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月ひとしずく 09 ( #43~45)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2006/02/28[ Tue ] 23:38
ルナマリアの愛らしい唇から語られたその名は、しかしシンを激しく揺さ振る悪夢のような名前だった。

「…キ、ラ、ヤマト…」

まさかその名をこの場で、しかも『彼』以外から聞かされるとは思いもよらなかった。

シンの身体は強ばり、そうして語り続けるルナマリアを茫然と見つめ返すだけしか出来なかった。
襲われた衝撃に愕然としているシンを見て、ルナマリアが哀しげに微笑んで小さく頷いた。

「…アスランはね、キラって人に会っても…彼等を止めようとしていたのよ…?」
「………ッ!」
「寝返るとか情報を洩らすだとか…一切しなかったの」
「…じゃ、あ…スパイじゃなかった…?」
「うん…多分、ね」

ルナマリアが云おうとする事は混乱するシンにも理解できた。
アスランは脱走時にスパイ容疑をかけられていた、と聞いた。
かつての同胞AAが『ロゴス』の嫌疑をかけられ、それを庇うからかと思っていた。
そうして結果的に軍を抜けて彼等の元に合流したのだから、嫌疑は間違いないと思えたのに。
しかしルナマリアが実際に盗み聞きしたそれら証拠は、アスランには彼等に協力する意志はなかったのだと明らかにするものだった。
ではミネルバ内でたった一人AAを『敵』ではないと主張したのはどういう事なのか。
彼等にも戦況を混乱させるなと異を論じ、自分達にも敵ではないと云う。
まさか、本当に戦いを止めたかっただけなのか。
どちらの軍に属しているとか関係なく、世界が混沌と化すのをたった独りでも止めたかっただけなのか。

アスランの真実が、シンには判らなかった。

「…それでね、私が見たラクス・クラインだけど…」
「あ、あぁ…うん」

不意に話を変えられてシンが戸惑ったように返事を返す。

「ラクス・クラインはデュランダル議長の傍に居る、と皆思っていたし、事実そうなんだけど…」

ルナマリアが語る内容は彼女自身の目で確かめた真実だった。

歌姫としての任もあるからいつも共に行動を伴っている訳ではないが、演説など大事な局面には必ず同席している。
確かその頃もプラントに居て歌姫として、平和の使者として議長を支えていた筈だ。
ラクス・クラインが地球に降りたとなれば話題にならなあ訳がない。

しかしルナマリアは確かに見たのだ。

さっきオーブ側の演説の席についていたもう一人のラクス・クラインが、あちら側、AAと繋がっていたのを、ルナマリアは確かに見て聞いて知っていたのだ。

「じゃあ、議長と一緒にいるのは…?」
「判らないわ…どちらが本物かなんて。でもあの場に居た人は皆彼女をラクスと呼んでいたし…。それに」
「それに?。何?」

急にルナマリアが言い淀み、シンが不審そうに眉を寄せる。

今更何を悩むのだろう、とシンが思った時。

「…所詮盗聴だからはっきりとは聞こえなかったんだけどね………あちら側のラクス・クラインが暗殺されかけた、って………」
「…ッ、あ…ッ?」

暗殺、とつい叫びそうになるのを、物凄い早さでルナマリアに口を押さえられ、シンは辛うじてその言葉を飲み込んだ。

「馬鹿ッ!」

誰に聞かれるか判らないのに、とルナマリアがシンを叱り付けた。

「嘘…誰がそんな事…?」
「そんなの私に判る訳ないでしょ!」
「そ、そうだけど…」

思っていた以上にルナマリアが抱えていた秘密は重すぎる物で。

シンは既にその重さに潰されそうな程錯乱していた。

二人のラクス・クラインという存在、AAに関わりのある者達がラクスと呼び認めた存在、あちら側のラクスと共に居たフリーダムのパイロット、キラ・ヤマト。

そして、アスラン・ザラ。

かつての仲間に会いに行っていたという事実、嫌疑をかけられ同胞であるルナマリアに尾行調査を命じた事実、当時から彼が疑われていて監視をされていたという事実。

しかし、裏切るつもりなど本当になかったのだという、事実。

それらがシンを押し潰さんとして襲い掛かってくる。

今まで自分が見てきた物は、信じてきた物は、果たして本当なのだろうか。
彼を見てきた、と思っていたのに、それは本当に彼の真実じゃかたったのだろうか。

全てを疑いたくなる位にルナマリアがもたらした言葉はシンの胸中を激しく揺り動かした。

「でも、結局それしか私には判らないの。ありのままを艦長に報告して調査資料も全部提出したし、以降はこの事には首を挟むなって命じられたから…」

だから疑問ばかりが残り、何一つ真実は見えないのだとルナマリアが残念そうに呟いた。

「艦長も誰か上層部に命じられてたみたいだったから、きっと軍のお偉い人しか判らないんじゃないかしら」
「そっか…うん、判ったよ。話してくれてありがとう…」

シンが素直に感謝を述べれば彼女は漸く安堵したかのように笑った。
長い間一人で抱えてきた重圧から解放されたような、そんな疲弊した笑顔だった。
そうしてルナマリアがシンをじっと見つめ返す。

「次はシンの話を聞かせて?」

そう促され、シンは一瞬目を逸らし、しかし直ぐに意を決して口を開いた。
彼女も自らを危険に曝してまでも話してくれたのだから、シンが話さない訳にはいかない。

ルナマリアには云わねばならないのだ。

どうしても、何があっても。

「…この間の…戦闘の時なんだけど…」
「この間ってオーブ戦の事?」
「うん、そう。あの時ルナは俺達と別動隊だったから知らないかもしれないけど…」

そこで一旦シンは語るのを止めた。

すぅ、と息を深々と吸い込んで。


「あの時現われた赤い機体…新型MSに…」


声は震えていないだろうか。

泣きそうな顔をしていないだろうか。

うまく、彼女に伝えられるだろうか。


「………アスランが、乗って、いたんだ…」



云い終わらぬ内にルナマリアが驚愕の表情を浮かべ、反射的に立ち上がっていた。

そんな彼女を、シンはただぼんやりと見ていた。
Category [ 時系列(No.08)【月ひとしずく】 ]
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