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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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【柩】1 -赤い海-
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2007/05/10[ Thu ] 21:42
天と地が引っくり返った、ように見えた。



天は空、地は海、どちらも同じ青だったけれど。
空の蒼を映した海の碧だから天地が逆でも大して違和感はなかった。それよりも別の物に集中していたから、今自分が天に昇っているのか、地に墜ちているのか、気にする余裕などなかった。


天よりも地よりも、あの機体を。

敵、を。

倒すんだ、俺は。



それしか、シンは考えていなかった。




だから母艦であるミネルバに帰還した時、シンはまた憂鬱な面をした上司に小言を云われてしまった。出撃する度繰り返すシンの危険な独断による行動、その後帰還した母艦で決まって繰り返されるアスランの常識に固められた注意。
自分は正しい、間違っていない、と信念に従ったシンからすればアスランの言葉はうざったいだけで。当然これ以上ない程の不遜な態度で上司の小言を聞かされ羽目になる。アスランもまた普段から景気の悪そうな面構えが更に悪化し、怒っているのか嘆いているのか判別つかぬ態度で部下を叱る。

無論互いに良い印象は、抱いていない。
煩い上司、生意気な部下、そんな関係だった。

「どうしてお前はいつもそうなんだ」
「…何が、でありますか?」
「判っている癖に知らない振りをするな、シン。戦闘を軽く考えるのは止めろ。お前一人だけが相手と向き合っている訳ではないんだぞ?」
「俺がいつ戦争を軽く考えてたって云うんですか!」
「では何故命令を聞かない?。我先に突進するだけが戦いじゃない。仲間と連携をとって慎重に動かなければいけないんだ」
考えもなしに特攻するな。先を読まずに行動するな。周りを視ずに仕掛けるな。毎度のお約束となった台詞をアスランは真剣な面持ちで告げた。シンも負けずに言い返すが、頭に血が昇ったシンに理論で固めたアスランの発言をそう簡単には崩せなくて。
自機から降下したばかりの格納庫で、戦いの余韻を残すパイロットスーツを纏ったままで、暫し二人は言い争った。周囲には当然仲間達が大勢居たが、皆いつもの事だと遠回しに見守るだけだった。
「いいか、俺達は無駄な争いを止める為に此所に居るんだ。新たな火種を巻き散らす為に居る訳ではない」
「判ってますよ、そんな事!」
いつもいつも云われ続けて暗記してしまう程シンは出撃する度に叱られてばかりだ。それでも今日は頬を叩かれなかったし、胸ぐらを掴まれたりしなかった。只、酷く悲しそうな冷たい顔をされて。
「お前は何をそんなに急いでいるんだ?」
と、意味の判らない事を唐突に聞かれた。
何だよそれ、と反論を口にする前に、その上司は溜め息を洩らすとあっという間にシンから離れて何処かへ行ってしまった。

残されたシンの胸に、アスランから一方的に投げ掛けられた言葉がくすぶり続けて。打ち消そうにも、なかなか消えてはくれなかった。




それでなくとも戦闘で高ぶった神経が沈静化していない。加えてアスランからの楔のような言葉が思考を支配しそうで。シンは苛々する自分を持て余して、パイロットスーツから着慣れた赤の軍服に着替えた後、その脚で甲板へと向かった。
いつも苛ついたり落ち着かない時、決まって訪れるシンの安息の場所。何故だろうか甲板で潮風に吹かれていると何処か郷愁にも似た気分に浸り、いつしか落ち着きを取り戻す事が出来た。
だから今日も安らぎを欲してシンは甲板へと向かったのだけれど。


夕焼けに照らされた赤い海、肌寒く感じる潮風に吹かれて、彼の人はシンより先に其処に居た。

「…ッ」
「ああ、シン」
「………アスラン、さん」
其処に居たのは、アスラン、だった。
甲板の手摺に捕まりながら肩まで伸びた藍色の髪を潮風にたなびかせ、彼は赤味を増して沈もうとする太陽に向かって佇んでいた。
シンに呼ばれ振り向いたその姿は太陽の赤を溶かしたかの如く、鮮やかな緋に染まって見えた。
「シン、さっき俺が言った事だが…」
「何ですか、また説教ですか」
荒ぶる気を鎮めようと甲板に来たのに、再び始まった説教がシンには堪らなく鬱陶しくて。あからさまに不機嫌な顔をし立ち去ろうとした背中に、アスランが淡々と語りだした。
「確かにインパルスはお前にとって大事な機体だ。戦場ではお前の代わりに手足となってくれる」
説教かと思いきや淡々と語られ出した独白のような言葉。予想していなかった様子にシンは思わず振り返ってしまったが、肩越しに見たアスランは既に視界にシンを留めてはおらず、海原に消え行く赤い太陽を翠の眸に映していて。
「敵を撃つ武器でもあるし、お前の身を守る盾でもある」
それでも彼の告白は尚静かに続く。何気無く掴んでいた甲板の手摺を、ぎゅ、と一瞬だけ強く握って。
「だがな…シン」
何かを迷い言い淀むかのようにアスランは一度口を閉ざし、そうして覚悟を決めた唇はまた言葉をつむいだ。


「お前の、棺、でもあるんだ」



棺、と確かに云った。


耳を疑うまでもなく確かに、柩、と。アスランはシンにはっきりとその言葉を告げたのだった。

シンが自分の手足のように扱う機体は、剣であり盾であると同時に、シンの亡骸を納める、柩、であると。

あれはお前の、柩、なのだと。






あの時アスランは、シンにそう云っていた。

そんな馬鹿な、と直ぐに否定したかった。何故今そんな事を言い出すのか、と。

アンタあの時どんなつもりで云ったんですか。

剣であり盾であり、けれど、棺である、と。

俺に一体どんなつもりで。


アスランの云った言葉の意味を、柩だと告げた彼の真意を、確かめたいと願った時。

もう彼は居なかった。
否、居なくなってしまった。


シンが討ってしまったから。
シンが棺にしてしまったから。

アスランの乗る機体をシンが自らその手で柩にしてしまったから。

シンが亡骸になる代わりにアスランが亡骸となってしまったから。



あの時見た光景。

蒼い海を染め変える程赤々と燃え盛る焔のような太陽と、負けぬ位赤に染まった軍服を纏ったアスランの姿。

今でも忘れられない程。



シンの心に鮮明に焼き付いていた。
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