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【永遠の夜】-シン-(2007/09/02ネタ追加)
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2007/09/01[ Sat ] 20:00
昔、アンタなんか、とシンに散々なじられた事があった。
今、アンタなんか、とシンが噛みつくようなキスをする。


昔は昔、今は今。

けれど、どうしても拭えない想いが、たったひとつ。

アスランの中でずっとくすぶり続けていて、消えない。





「ん…ぅ」
不意にアスランの隣でシンが小さくうめいた。その声音は決して苦悶ではなく単に寝惚けて洩れた吐息なのだけれど、それでもアスランは僅かに緊張してシンの寝顔を覗き込んだ。

良かった、眉間に皺が寄っていない。
悪夢を、見ていないんだな。

ほぅ、と安堵してアスランは溜め息を静かに洩らした。


向かい合うようにして並んで眠る夜、共にその躯には何ひとつ身に纏っていない。
昨夜はシンの誕生日だった。だから愛しあいながらアスランはシンを祝い、シンはアスランに感謝し、そうして日付が変わるまで互いの愛を確認しあった。
誕生日という祝うべき日に気分が盛り上がったのか、何度も交わったせいでシンは疲れて眠っている。アスランも心地好い疲労に浸ってはいたけれど、じわじわ迫りくる睡魔に身を任せる訳にはいかなかった。

今夜、シンが穏やかに眠れるか否か。それを見届けるまでは。



『アンタ、俺を見捨てて居なくなった癖に!』

かつて戦時中にそう罵られた事がある。
最終決戦ともいえる苛烈な争いを生き延びて、そうして再会した戦艦の格納庫でシンがアスランを激しく罵った。
その当時敵となってしまっていたアスランに月面に撃墜され、皮肉にも敵艦に救助されてしまったからか。
否それだけではない。
一度全てを喪ったシンが再び手にした大切な宝物、だった筈の人に裏切られ、捨てられた。それが敗戦のショックもあって更にシンを混迷させアスランを罵らさせたのだろう。
仕組まれた裏切りであったとはいえ、確かに彼を置いて逃げたのは紛れもない事実。だからアスランはシンに謝罪しか云えなくて。

『裏切り者!』

激昂したシンが力任せに押し倒したアスランの首を、絞めた。


『裏切り者ーーッ!』


そう叫びながら泣いたシンが、今も忘れられない。



それでも世界は少しずつ過ちを認め、正しながら復興しようとしている。
それはシンとアスランの身近でも同じで、今二人は共に暮らしているのだけれど。

深く刻まれたシンの心の疵は今も完全には癒えていない。
時折喪う夢を見る。
その都度うなされては眠りながら泪を溢す。裏切り者と罵った相手にすがりついて知らず救いを求めるシンに、アスランは胸を痛めながらも見守るしかなくて。


あれは何時だったか、偶々散歩をしていた市街地の公園で、少し休もうと腰を下ろしたベンチで周囲を過ぎる民間人達の平和な光景に、シンが呟いた事があった。

『俺、此処に居ていいのかな』

人をあやめてきたシンが言う。

『勿論だ、シン』

人をあやめてきたアスランが答える。


どちらも罪を背負う罪人だ。
問う資格があるのか、答える資格があるのか、判らない。
けれど、それでも願いたい幸せがある。



今年も何事もなく迎えられた誕生日、シンはひとつ歳を重ねる。
育んでくれた父や母にひとつ近付いて。
可愛がった妹とはひとつ、また離れていって。

俺だけ、また誕生日を迎えた、と。
でもアンタは違いますよね、と。

俺がひとつ歳をとってアンタに近付いて、でも直ぐにアンタもひとつ歳をとって。


結局俺達の年齢差は縮まらないんだ。

ずっと、ずっと、永遠に。


それはアスランが生きているから。シンの傍で生きているから。

たったそれだけでも今のシンには救いなのだ。ぽつりと呟いたシンの言葉にアスランは痛感せざるをえなかった。


事件や事故はある種流行のようなものだとアスランは考える。皮肉に満ちた考えではあるが、しかしあながち間違いではないかもしれない。
酷いニュースに胸を痛めても、時が過ぎれば記憶は薄らぐ。次々と起こる悲劇に同情しても、新たなニュースが報道されれば直ぐにそちらに注目する。
だが被害者も加害者も、当事者達は決してそうではないのだ。

いつまでも悪夢のような記憶に囚われて抜け出せない。


シンは戦争の被害者でもあるけれど、加害者にもなってしまっている。それはシン自身よく判っているし、今も彼なりに償っては己の疵を癒している最中である。
アスランも同じだからこそ、シンの苦痛が痛い程伝わって。


だから今夜、シンがうなされなければ良い、と願うのだ。
過去から離れていく現在、未来に近付いていく現在。
それを受け入れた時初めてシンは救われるだろうから。
今夜悪夢を見なければ、恐らくきっと。


シンは大丈夫だろう。そして、俺も。


シンの疵はアスランの傷。
アスランの苦悶はシンの悪夢。

互いが悪夢であり、幸福でもある。


俺もお前も苦しんできたんだ。
これからも罪を償う度に苦しみは続くけれど、二人で居る時だけでも救われたいじゃないか。

せめて一筋の光を、互いの中に感じたい。






「ん…」
「シン?」
再びシンが寝言を呟いた。まさか悪夢を?と恐る恐る覗き込めば。

「アスラン…さん………好き」


父や母ではなく、妹でもステラでもなく、アスランを。

シンがアスランを呼んだ。


悪夢を見ずに、幸福を夢見た、誕生日を迎えたばかりの夜。

何処に居るか判らない神に向かってアスランは感謝して、一人泣いた。横で穏やかに眠るシンの寝顔を見つめられなくなる程、声を押し殺して、一人嬉しさに泣いた。





昔、アンタなんか、とシンに散々なじられた事があった。
今、アンタなんか、とシンが噛みつくようなキスをする。

俺を裏切って捨てたくせに、と罵った唇で。
アンタが好きです…ずっと、と永遠を囁く。


今穏やかに眠るシンと、喜びに泪を溢すアスランが共に居るベッドの下には、ひとつのプレゼントが在った。
それは祝い事に疎いアスランなりに必死に考えて、考え過ぎて直前になって漸く決まった、シンへの贈り物だった。

20070901195321


シン、誕生日おめでとう。
幸福な未来であるように、ずっと祈ろう。


ずっと、ずっと、永遠に。
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