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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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一瞬の夏
TB[ 0 ]   CM[ 0 ]   Edit   2005/09/07[ Wed ] 23:32
嬉しかった。
幸せだ、と思った。
…愛しい、と思った………。





空を、見ていた。ただぼんやりと上を見上げてアスランは目の前に広がる青空を見ていた。

天然の砂浜の感触とふわりと髪をかきあげる心地好い風に、此処が『地上』だという事を不意に思い出す。生まれてからずっと『宇宙』しか知らなかったアスランにとって人工ではない自然の風景は新鮮すぎてどこか異世界のようにも感じていた。ヤキンドゥーエ戦の後、オーブに亡命し、その地を終の住みかと決めてからもその感覚は心の何処かに残っていたようだった。
確かに、オーブに来てからも安穏とした日々は訪れなかった事を思えば、『自然』に馴れ親しむ余裕などなかったのだろう。だからこうして碧い水面が広がる海辺にいても現実感が薄かったのかもしれない。

「アスランさん」
砂浜に座ってそんな事を思いながら空を見上げていると、前方から急に名前を呼ばれ意識を空から地上へと引き戻された。
「アスランさん、何見てたんですか?」
「…ああ、空を見てた」
アスランが向けた視線の先に居たのは、シンだった。シンは砂浜に座っているアスランを置いて一人波打ち際ではしゃいでいた。靴を浜に放り投げジーンズの裾を膝下まで捲り上げたシンは浅瀬を楽しそうに歩いている。
「空なんていつでも見れますよ。それよりこっちに来ませんか?。すっげぇ気持ちいいですよー」
声の調子からしてシンがどれだけ今を楽しんでいるかよく判る。
「いや、俺はもう少しここで休んでるよ」
そう云ってアスランは波打ち際にいるシンに、微笑んでみせた。

再び開戦となり日々緊張感に包まれた閉塞した状況の中、不意に訪れた休息。まだ戦況は緊迫していたがそうすぐには戦闘は行なわれそうにないのと、物資を補給せねばならなかった事もありミネルバからの下艦許可が出た。特に何も予定がなかったアスランをシンが誘い出し、二人きりで街に出た帰り道、偶然通り掛かった海岸線で一時の休息をとっていたのだった。

「そんな事云って、もう疲れちゃったんですかー?」
「いや、そういう訳ではないが………」
「じじくさいですよ、隊長ー」
「………ッ、じ………っ」 
いたずらっ子のように笑って云うシンの言葉に思わず言葉を失う。
「俺はまだ18だっ!!」
先程までの和やかな雰囲気をぶち壊され、思考が止まったアスランは何処か論点がずれた反論をした。
「そんな事知ってますよー。ただ云ってみただけですー」
「………あのなぁ………」
ふぅ、とつい溜息をついてしまった。
確かにまだ自分は18なのだ。年令の割に大人びた風貌と常に冷静な態度が若さを感じさせないのかもしれないが、視界に映るシンとはたった二つしか離れていない。なのにこんなにも自分は『大人』で彼は『子供』だと思えてしまう。多分それは元々の性格の違いもあるのだろう。それだけ彼は良くも悪くも素直で正直だった。己よりも周囲の事ばかり考えてしまう自分には羨ましくもある。

しかし。こんな時つい考えてしまう事がある。

何故、彼なのだろう。
何故、彼を選んだのだろう。

ミネルバに『フェイス』の『アスラン・ザラ』として乗艦してからまだわずかの時間しか過ごしていないのに、その間彼とは衝突ばかり繰り返していたのに。
気付いたら眸は彼を追い掛けていた。彼ばかり意識していた。それは相手も同じで、半ば無理矢理な口付けと共に彼の方から告白してきた。突然の事に驚き戸惑う自分に対し真剣な想いをぶつけてくる彼。

『………好きです、あんたの事が好き、なんだよ…アスランさん…』
『………あぁ、知ってる………。俺、もだ………シン』

そうしてお互いの想いを受けとめて。誰にも云えぬ秘密の恋物語を綴り始めたのはつい最近の事だったはずだ。でも、今も不思議に思う自分が心の何処かに居る。何故、彼-シン・アスカ-でなければいけなかったのだろうと。
けして恋愛に慣れている訳ではない、むしろ奥手だと自覚してるのに、彼に対してはすんなりとその存在を受け入れてしまっている。既に何度も肌も重ねた。何も知らなかった己の身体に快楽を教えられた。
心は彼を常に欲しているのも知っている。でも理性の一部が心のスピードに追い付けないでいた。



