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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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月ひとしずく 03 ( #43~45)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/22[ Thu ] 00:03
応急処置を終えた医療スタッフが医務室を去っていった。
その手にはどす黒い血に塗れた薄いブルーグレーのシャツが握られていて。
先程までそれを身に纏っていた者の今の状況をまざまざと見せ付ける証拠だった。
一人残されたメイリンはベッドサイドのパイプ椅子に腰掛け、沈痛な表情で先程まで血塗れだった彼の人を見つめる。

再びその場所に連れ戻された彼。

力なく横たわる身体。
閉じられた眸。
青ざめた顔。

手負いの身体でMSを操り、更に傷ついてしまったアスランが、手放した意識を目覚めさせる事なく、静かにベッドに寝かされていた。
メイリンは泣き腫らした眼でアスランをじっと見つめ、改めて怪我のひどさを知る。
あの時自分を庇ってくれたがためにひどく傷ついた身体。
打撲や裂傷だけでなく、胸部も痛めていると医療スタッフから聞いた。
それでも身の危険を顧みずラクスから託された『ジャスティス』を駆り、アスランは戦場へと赴いたのだ。

オーブを守る為、そして。

シンが、オーブを、討とうとするのを阻止する為。

二人の関係は判らなくとも、しかしアスランが何故危険を犯してまで出撃したのか、メイリンにも判ったような気がした。

「………アスランさん…」

泣き腫らし赤くなった眼で眠り続けるアスランの顔を見つめている事しか、偶然紛れ込んだこの艦で出来る事はなかった。

メイリンが小さく名を呟いたその時。
微かに睫毛が震えて。
そして、ゆっくりと目蓋が開かれていく。

「………………っ、ん………」
「あ、アスランさん!?」
「………メ、イリ、ン?。…こ、こ…は…?」

闇に閉ざされていた眸に天井から降り注ぐ人工照明の輝きは眩し過ぎるのか、アスランは一度開かれた眸を辛そうに細めて。
そして静かに首を傾げて、ベッドサイドに居るメイリンをぼんやりと見つめて尋ねた。
その身体には再び点滴が打たれ、新しく着せられた病室着の下にはまっさらな包帯が幾重にも巻かれている。
治療の為に投薬された鎮痛剤の影響か、惚けたような顔をしているアスランにメイリンは泣きそうになるのを必死に堪えて言葉を返す。
「…此処は医務室です…。アスランさん、コクピットの中で…気を失っていたから…。だから、フリーダムのパイロットの人が…アスランさんを…連れてきてくれて…」
「………あぁ。そう、か………」
次第に覚醒していく意識の中でアスランは全てを思い出していく。

ラクスに託してもらったあの真紅の機体に再び乗り込んで。
そして大空の下で、シンと対峙したのだ。
彼と直接話す為に無理矢理開いた緊急チャンネルで、言葉をかわして。
しかし、言葉は届かなかった。
シンを揺らがせただけで、根強い彼の意志を変える事は出来なかった。
そうして打ち上げられた信号弾に従い自軍へと帰投するシンを留める事も出来なかった。
唯一、シンが故郷を攻撃し廃墟にする最悪の結果だけは阻止できた。
『敵』として認識され、互いに刄を交えて激突せざるをえなかったが、それはジャスティスに乗り込んだ時点で覚悟していた。
例え望まぬ対立だとしても、シンがもうこれ以上『戦争』という悪夢に囚われる事よりはいい。

自分の幸せより彼の幸せを。

それを願い、叶える為ならもう迷わないと決めたのだから。

「………俺は、ジャスティスに乗って…そして、戦ったんだったな…」
「アスランさん…」
「そんな顔、しないでくれ。メイリン…。俺は後悔していないから」

何かを懐かしむような、それでいて、もう二度と取り戻せないと。
ひどく切なげな表情でぽつりと呟いたアスランにメイリンは悲しくて涙を滲ませる。
短期間であってもかつて共に過ごした仲間に戦いを挑まねばならないアスランの心情を思いやれば、どんなに辛かったのだろうかと。
メイリンとてこの艦に残ると決めた以上アスランと同じ思いをせねばならない。
それはどれ程辛くて悲しい事なのだろう。
特にアスランはMSパイロットなのだ。
メイリンと違い、直に戦い互いを攻撃しあわねばならないのだ。
想像しがたい位に悲惨な現実に、メイリンはとうとう俯いて。
両手で顔を覆い、細い肩を震わせて泣きじゃくりだした。
「メイリン………」
彼女の姿を、アスランは眉をしかめて見つめるしかなかった。
自ら決意し脱した自分と違い、巻き込まれてここまで来てしまった彼女に、かつての仲間達と対峙するだけの覚悟はまだない筈だから。
アスランはかける言葉が見つからなくて、点滴を打たれた左腕をそっと動かし、メイリンの鮮やかな色合いの髪を撫で擦った。
「………っ、く、ぅ」
負った怪我が然程ひどくはない右手を左脇腹の辺りについて、アスランはぐったりと横たわったままの己の身体をゆっくりと反転させる。
しかし再び悪化した怪我は途端に激しく痛み、激痛をその身に走らせる。
「ぁ、アスラン、さん!?」
「…ぅ、ぁ…ッ。ぐ…ぅ」
呻くような苦しげな声音にメイリンが驚いて泣いたままの顔をあげた。
右手で身体の重心をとり、あがくようにアスランは上半身を起こそうとしていて。
何とか起き上がれたが、しかし胸部の傷が抉られるような痛みを発し、そのまま崩れ蹲った。
「アスランさん!。駄目です!。傷口が開いてしまうから!」
「いや………もう、平気、だから………」
メイリンの言葉に返したアスランの声音は明らかに荒々しい。
それでも無理矢理に倒れかかった上半身を起こした。
只でさえ死にかける程にひどい怪我で、急な加速やのしかかる重力に耐え切れる筈はないのに。
MSに乗り込んだ所為で裂傷を負った頭部や銃で撃たれた肩、抉られた左腕、そして肋骨を砕き肺までを傷つけた身体は更に悪化させる結果となって。
それなのにアスランは必死に動こうとしていて。
「…本当に、大丈夫なんですか…?」
アスランの気迫に身じろぎ、メイリンにはもう何も云えなかった。
「ああ、大丈夫、…だから」
漸く起き上がったアスランが青ざめた顔で微笑う。


「駄目だよ。アスランに『大丈夫』って聞いても絶対大丈夫って答えるんだから」


その時。突然医務室のドアが開き、そんな言葉と共にキラがラクスを伴って訪れた。
Category [ 時系列(No.08)【月ひとしずく】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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