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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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『わるいゆめはもうみない』
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/05/12[ Fri ] 21:48
「………ッ、ん、ぅ…っ」

ふと目覚めれば、隣で眠るシンがうなされていた。
「…シン」
それまで仰向けに眠っていた彼の肩に寄り添うようにして、アスランは横向きになって心地よく寝ていたのだけれど。
耳元を掠めるシンの呻きに意識を揺り動かされ、ゆっくりとその身を起こした。
肘をついて上半身だけを起き上がらせ、そうして覗き込んだシンの顔。
「…ッ、う、うぅ…ッ」
眉間に皺を寄せ、額には汗までも滲ませて。
まるで己の喉を掻き毟るかのようにアスラン側とは逆の手でひっきりなしにあがいていた。
「………」
藻掻き苦しむシンの姿にアスランは沈黙を保ちながら溜息をひとつ洩らす。

シンは今、悪夢を見ている。

ここの所毎晩、悪夢にうなされては苦しみ続け、そうして弾かれたように飛び起きる。
その度に隣で眠るアスランの姿に気付いて安堵したり、起こさなかっただろうかと不安がってみたり、起こしてしまっていれば無理に強がって何でもないと背を向けて寝たふりをする。
今日は偶々アスランは目覚めたけれど、シンの悪夢もまだ覚めないけれど。
そっと指を伸ばして額にかかる長い前髪を払ってやれば、やはり赤い眸は未だ目蓋に隠されたままだった。

「………ッ、こ、ろ、…てや、る…ッ」

それまで意味をなさない呻きを洩らしていたシンが何かを呟いた。

「殺して、や…ッ」

今度はそれがはっきりと紡がれてアスランにも伝わった。
額に触れていた指先が一瞬だけ離れた。

「………ゃ、ご、め…ッ」

すると今度は違う意味の言葉をシンが口にして。

「ごめ…なさ、ぃ…ッ、ご、め………殺、す…つもり…なかっ…た…」

全く逆の意味をなす言葉に、アスランはまた溜息を洩らして。
シンが今見ている悪夢の見当はついていた。
彼はオーブで起きてしまった戦闘で家族を失った。
巨大な力の前にはまだ幼き少年の力など無きに等しい。
望んでもいない戦争で、巻き込まれて奪われ尽くして。
理不尽な孤独という結末に幼い少年は憤怒以外の感情を忘れたかの如く。
そうして襲った『敵』を恨み、奪った『戦争』を憎しみ、守ってくれなかった『母国』を捨てた。
けれどそれから先のシンをずっと支えてきた負の感情によって、再び繰り返された戦争の最中、今度はシンがそれらと化したのだ。

襲うもの、奪うもの、守らぬもの。

自分から全てを奪った憎しみの対象が、いつしか信念のもとに突き進むうちに、自らが憎む対象となってしまった事実。
シンは今もまだその悲しき連鎖に囚われたままだった。

やっと戦争は終わったのに。
平和に暮らせる時がきたのに。

それでも尚シンは救われないままだ。

「………っ、い、や、ア…ス、…ラ…ン」

まるで引き付けを起こしたみたいにシンが途切れ途切れにアスランを呼ぶ。
「シン…?」
うなされるのは頻繁になりつつあっても、名を呼ばれたのは初めてで。
アスランは僅かに目を見開いて汗を掻き苦しむシンを見やる。
そして、指先を頬に伸ばした刹那。

「…ア、スラ…っ、行か、ない…で」

と、呟いたシンが、一粒の涙を零す。

行かないで、置いてかないで。
独りに、しないで。

シンは夢の中でアスランに縋ろうとして藻掻いて。

今、アスランが隣に居るのに。
共に暮らし、共に寝ているのに。

行かないで、と泣き縋るシンが、哀れな程愛しかった。

「行かないよ、シン…俺は行かないよ」
起こしていた躯を再び寝かせ、アスランは彼を抱く。
腕の中に招きいれ、すっぽりと抱いたシンの頭を胸元に抱き寄せて。
まるで泣く子をあやすかのように。
「お前を置いて、もう何処にも行かないから…ずっと傍に居るから…シン………」
眠るシンに呪文の如く繰り返す言葉。
シンにとって戦争は悪夢そのものでしかない。
家族を奪い、人間を殺し、そして。
アスランを、殺そうとした。
愛しい筈のアスランと、殺す為に戦った。
アスラン自身もかつて母を奪われ、仲間を殺され、親友の仲間を殺し、そして親友と殺しあった。
けれどキラとは再び生きて再会し手を取り合えた。
傷ついた精神はカガリが癒してくれた。
だからシンの悪夢を誰よりも理解できた。
似過ぎた境遇の彼を、更に同じ悪夢に囚われるのを回避してやるどころか、彼にとって悪夢の象徴と化してしまった。
だがシンは離れたくないと云ってアスランと共に在る未来を選んだのだ。
そんな彼を助けてやりたい、救ってやりたい。
「シン…シン」
抱き寄せた黒髪にキスをする。
「ア、スラン…」
「あぁ…俺は此処に居るよ」
すると体温に安心したのか幾分か安らいだ声音でシンがアスランを呼んだ。
優しく髪を撫でてやりながら頷けば、シンは眠りから覚めないまま、アスランに擦り寄って。

「…アス…ラ………」

ふ、と微笑って。

漸く落ち着きを取り戻して安らかな寝息をたて始めた。

「シン………」

アスランはまた名を囁く。

どんなに苦しんでも、悪夢を見続けていても。
それでも俺を選んでくれたお前の為に。
俺はずっとお前と居るよ。

心の中で繰り返し、繰り返し。

本当はアスランの方が、シンがなくてはならないのだけれど。
彼を救えなかった罪に囚われているのは、悪夢の象徴でしかない自分を傍に置いてくれた彼を、苦しめると知って尚離れないのは。

アスランが、シンを、失いたくないからだ。

シンがアスランを失いたくないと想うのと同等の意味だ。

ともに、何もかも失った者同士。

同情と憧れから始まった恋はいつしか依存の愛に変貌して。

それでも、互いの目に見えない傷は互いでしか癒せない、舐めあえない。

「シン………」

いつしかすやすやと眠りだしたシンを抱き締めながら、アスランもまた彼と同じ夢を見る為に目蓋を閉じた。

互いに囚われあった、幸せな悪夢を。
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