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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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数多の疵を癒す人
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/04/16[ Sun ] 14:45
「アンタの躯、傷だらけですね」

まだミネルバに居た頃にたった一度交わる行為をした。
その時に、シンに、云われた言葉。
一糸纏わず晒した肌を白いシーツの上に寝かせ、組み敷いた躯をしげしげと見つめる少年の睦言。

それが、今も、忘れられない。



実父に撃たれた肩の傷、親友と殺し合った時に負った数多の傷、愛しいと感じた少女に出逢った時に刻まれた脇腹の傷。

アスランの躯には数えきれない程の疵跡がある。

引きつれたように皺になった箇所や薄くなった箇所もあちこちに散らばる躯を、その時の少年は少し辛そうな表情をしながら愛おしいと抱いてくれた。

アスランが背負わされた数多の罪と数多の疵。
肩代わりは出来ないけれど、支えてあげたいと。
まだ幼さの残る顔で、まだ細い二の腕で、シンはアスランを抱いて昂ぶらせて癒してくれた。

だから、尚更、今もまだ。

忘れられないでいる。



「………………っ!」

それまで伏せられていた目蓋が、ぱちん、と勢い良く見開かれた。
浅い眠りから浮上した意識が現実を認識出来ておらず、茫然と開いたままの翠の眼は暗闇に閉ざされた天井を捉えている。

「………あ」

絞りだされた呟きが静かに染み渡る空間。
安らぎの闇の中で、罪を具現化した疵の悪夢によってうなされていたと漸くアスランは悟った。

誰も居ない寝室、アスランだけが眠るベッド。
一人分の体温しかない、冷たい空間。

此処に、シンは、居ない。

ゆっくりと身を起こし、深く溜息をついて膝を抱えた。
まるでコワイ夢に怯える幼い子供のように。
アスランは抱えた膝頭に額を押しつけて、大きな躯を小さく丸めた。

まだ忘れされない。
まだ思い切れない。

アスランが欲しがった愛。
親愛、友愛、恋愛。
様々な形の、色んな愛。

けれどそれらを与えてくれる筈だった人は皆、アスランの躯に疵を与えた。
愛の代わりに、疵を刻んだ。
命を失い、違う道を歩み、愛情より信念を選んで、そうして皆アスランから去っていった。

残されたアスランに、残された疵跡。



今は一人、オーブの片隅で生きている。
それなりに充足しそれなりにただ生きている。
けれど時折夢を見る。

「………シ、ン」

アスランしか居ない空間で静寂に掻き消される程小さな声で、夢に現われた少年の名を切れ切れに呟いた。
彼もまたアスランに疵を刻んで去った。
過去の疵を覆い尽くすかの如く、アスランの躯を更に疵だらけにして。
傷つけたくないと云って傷つけた。
アスランはそうなった経緯を仕方のない事だと、彼に対して償いを求めなかった。
けれどシンは己が傷つけた跡を直視出来ずに、終戦直後再会したエターナルで一切アスランを見ようとはせず語りもせず。
そんな彼に何も云えず縋る事も出来なかったアスランから、遠く離れたプラントへと行ってしまった。

アスランの躯に愛ではなく、やはりまた疵を与えて。

「シン…シン………」

何度か繰り返して名を呼んでも闇が吸い尽くす。
膝を抱えても埋まらない何か。

淋しい、苦しい、悲しい。
寒い、痛い、辛い。

こんなにも弱いと知らなかった。
独りに打ちのめされてアスランは静かに涙を落とす。

ただ今は、逢いたい。
それだけしか、ない。

シンに、逢いたい、逢いたい。

年令差だとか、立場だとか、性別だとか、常識に捉われ過ぎな自分が、本能のままに求めた唯一の人。

初めて抱いた、本当の愛情。

疵なんか気にしなくてもいい。
気になるなら直ぐにでも消しさるから。

けれど今は消さない、消せない。
独りになった今、唯一残ったシンの跡。

これすら消せば繋がりが失われるようで恐かった。
額も腕も脚も腹も胸も。
どこもかしこも古い疵の上から刻まれた新しい疵。



「………シン」

いつのまにか嗚咽を洩らして泣いていたのだと、アスランが気付かされたのは。
寝室に置かれた机の上の通信端末が鳴らしたシグナルによって、だった。

は、と視線をそちらに向けてベッドから這い出た。

まだ知らない。まだ知らなかった。

この瞬間はまだ。けれど直ぐに。

『………アスラン、さん』

夜更けに鳴らされたシグナル。
自動的に繋がれた回線。
モニターの向こうの。
遠く離れたプラントに居る筈の。

シン。



それからの記憶は曖昧だった。
気付いたらシンの腕の中にアスランは居た。

いつのまにか同じだけの背の高さに成長していた、シンの腕に抱き締められていた。

淋しくて逢いたくて、けれど独りぼっちで。
疵だらけの躯で必死に耐えてきた。

かつてシンを想って淋しさに泣いた。
今はシンを想って嬉しさに泣いている。

愛を求め、愛の代わりに、疵を貰い。
ぼろぼろになった躯から醜い疵跡はやがて綺麗に消し去られて。
弱り果てた心の疵は今アスランを抱くシンによって癒される。

いつまでも疵は消えない訳じゃない。
いつの日か疵は癒される。



愛の代わりに与えられた疵は、けれど愛で癒せるものだと。

初めてアスランは知った。
Category [ SS R15 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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