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千の夜とひとつの朝 06 (#40~42)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/05[ Mon ] 23:35
ふ、と目覚めた時、アスランは相変わらず医務室のベッドの上で。
半ばぼんやりとした思考で眠る前の出来事を思い出す。

そういえば、キラと話していて。
シンとの関係をキラに語っていた時、オーブの危機を知って。

シンが、オーブを、討つと悟って。

無理矢理に起き上がるも身体は耐え切れず、床に這いつくばった事までは辛うじて覚えている。
その時自分を押さえ込むキラに何かを云われ、愕然となった時、意識を手放した事も、おぼろげに覚えていたけれど。

結局はベッドの上で只寝ているだけの現状に、アスランは唇を噛み締める。

何も出来やしない。
こんなにも無力だ。

必死にあがいて、行く先を求めて、そうして漸く掴み取った物は何だったのだろう。
争いを止めたいと願い、陽の当たらない存在となってまでもカガリを支え、そして。
再び始まってしまった戦争を目の前にして、今度こそ止められるならば、と。

一度は捨てた故郷に、ザフトに、先の戦後培ってきたもの全てを投げ捨ててまでも戻ると決意したのに。

結局は道を間違えた。
真実を見抜けなかった。

かつての仲間を、カガリを、ラクスを、そしてキラを、裏切って尚、何も出来やしなかった。

腑甲斐なさに泣き喚きたい程。

それでも手に入れた情報を利用して、道を間違えた詫びにすらならなくとも、今度こそこの手で争いを止めようと決めたのに。

シンを、愛しいと思う少年を、置き去りにしてまでも。

しかし現状はベッドの上で藻掻き苦しむこの身体を心は持て余している。

今直ぐにでも行かねばならぬのに。

議長を問い正し、シンを説得し、争いを止めて。
するべき事はたくさんあるのに。

急く心の思うようには身体は動かない。

「………っ、くそ…ッ!」

知らず知らず呻き声をあげる。
悔しさに拳を握るだけが精一杯だった。



その時。シュン、とエアの抜ける音と共に医務室のドアが開かれた。
誰かが入ってきたらしいが、いつのまにか閉められていたカーテンに遮られ、その者の姿は判別つかなかった。

「…アスラン、さん…?」
幼い声音でアスランを呼ぶ声がした。

聞き覚えのあるその声にアスランは驚きを隠せず、カーテンの向こうを見つめた。
「あ…。アスランさん…起きてたんですね…?」
静かに開かれたカーテンの向こうには、メイリンが居た。
未だアスランと同じく白い病室着を身に纏った少女。
アスランがザフトを脱する際、助力を惜しまず、そして思わぬ形で巻き込んでしまった彼女。
アスランのように脱走の意志はなかったのに、結果として同じ立場にしてしまった彼女、メイリン。

「………メイリン」

ぽつりとアスランが少女の名を呟いた。

「怪我………どうですか?。痛み、ますよね………」
来訪者が来ても身体を起こす事も出来ないアスランを見て、そのひどさにメイリンは言葉を失ったようだった。
毛布で隠れているにせよ、その病状のひどさはアスランの顔色を見れば直ぐに判る。
遺伝子操作で強く生まれた身体を、ここまで弱らせているのだ。ナチュラルならばまず意識をこんなに早く回復するのも難しいかもしれない。
「…君こそ、身体は大丈夫、か…?」
彼女の問いにはやんわりと微笑い、そして同じ事をアスランが尋ね返した。
メイリンもまだ点滴を施された身体だった。
別々に分けられた病室から歩いてこれるだけ体力は回復しているようだが、しかしそのか細い腕には点滴の針が刺さっていて、それが釣り下げられた器具を杖代わりにして歩いている。

「私は、大丈夫です…。アスランさんが、かばってくれた…から…」

そうしてメイリンは俯いてしまった。肩が微かに震えだす。

「メイリン………」

泣いているのだろう。
だがそれに気付いたとしても今のアスランには涙を拭う事すら出来なくて。

「…っ、ごめ…な、さい…っ。私の…せい、で…アスランさん…っ」
「君のせいじゃない…。俺が、君を…巻き込んだんだ…。本当に、すまない」
「いえ!。それは私が…っ。自分から協力を…申し出たんですから…」
「うん…でも、君は…。ザフトを抜けるつもりはなかった、だろう…?」

アスランの言葉にメイリンが弾かれたように顔を上げた。やはりその顔は涙で濡れていた。
当然の事だ。
メイリンは本当に知らないのだ。
彼女の自室で匿われた時、うっすらと悟った程度なのだ。重なった偶然が最悪の結果となり、それだけで巻き込んでしまって。
アスランには謝罪の言葉しか浮かばなかった。
例え今身体が動かなくとも、彼女を救えたのなら、僅かでも恩を返せただろうか。

「私…私、でも、ほっとけなかった…から…。アスランさん、を…助けたかった…、から…」
「メイリン…?」
「確かに…こうなるとは、思わなかったけど…。でも今は…」

メイリンが何を云おうとしているのか、アスランには判らなかった。
何度か瞬きしていると。

「アスランさんの事、恨んでませんから」

泣きながら、しかし、はっきりと。

メイリンが己の本音を伝えた。

「あの場合は仕方なかったと思うし…。それに、おかしいと、思います…。軍も、議長も、レイだって…」

そうだ。
彼女はレイに捕われた上に反逆者の烙印を押されたのだ。
その疑問を抱くのは当たり前かもしれない。

「だから、私は今はこれで良かった、と思います」

ぐい、と涙を小さい手が拭い、そしてアスランに向けられた表情は。

断固とした意志が込められた、もの、で。

アスランの眼差しが、ひどく揺れた。

「………ありがとう。メイリン」

小さく呟かれた言葉が微かに震えていたのを、メイリンは気付かない振りをした。

ふい、と逸らされたアスランの目尻に、涙が浮かんでいたのは。
きっと気のせいだろう、と。

そう思って、メイリンは漸く微笑う。

彼と違って、何も知らない、何も判らない。

かつては敵として追い掛けていた艦に今居るのだけれど。
接してくれた人達は皆優しくて。
ナチュラルだとか、コーディネーターだとか、そんな事は些細な違いだと。同じ、人間だからと。接してくれるから。

だから、大丈夫。

もう戻れないのは辛いけれど、まだ気持ちの整理はつかないけれど。

大丈夫。きっと、大丈夫。

そう、心の中で言い聞かせて。
メイリンは微笑う。アスランに、笑顔を見せる。



それは、この艦に来て、初めての笑顔だった。
Category [ 時系列(No.06)【千の夜とひとつの朝】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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