「アスランさん?」
不意に名を呼ばれてアスランの意識が目の前の少年にむけられる。いつのまにかシンは波打ち際から離れ、アスランが座る砂浜まで来ていた。屈んで少し心配そうに見つめてくる柘榴色の眸。
「…あ、いや、何でもない」
「そうですか?。怒っちゃったかと思って、俺慌てたんですよー」
「…なら、云うなよ…」
思わず脱力する。怒っていない事が判ったシンは嬉しそうにへへ、と笑うと座り込んでいるアスランの肩に手を置いて、その耳元に唇を寄せた。
「好きです」
言葉と共に軽く触れてくる唇。驚いたアスランがシンを見上げると、彼の瞳は返答を求めているように見つめ返してくる。いつも、愛を囁く時に見せる表情。
「こんな所でするんじゃない、シン」
人一倍羞恥心が強いせいか、アスランの頬がさっ、と赤く染まる。シンが求めた愛の囁きの返答ではなく、返ってきたのはそれを咎める言葉。
「…ちぇ」
判ってはいたけれど案の定なアスランの反応に少し残念そうな声をあげてシンが苦笑する。そして再び波打ち際へと足をむけた。
「まだ時間平気ですよね?」
「あ、あぁ…あと少し位なら大丈夫だ」
アスランの言葉を背で受けとめてシンはまた海辺で白い波と戯れ始めた。先程の冷たい自分の態度も気にしないかのように。アスランは少々罪悪感を感じた。そういえば、自分はまだ彼に『好き』とも伝えていなかった。いつも彼からの告白に同意するだけで、言葉できちんと伝えた事などなかった。不意にその事実に気付く。
ああ、だから彼はいつも『好きだ』と云った後に自分の言葉を待っていたのか、と。
「本当に、馬鹿だな…俺は…」
ぽつりと呟いてシンを見つめる。シンの姿を自然の太陽が照らしていた。日が当たって煌めく彼の姿。まるで夢を見ているような、平和な時間。今、が戦時中だという事を忘れてしまいそうな程、和やかな瞬間。



ああ、とアスランは頭の中でうなづいた。


だからなのか。
だから彼を好きになったのか。


今まで己の心を理解できずにいた部分が判ったような気がした。


それぞれの信念は強く、時に反発し衝突はするけれど、それでもアスランがシンを求めるのは、彼の飾らぬ姿。彼の長所であり欠点でもある、その純粋な心が、己を和ませてくれる。…己の傷を癒してくれる。一人なら気付かなかった、例えば海の碧さや空の蒼さ、そして風の凪ぎを教えてくれる、存在。

だから彼を求めて止まないのだ、と。



アスランはじんわりと心が暖かくなるのを感じていた。好き、だと思っていた。例え言葉にしなくとも彼の事を、シン・アスカの事を好きなのだと。
だが己が思っていた以上に彼の存在が心の中で大きくなっていたようだ。今、改めてそれを思い知らされる。

「シン」
「なんですかー?」
名を呼ぶと直ぐに彼が振りかえる。
「シン、シン」
「だからなんですかー!!」 
何度も名前を呼ばれてシンが怒鳴る。その姿につい笑みがこぼれた。
「人を犬を呼ぶみたいにみたいに呼ばないで下さいよっ」
名を何度も呼ばれ、しまいには笑われて。突然のアスランの行動が判らず、ぷぅ、と頬を膨らませて拗ねるシンに、アスランは今だ止まらぬ笑いを何とか堪えて、云った。



多分、言葉にした途端、柘榴色の目を大きく見開いて、しかし直ぐに嬉しそうに笑って全身で喜びを表しながら自分に向かって走ってくるだろう彼に。

一回り大きい自分の身体をぎゅう、と力強く抱き締めてくれるだろう、シン・アスカに。



アスランは、云った。





「シン、俺もお前が好きだよ」





2005/08/31 UP (2005/09/04 改稿)
Category [ 時系列(No.00)【番外編・短編集】 ]
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