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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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涙のような粉雪の下で 01
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2006/02/22[ Wed ] 00:45
辺りは一面の銀世界だった。

天から降り注ぐ太陽がきらりきらりと細かな氷の粒を照らして輝かせ、白い大雪原を彩っていた。

「………凄いな」

目の前に広がる光景にアスランが思わず感嘆の声を上げた。
隣ではシンが、でしょう?と得意げな顔で笑って見ている。

二人が今居るのは地球のアジア圏の何処かの国、山間部の麓にある湖畔だった。
深緑の森に囲まれた湖水はきっと真夏の太陽を浴びれば彩りを深くして更に鮮やかになるのだろうか。
しかし今季節は氷の粒の結晶が吹雪く真冬だ。
周囲の山々も白銀に染められ、湖畔も天の雲を映し込んで薄灰色しか色彩がない。
白と灰色の世界は外気に相応しい程寒々しい印象を与えるが、しかし何処か厳粛な雰囲気をも漂わせていた。

寒いのは苦手だと嫌がるアスランを無理矢理連れ出して、シンはプラントから遥々この清閑な自然の中へとやってきたのだった。
到着したばかりの頃はまだぶちぶちと文句を云っていたアスランだったが、レンタルしたエアカーから降りた瞬間に視界に飛び込んできた自然の風景に圧倒されたらしい。
溜息のような小さな声音でしきりに感動を口にしていて。

「あぁ…本当に、凄いな…。何処までもが白くて、静かだ…」
「プラントじゃ、こんな光景見られないでしょう?」
「そうだな…プラントのは予め機械で計算され尽くし決められた季節しか繰り返さない、所詮人の手で創られた偶像でしかないからな…」
「や、そんな小難しく考えなくたっていいと思うんですけどね…」

湖畔の辺で目の前の光景に見とれ佇むアスランに、シンが無理矢理連れてきて良かったと嬉しそうに声をかければ、蘊蓄めいた答えが返された。
難しく考えずに思った通りに心で感じればいいんだとシンが頭をがりがりと掻き毟る。
普段から思考を張り巡らせぐるぐると考え込んでしまう彼を、その思案の呪縛から一時でも解放してやりたくて此処まで連れてきたのに。
結局は元来持ち合わせた性格だから仕方ないのだろうか。
うぅ、と唇を尖らせて拗ねたように俯いたシンに気付き、アスランはクスリ、と微笑って、隣に居る黒髪を優しく撫で上げた。
「…シン、ありがとう、な。わざわざ連れてきてくれて…」
「いえ、それは…いいんですけど」
出会った時は数センチの身長差があったのに、今ではほぼ変わらない目線の高さ。
躯も逞しく成長し、アスランに見劣りしない程魅力的な一人の大人の男になりつつある。

戦後を迎えて早数年。
二人共に二十歳を超えた。
アスランの身体的成長は止まったようだったが、シンは今でも伸び続けている。
いつのまにか並んだ肩、同じ高さの目線。
しかしだからといって中身までもが外見に追い付いているとは言い難くて、シンはまだ子供じみた彼らしさを失ってはいない。
寧ろ変わらないでいて欲しいシンの良さでもあるとアスランは密かに想う。

「ねぇ、ちょっと岸辺まで行ってみませんか?」
不意にシンがアスランの手を取って急に引いて歩き出す。
それまで居た場所は湖畔の散策路で細いけれどきちんと整備された路地だ。
しかしシンが今向かおうとしているのは、雪野原を掻き分けて進まねばならない湖畔の岸辺であって。
誰かが歩き踏みしめたであろうか、人が辛うじて通れるような獣道はあったけれど。
こんな真冬の湖に近づくなど余程の粋狂だろう。
「え、ちょっと!。シン?」
「大丈夫ですから!。ほら!」
突然の事に慌てふためくアスランをシンが愉しそうに笑って引き連れていく。
当然アスランは雪の中を歩くような装備はしていないから、履き慣らした黒革のショートブーツとベージュのパンツの裾の隙間から雪が入って脛にひやりとした感触を与えてくる。
シンは茶のロングブーツだから平気だと云わんばかりに雪の中を突き進むけれど、アスランには冷たいだけで。

「シンっ、おい、雪が入るから!」
「あ、そっか。アンタ北国仕様じゃないんだっけ」
「当然だ、馬鹿!」
「だからあんだけちゃんと選べって云ったのに…。もう、ちょっと我慢してて下さいよ!」

少しは気遣えと異を唱えれば、漸くシンは気付いたらしいが、しかし直ぐに自分の意見を押しつけてくる。
アスランが例え思いっきり眉に皺を寄せていたとしても、ぎろり、と睨み付けていたとしても、今のシンには差程関係がないようだった。
そうして現状と冷える脚にえらく不服そうなアスランを無理に岸辺まで連れ出し、シンは其処で漸く繋いでいた彼の手を離した。

「ほら、あれ見て!」

シンが指差したのは岸辺に生える細い木々。
当然枝には葉など枯れてなかったが、代わりに白いふんわりとした雪の固体が幾つもあって。
まるで白い綿のような華を咲かせているような、そんな光景。

「綺麗でしょ?」
「………あぁ」
「遠くで見るのとはまた違ってるでしょ?」
「………あぁ」
「こういうのは生で見ると凄く綺麗なんだよね」
「………あぁ」
「………………あんた、人の話垂れ流しでしょ…?」
「………あぁ」
「………って、コラ、おぉい!」

満開の白の華に見とれてしまったアスランにシンが話しかけるも、返ってくるのはぼんやりとした生返事ばかりで。
誘導尋問すれば案の定引っ掛かるから、シンは軽くぶち切れておいた。

「もう、あんたらしいっちゃあんたらしいっすけどねー」

出会ったばかりの頃や付き合い始めの頃は些細な事でも一喜一憂していたけれど、長く一緒に居ればそれなりに余裕も生まれる。
軽く怒った後に苦笑いしながら、シンは白く染まった木々の情景に見入ったままのアスランをその場に残し、一人さくさく雪を踏み分けて湖面へと歩き出す。
「え、シン?。そっちは…」
「大丈夫、今の時期は凍ってるから歩けるんですよ」
それまで隣にいた気配が遠ざかった事にやっと気付いたアスランがシンに視線を向ければ、彼は楽しそうに凍り付いた湖面を歩いて渡り出していた。

「結構ね、分厚いからそう簡単には割れませんよ。まぁ、場所によっては薄くて危なかったりするんだけど、この辺りはわかさぎ釣りの穴場でもあるから」
「わかさぎ?」
「淡水魚で湖にいる小さな魚です。氷に穴あけて、釣り竿垂らして釣るんですよ」
「そうなのか」

本当にシンは色々と知っている。
コーディネーターといっても自然に囲まれた地球で生まれ育った彼だから、宇宙空間に造り出された虚像の自然しか知らないアスランより様々な事を知っている。
こんな時本当に感嘆するばかりだった。

「だが、気を付けろよ?」
「はいはい、あんたこそ、余り遠くに行かないで下さいね?。迷子になるから」
「ああ、判ってる」
そうしてアスランは木々に花開いた樹氷の光景を、シンは湖面に降り立ち、山々に囲まれた湖の中で果てしなく広がる自然を、それぞれの眸に映し込んで。

暫らく互いに別々の風景を眺めていた。
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