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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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月ひとしずく 05 ( #43~45)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2006/01/04[ Wed ] 23:18
その瞬間を目にした者達は、きっと忘れられない記憶となるであろう。
終わりなど来ない、果てなどない、と思える程に混迷を極めた情勢がターニングポイントを迎えたのは正しくこの瞬間だった。

先の大戦でオーブを守った英雄であるカガリ・ユラ・アスハと共に、それまで痕跡を残さなかった、あのラクス・クラインがとうとう表舞台に姿を表した瞬間なのである。

偽物ではなく、本当の『ラクス・クライン』。

しかしそれは新しい悲劇と混乱を生み出すこととなる。

医務室のベッド脇に設置された小さなモニター画面にはカガリの雄姿が映し出されていた。
オーブ代表首長として会見の場に赴いた彼女の姿は雄々しく、かつて盟主と云われたウズミ・ナラ・アスハの子という肩書きに相応しいものであった。
全世界に、世界に存在する全ての者達へ向け、メッセージを伝えるカガリの言葉はオーブの長として、そして『人間』としての意志であった。

争いを意図して生み出した『ロゴス』の主たる人物ジブリールを匿ってはいない事。
一部の人間が『ロゴス』に関わっていた事実はそれに気付けず止められなかった己の責任をも感じている事。
それに関してはきちんと調査し責を負うつもりである事。
そして、いかなる理由であれ、『オーブ』を焼かんとするデュランダル議長の政策を遺憾に思うという事。

その会見をアスランはキラやラクス、メイリンと共に見つめていた。
カガリはもう迷わないだろう。
モニターに映る彼女の姿を見てそう感じていた。
以前オーブに潜伏しながら彼女を警護していた時は、幼くて清らかで真直ぐ過ぎて。
だから迷い悩み、アスランに縋った事もあった。
だが今、カガリの眸は何ら迷いもなかった。
その雄々しい表情にはいかなる困難にも立ち向かう覚悟が宿っていて。

ああ、もう大丈夫だ。
彼女はもう立ち止まる事無く一人でも前を向いて生きていくだろう。

流れてくる音声を聞きながら、アスランの眸はカガリの姿を焼き付けていた。

刹那、画面が乱れだす。
ざぁ、と音声すら途切れ、砂嵐のような画面にモニターが支配される。
「…え?」
「どうしたんですか?」
突然乱れた画面にアスランとキラが同時に声を上げれば、メイリンが不安げにアスランを見やる。
不測の事態にラクスは一瞬眉を潜めながら微かな声で呟いた。
「………まさか」
「え、ラクス?」
何かを察したラクスの様子にアスランが視線をモニターから彼女へと向けた瞬間だった。

『私は、ラクス・クラインです』

突如鮮明な画像と共にクリアな声がアスランを襲う。

弾かれたかのように凝視したモニターに居たのは。
『ラクス・クライン』と名乗る、しかし実はデュランダルが巧みに用意した偽物である存在、ミーアだった。
「………っ!」
「え?、え、えぇ!?」
本当のラクスは今此処にいるのだ。
画面の向こうにいるなどありえない。
キラは直ぐに替え玉だと気付き息を飲む。
メイリンは驚きを隠せなくてモニターとラクスを交互に見つめ混乱を隠せないでいて。

「…ミーア………」
「………ええ。そう、ですわね」

アスランが僅かに唇を開き、その名を呼べばラクスはしっかりと頷いた。

「彼女が、デュランダル議長が用意した『私』という事ですわね?」
「………そう、です」

ラクスに問われ、アスランは肯定するしかなくて。
ミーアを偽物だと知っておきながら議長を咎めず黙認していた自分を、遠回しに非難されているようでアスランは自らの罪を認めるしかなかった。
画面の向こうではミーアが何かを語り熱弁を奮っている。
オーブから飛ばされていた電波を遮る位だ。
ラクスに作り変えられた顔のその愛らしい唇が語る言葉は議長に有利なものばかりだった。
ラクスの視線から逃れるようにモニターを見やれば其処にもそっくりな人物がいる。
軍を離脱する際救いの手を差し伸べてくれた彼女もまた、あの時決めていた覚悟の通りに『まがい物』で在り続ける事を決めた眼差しをしていた。

例え間違った事だとしても選んでしまった道なのだ、と。

カガリとミーア。
自分に何らかの形で関わった女性達の凛とした姿に、アスランは恥じ入る気持ちが沸き起こる。
あんなにも迷い周りまで苦しめてきたのに、未だ光を求めてあがく自分を恥じていたのだった。

「ラクス…どうする?」
それまで黙ってミーアの演説を聞いていたキラが不意に話し掛ける。
首を傾げ、隣に立つ女性の細い肩に手を置いて。
「………そうですわね。このままでは…」
「まずい、よね。やっぱり」
心を許し合った二人らしい言い回しに、アスランは一瞬何を云っているのか理解出来ずに茫然として。

「…何をするつもりだ…?。キラ、ラクス…」

何故か嫌な予感がした。
ラクスは今だに不思議な人だけれど。
しかしキラの事はよく判っているつもりだ。
キラの立ち振る舞いにアスランは違和感を抱く。
アスランの問い掛けにキラはラクスと顔を見合わせると、二人揃ってアスランを見つめ返してきた。

「うん。あのまま好きに話されるのも…困るでしょ?」
「そうだが………」
「ですから、私は行きますわ」
「ラクス!?」

交互に語る二人にアスランは動揺を隠せなくて。
思わずベッドから身を乗り出し、途端に胸部に走った激痛に蹲る。

「確かに今まで私は光の当たらぬ場所を自ら選び、己の存在を隠匿するかのように過ごしてきました」

ラクスが静かに語りだす。
しかしその眼差しは真剣で。アスランの迷いを今また射ぬくような眼差しに息を飲む。

「………しかし、それがこのような事態を招いてしまったのです。私の存在、言葉、ラクス・クラインという名。どれも影響力が強く、今疲弊した世界には必要だったのでしょう。それを議長は利用した。同じ利用するでも彼は最悪の方法で利用したのです」

そしてラクスは微笑う。

「これは私の責任ですわ。逃げていた私が招いた事。ならば私本人が終わらさねばならぬ事です」
「………ラクス」

彼女は偽物の存在を黙認していたアスランを非難しなかった。
全ては隠れていた自分が引き起こしてしまったのだと告げた。

ラクスの眼差しも迷いはなかった。



そしてラクスはキラを伴って医務室から立ち去った。
議長の謀略を止める為、自分の罪を認める為。
そして、世界を救う為。
消えていく後ろ姿をアスランは言葉もなく見守った。

覚悟を決める時がきたのだと。
カガリもミーアも、ラクスも。
決心したのだ。
もう自分も迷ってはいられない。
これからどうしなければならないのか、何を優先させねばならないのか。
身体に触るからとメイリンに促され再びベッドに横たわる身体の、怪我を負った胸部に手をあてがい、アスランは静かに目蓋を閉じた。


そして。

世界は隠されていた『真実』を目撃する瞬間を迎える。
Category [ 時系列(No.08)【月ひとしずく】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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