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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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月ひとしずく 11 ( #43~45)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2006/03/17[ Fri ] 23:35
彼が姿を現した瞬間、その場に居た者達は騒めいた。

全世界へ向けて発信した会見を終えて今後の動向を定めるべくAAに帰還していたラクスは、会見時に見せた麟とした表情でなく年相応の少女の顔つきでぽやんと見つめていたし。
ラクスを送迎がてら自国をキサカ達に一時預けてやってきていたカガリは、酷く慌てたようにシートから立ち上がり、声も出せずに泣きそうな顔で駆け寄ってくるし。
艦長という権威ある立場である筈のマリューですら驚いて素に戻っていたし。
彼女の隣には何故か拘束されていた筈のネオがちゃっかり居たけれど。

そして、キラは。

表情を変えず、しかし僅かに眉をぴくりとあげたのには、彼以外誰も気付かずに。

ぽつり、と冷静に呟かれた彼の人の名。

「…アスラン」

感情を抑えたキラの声音にも微かに驚愕が含まれている事に唯一気付けたのは、今名を呼ばれた彼だけで。

動く事もままならない癖に無理に出撃し、結局塞がり始めていた傷を開かせてしまい、強制的に医務室に逆戻りさせられていたアスランが。
ふらふらとした足取りで主たる者達が集うブリッジに不意に姿を現したのだった。
当然まだ身体はボロボロで、一人では立つのもやっとな状態で。
だから医務室に居つき彼に付き添っていたメイリンと呼ばれる赤い髪のザフトの少女が傍らに寄り添っていたのだけれど。

それでも彼は来た、確かに自分の足で、自分の意志で、皆の前に。

「お前…ッ!。まだ寝てなきゃ駄目じゃないかッ!」

駆け寄ったカガリが病人に接するには相応しくない口調で荒々しく叫ぶ。
だがそれが彼女なりの気遣いだとアスラン含め皆知っている。

「カガリ…。大丈夫だよ。もう一人でも歩けるから」

縋りつきたいのを必死に堪えているのだろう、胸元の生地を力なく掴むカガリに、アスランは困ったように笑いかけて彼女の金の髪を優しく撫でた。
隣ではメイリンがアスランを見上げて心底困り果てたような顔をしている。
それに気付いたキラが腰掛けたシートから立ち上がらないままにアスランに云った。

「一人で歩けるって云っても、どうせその子に支えてもらったりしてやっと辿り着いたんでしょ?」

淡々と語るその口調には何故か刺々しさが含まれていた。
アスランがキラを見つめ返して眉をしかめる。

「もう本当に平気だと云っただろう」

何故キラが不機嫌なのか判らないけれど、明らかに自分に対して不満を抱いている事にアスランは気付いている。
たからアスランの口調もきついものとなるのは至極当然だったかもしれない。
一瞬で険悪な雰囲気となった二人に、カガリが慌てて間に入る。

「それよりっ!。アスラン、お前一体どうして此処に?」

カガリが尋ねた。
つい先程まではまだ安静にしていろと云われていたアスランが突然ブリッジに来たのだから不思議に思うのは当たり前の事で。
するとアスランがまた金の髪をくしゃりと撫でて云った。

「ああ、前に俺がキサカさんに託したデータがあっただろう?」
「今は私がお預かりしていますわ」

アスランが視線を投げ掛けた先でラクスが微笑みを浮かべて答える。

瀕死で死にかけていたアスランがキサカに託し、そうしてラクスの手へと渡されたもの。

アスランが己の身体を切り裂き犠牲にしてまでも、ザフトから持ち出した極秘データだ。
それはデュランダル議長が押し隠していた、ある計画が収められており、公表すれば確実に世界は混乱と驚愕に襲われるであろう物だった。

ちょうど今それと私が入手した情報を照らし合わせて皆と話し合っていたのですわ、と。
ラクスが語ると、アスランはカガリを自分から離し、ふらり、とラクスへと歩みだした。

「俺が渡したデータはあれからこちらのスタッフが解析を始めた、と聞きました」
「ええ、圧縮されていたデータを解凍して一通り解析しました。私達もその内容を見させてもらったけれど…言葉も出なかったわ…」
「だと、思います。アレは間違いなく世界を惑わせる物でしかない」

ラクスの代わりに、隣に居たマリューが答えると、アスランは急に顔から一切の感情を消して強い口調で告げた。

そして、まだ言葉を続けて。

「…その様子ではやはり…まだ『表面』のみなんですね?」

と、意味深な言葉を洩らした。

「…『表面』?」

アスラン以外の皆が一斉に問い返す。

当然キラも、それまでの頑なな態度を氷解させた。

幾つもの眼差しがアスランへと集中する。

アスランはラクスの前に立ち、凡そ怪我人らしくない態度で告げた。

「アレは俺が見つけた軍の深層部とも云えるデータベースから丸ごとコピーをして保存した物ですが、予想通りに外部からのアクセスに対し頑丈なプロテクトがかけられていました。…恐らく俺以外は気付かない場所に、もう一つの『真実』が隠されているんです」

そう語りだしたアスランの言葉は、冷静でまるで何か別の事を淡々と語るかのようで。

恐るべき『真実』を示そうとするには到底感じられない程に落ち着いていて。

そのギャップに皆が背にぞくり、と冷たいものを感じざるをえなかった。


「順を追って話した方が判りやすいかと思います」


そう云ってアスランは己が知った、命の危険を侵してまで持ち去ってきた情報を静かに語りだした。
Category [ 時系列(No.08)【月ひとしずく】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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