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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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涙のような粉雪の下で 02
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2006/02/22[ Wed ] 00:44
「…シン?」

どれ位そうしていたのだろう。
ふと肌寒さを感じてアスランは己の頬に触れてみれば、その皮膚は既に冷えきっていて冷たかった。
さすがに体温を奪われてばかりでは辛くなるからと、アスランは湖面に佇むシンへと振り向いた。

「シン………」

そしてアスランは言葉を飲み込んだ。

シンは、氷に閉ざされた湖面に独り佇んで、ぼんやりと天を見上げていた。
天からひらひらと小さき氷の結晶が舞い落ちる。
高い山に囲まれ、しぃん、と静まる空間、ただ音もなく降り積もる粉雪の中でシンはその様子を無言で見つめていて。

その顔には一切感情が籠もらず、夢と現つの狭間にいるようで。

何を考えているのだろうか。
ついアスランはシンの胸中を想像する。

そういえば前に本物の雪景色を見たのはまだアスランがミネルバに搭乗していた頃、ベルリンの惨劇を目の辺りにして後、ジブラルダルへと進路をとっていた頃だ。
あの頃は本当に色々な事が起こり過ぎて、今でも思い出すのは辛いのだけど。
ベルリンでの戦闘のあと『ステラ』を失ったシンは一時姿をくらました。
その後シンは『ステラ』を失った怒りを『フリーダム』『キラ』にぶつけ、撃破し、アスランはシンと激突して決別した直後脱走して。
シンに墜とされた。

だから今でもまだその頃の記憶には二人とも語るには辛すぎるが、『ステラ』を凍てつくベルリンの山間部にひっそりとある湖に葬ってきたのだと戦後共に暮らし始めて随分と過ぎた頃、半分眠りかけていたアスランを抱き締めながらシンが切なそうに呟いたのを覚えている。

「………」
もしかして其処はこんな場所だったのだろうか。
そして今シンはそれを思い、記憶を巡らせているのだろうか。
ずきん、と胸が痛んだ。
『ステラ』を失ったシンの悲しみはアスランにも判る。
前後の彼の行動が正しいか否かは別としても、大切な人を失うのは誰もが辛い。
そしてそれを知りながら己の事に精一杯で、支えてやれなかったのは誰でもない自分なのだ。
まだシンの中で『ステラ』は戦争の悲しき象徴として心に傷を残したままなのか。
アスランもそれをきっかけにかつての仲間キラを目の前で倒され、自分もシンに倒された。
雪は二人にとって戦争の痛みを現わすモノなのかもしれない。

けれど、今此処にある風景は、綺麗で幻想的で、優しく染み渡る。
決して冷たいばかりではなくて。
同じ雪景色である筈なのに、何故だろうか、こんなにも胸に響くのだ。

「………シン」

小さく名を呼んだ。
気付いた彼がアスランを見やる。
肩ごしに振り返り、首を傾げてアスランを見つめ、そして。

「アスラン?」

微笑むシンは、はかなく見えた。

過去に想いを馳せながら、現実の世界でアスランと共に未来を求めて生きている。

もし、もしも。
アスランがシンに倒され、命を落としていたら。
シンが『ステラ』を想い倒されていたら。
何処かの戦場で、どちらか、もしくはどちらも、死んでいたなら。

見る事の叶わなかった景色。

雪の中戦い、そして雪の中想いを巡らせて、微笑う。

ああ、生きているんだ。
今こうしてシンと共に、生きているんだ。

何故か強く感じた。

「シン………シン」
「アスラン?」

ぽたり、と一粒。
ぽたり、ぽたり、とまた一粒。

まるで溶けた粉雪の雫のように、アスランの冷えた頬を伝って涙が雪原に落ちていく。

あんなに凍えそうな程痛々しく感じた雪が、今は不思議と優しく切なく暖かい。
二人生きていたから見る事の出来た情景も、もしかしたらあの凍てつく惨状のように焦土と化していたのかもしれない。
焦げた大地に悲しき粉雪がしんしんと降り積もっていたのかもしれない。
周りに生命の息吹も感じさせずに。
けれど今此処は違う。
樹氷が花開く木々は確かに生きて春には芽吹き、そうして葉をさざめかせるだろう。

雪の中で次の春を迎えるべく生きる大地、凍り付いた湖面の下で泳ぐ魚たち、そしてその中心で優しく微笑う愛しい人。

ああ、守って、そして、生きている。

そんな想いがアスランを揺り動かす。

「アスラン?。どうしたの?」
急に声もなく泣きだしたアスランにシンはどうしたのかと慌てて駆け寄ってきた。
そんな彼を見つめながらアスランは溢れる涙を止められない。
直ぐにシンはアスランの居る岸辺に辿り着き、そして泣いているアスランの目の前に立った。

「何で泣いてるの?。ねぇ、ちょっと…」
「何でもないんだ………」
「でも」

涙を拭おうとせずシンを見つめ続けるアスランを、シンは何も云わずに抱き締めた。
同じ高さの彼の腕の中、アスランはシンに抱き締められて。
そっと肩に擦り寄って。

「………シン」

次第にか細くなる声音は震えている。

「俺達は…生きているんだな…」

何故そんな事を云いだすのかシンには判らなかったけれど、でも。

「うん、生きてるよ。俺もあんたも…生きてるから、此処に居るんだよ。傍にいるから、こうしてあんたを抱き締められるし、あったかさを感じられるんだよ…」

シンの言葉はじんわりとアスランの心の傷を癒すかの如く染みていく。

泣かないで、とシンがアスランの耳元で囁いた。
そうして強く抱き締められ、アスランはシンの腕の中で声をあげて泣きじゃくり。




二人の頭上から粉雪が静かに舞い落ちて優しく包むかのように積もっていった。
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