表情は、どこか儚げだった。






来た時と同じようにメイリンと共に医務室に戻る帰路、付き添いとしてキラもついてきてくれた。メイリン一人では男のアスランを支えるのは辛いだろうという理由だったが、何かが引っ掛かった。肩を貸して支えながら隣を歩くキラの表情には、いつもの穏やかさが無い。思惑か何かを腹に抱えて、でもそれを言葉にはしない。伊達に長い付き合いではない、キラのそんな様子がアスランには気にかかるのだ。
実際キラは先程から何も喋らない。だからアスランも黙ったままだ。沈黙の中、医務室までの廊下を歩くのは決して良い雰囲気ではないだろう。二人の一歩後ろを歩くメイリンも恐らく困惑しているに違いなかった。
「キラ、俺に言いたい事があるんじゃないのか?」
本音を隠されるよりも真正面からぶちまけられた方がマシだと、アスランは敢えてキラに尋ねる。するとキラは勘づかれていた事を驚きもせず、重く閉ざした口をやっと開いた。
「じゃあ一つだけ聞いても良い?」
「ああ」
「どうしてさっきカガリの言葉に頷かなかったの?」
「…………」
やはりそれか、とアスランは内心溜め息をつく。笑って誤魔化しても、キラには見透かされていたという訳か、と。
先程カガリはアスランに、これからも協力して欲しいのだとはっきり言った。だがアスランは笑みではぐらかして答えなかった。
彼女の元を離れ敵地に向かい、再び姿を現した時には彼女の敵になっていた。しかも、自らの意思で。そんな不実を犯しながらも、ザフトを離反し戻ってきたのだ。彼女にとって、裏切者の自分が。
カガリがどんな想いで自分を案じてくれていたか、今も変わらず受け入れてくれているのを判っているからこそ。
アスランは肯定出来なかった。
「君の事だから気にしてるんだろうけど……でもカガリの前ではこれまで通りでいてくれないかな」
「キラ……」
「カガリは今必死だから。他の事を気にしてる場合じゃないんだ。だからアスラン、お願いだよ?」
「……ああ、判った」
問いかけに答えないアスランに、キラは言葉を濁しながら己の意見を告げてきた。アスランが協力する事に迷っているのを知っているかのような、多少含みを持たせた言い方が気になったけれど、頷くしか術はない。
アスランが願いを聞き入れてくれたのをその目で確認すると、キラはやっと表情を緩めてにこやかに笑ってみせた。
「でも……よく気付いたよね」
「デスティニープランの真相を、か?」
「そう」
然り気無く話題を摩り替えられたのにも何ら違和感はなかった。というよりキラ達からすれば当然の疑問だったからである。
「俺も最初は偶然だったんだ。幾ら探っても糸口が見えてこない時、偶々俺の部下達のデータを確認してみたんだ」
それは単なる思いつきだった。議長が選んだ選りすぐりの者達が乗るミネルバ、その中でも特に優秀とされた彼等パイロット。議長自ら復隊させたアスランに任せる程の人材なのだ、と。合流して直ぐに確認した彼等のデータを改めて見直しただけだった。

しかし、気付いた。

議長からの評価と、議長に誓う忠誠、それは比例しているのだと。

ザフトは年齢や性別関係ない実力が全ての軍隊だ。ルナマリアが女性だから、シンが男性だから、そんなのは理由にならない。けれど与えられた最新機からしてもシンに対する議長の評価の高さは伺える。そしてシンもまた、議長に心酔している。

まるで、ザフトに戻ったばかりの己のようだ、と。

シンも、アスランも、同じだと。

議長の駒の一つである、と。


そしてアスランがシンがザフトに入隊しミネルバに編成されるまでの経緯を糸口にして、議長の真意を調べ始めたのを気付いたかのように、状況は議長に有利に、アスランに不利に動き出した。
それでもアスランは周到に隠蔽されたデスティニープランをやっとの思いで探り出したのだ。

気付いた自分は云うまでもなく、気付いていないシンを。

議長の駒から解放する為に。


只、彼をあの場所から連れ去るのは出来なかったけれど。そうするしか方法はなかったのだと、今も思っているから。だから後悔はしていない。


「アスラン?」
「……あ、ああ。すまない」
つい物思いに耽り沈黙してしまったアスランに、キラが声を掛ける。
「その部下って……」
「え?」
急に小声で話すキラに、うっかり聞きそびれたアスランが首を傾げる。

「シン、って子?」

何故そんな事をキラが尋ねるのだろうか。

「その子、アスランとどんな関係だったの?」

一気に世界が暗転するような、そんな不安がアスランを襲う。

「君が意識不明だった時、シンって子の名前をよく呼んでいたから」

それ以上は聞きたくない。キラの口からは聞きたくなかった。

「もしかして君が議長の計画を探ったのも、ザフトから離反したのも、……カガリに協力するのを躊躇うのも」

この時初めてアスランはキラの真意を悟る。


「シンって子の為?」




探られていたんだ、俺はキラに。

此処に来てからずっと。
Category [ 時系列(No.08)【月ひとしずく】 ]
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