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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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侵食 20 (#38~39)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/11/21[ Mon ] 22:56
「…カガリ、アスラン起きてる?」

突然扉が開かれて、キラがそぉっ、と医務室に顔を出した。
その仕草がまるで無邪気な子供のようで、いきなりやってきたキラに驚いた視線を向けたカガリが、次の瞬間には、ぷ、と吹き出していた。
「…何で笑うの?」
「あ、いや、何でもない」
笑われた事に不思議そうに尋ねてくるキラに、カガリは慌ててそう告げた。
然程気にしない様子でキラが室内に入ってくると、カガリの横に立ち止まる。
「…キラ」
アスランが柔らかい声音で名を呼ぶが、キラは彼に対し何故か硬い表情をむけた。
アスランが訝しむ。
「…カガリ、ごめん。アスランと二人だけで話があるんだ…」
ぽん、とカガリの肩に手をやり、キラがすまなさそうに話し掛けると、カガリは一瞬戸惑いをみせ、切なげな表情をキラに向ける。
「…あ、うん。判った。…じゃあ、また来るから…」
小さく告げてカガリは席を立ち、そのまま医務室から退室していった。
後ろ姿が淋しそうで、アスランはキラを軽く睨み付けて声もなく責めた。
「………」
しかしキラはアスランの眸を見ようとせず、そのままカガリが座っていた椅子に腰掛けると今度は後ろを振り返った。

そこにはもう一人、住人が居る。
過日地球軍との戦闘で捕虜として収容された男。
しかし、キラ達がよく見知った男。
何らかの形で記憶を失うか操作されたであろう男は、キラ達を覚えていない。
しかしそれでも元来の性格は変わらない。
今もカーテンを閉めきり、アスランとの空間を閉ざしている。
多分彼なりに気遣ってくれているのだろう。
壁に取り付けられたモニターで何処かのTV局の報道を見ているらしく、時折キャスターの声が漏れ聞こえていた。
カーテンに仕切られ様子は伺えないが、きっとこちらの会話をも聞いているだろうが、彼は詮索などしない。
今は違う『人間』だが、それでも何故か信用できた。

心の内でそれを思いながらキラは漸くアスランと視線を交わした。

「………例のデータ、キサカさんから受け取ったよ」
それだけ告げて、キラはアスランから視線を外し、膝の上で握り締めた己の拳を食い入るように見つめる。
「…一応、中もファイル開いて見たけど…後で詳しい事聞きたいんだ。いいかな…?」
「いや、何かあるのなら今話すが…」
キラの言葉にアスランは今でなければならぬ、と急かす。

しかし未だアスランの身体は、意識が回復し峠は越えたとはいっても万全ではない。
左手首の辺りには点滴の針が刺さった状態で、常時痛みを和らげる鎮痛剤と栄養剤が体内に送り込まれている状態だった。
本当ならばまだこうして会話するのも医師に控えるよう通達がでている程だ。
満足に身体を起こす事も出来ず、あちこちに巻かれた包帯の白さが痛々しい彼を、今はまだ休ませる事が先決だとキラだけでなく皆が考えている。
特に胸部は一番ひどく、呼吸を繰り返すだけでも痛みを感じている筈なのに。
しかしアスランは努めて冷静に、何事もなかったかのように振る舞うのだ。
元来弱った姿を見せまいと強がる彼だから、それを知るキラにすら弱り果てた己を隠されて。無性に悲しくなった。

「…駄目だよ。君の身体はまだ…」
やんわりとキラはアスランを治めようとするが、彼は横たえた身体を動かし始めて無理矢理に起き上がろうとする。

「…っ、しかし、それじゃ、遅いんだ…ッ!。う、ぐ…っ!」
「アスラン!。駄目、まだ起き上がったら駄目だよ!」

必死に両肘をついて上半身を起こそうともがくアスランだったが僅かに胸部を浮かせただけで激痛が走り、息を詰め、げほ、と咳込んで。
キラが慌てて彼の肩を押さえ、シーツに沈めて寝かせてやる。
「…っ、でも、急が、なければ…っ。全て、おわ…る…」
やはり自力では起き上がる事すら出来ないアスランは右手を胸元にあて、其処を掻き毟るように身につけている病室着を、ぎゅう、と握り締めながら呻く。
先程まで平静だった声音は途端に荒々しいものとなり、時折ひゅ、と喉を鳴らして。

そんな身体で、何故急ぐのか。
確かに事は重大だが、キラにはアスランの急く理由が判らない。否、判りたくなかった。
ふ、と視線をアスランにむけて、キラは静かに問い掛けた。

「…どうして、そんなに急ぐの?」
「…キラ!。判らない、のか…アレを見たのなら、どんなに、危険な事か………っ!」

一瞬何故キラともあろう者が、アスランが掻き集めたあの機密データを見て焦りを感じていないのか、判らなかった。
どんなに身体が痛もうと構わずに声を張り上げて言い返そうと、アスランはキラを、見た。

刹那言葉を失う。

キラの表情は、さっき医務室にきた時の年相応な少年のものでもなく、そしてアスランがよく知る心優しい彼のものでも、なかった。

ひどく冷めたような、感情のない、カオ。

「…ねえ、どうしてそんなに急いでいるの?。君は急いで何をしようとしているの?」
「………っ、キ、ラ………」

思わずゾクリ、と背筋に寒気が走る。
キラの眸を凝視して、アスランは何故か彼を恐ろしくも感じて。
「君は、あのデータを僕達に託すと、キサカさんに渡したよね?」
「………あ、ああ」
「それで?。渡した後は、どうするつもりだったの?」
キラは感情の込められていない眸でアスランを、アスランの本心を探るかのように見つめ続けている。
その視線に耐え切れなくなったアスランがキラから逃れるように顔を逸らした。
だが直ぐにそれはキラの発した言葉によって戻される。

「………本当は、何処に、行こうとしてたの?。アスラン」

その言葉に弾かれたかのように、アスランは眼を見開いて。

恐ろしい、とすら感じるキラを、キラの問い詰める眼を、睨み返した。
Category [ 時系列(No.05)【侵食】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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