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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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侵食 18 (#38~39)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/11/18[ Fri ] 02:25
「…シン」
「…あ、ルナ…」
声の主を振り返れば、其処にはルナマリアがいた。
「…何?」
複雑な表情をして立っている彼女に、まだ怒りを抑えきれていないシンが憮然と尋ねる。
「…うん。………さっきは、ありがとう」
「…あ、いや…別に、気にしなくてもいいよ…」
云われて急にシンの態度が変わった。
彼女を守る。
そう告げた時の事を思い出し、爆発しそうだった怒りが急激に萎んでいくのが自分でも判った。
その気持ちは変わらない。
今も同じだ。
だが、それは果たして同情なのか、罪悪感からなのか。
シンには判らない。
それでも今は、縋りたくて。
甘えていると思うけれど、それでも今は彼女に縋りたくて。
でなければまだ癒えない記憶が己を食い荒らしそうだった。
視線を泳がして困惑するシンを、ルナマリアは苦々しくも微笑みかけて。

「…守るって云ってくれて…嬉しかった」

そう告げた。
縋りたいのは自分も同じだから、と。
シンもルナマリアも、気付いている。
この気持ちは偽りだ。
本当に求めているものは別にある。
けれど失ってしまった者は戻らない。
それを認めるには互いに精神が未熟すぎる。
だから偽りでも、擬似恋愛でも。
今は二人、縋らなければ前には進めない。

「…シン、大丈夫?」
「ああ、俺は平気…。ルナは?」
「うん、私も」

そっと伸ばされたルナマリアの手がシンの頬に触れる。シンも彼女の手を握り締めて。
前に進む為に、全てを終わらせる為に、互いを選びとろうとしていた。



ルナマリアと別れ、自室に戻ったシンは何気なくデスクの上にあるノートパソコンを立ち上げた。
まだ同室のレイは戻ってはおらず、僅かに安堵する。
まだ今はレイと会ってもあの時の事を思い出してしまうから気持ちは複雑だった。
そして立ち上げた端末をなんとはなしにいじり、メールチェックをした。
部屋の備品であるから勿論私用で使うのは許されないが、プラントから離れた兵士達が家族や友人と他愛もない連絡を取り合う位は許されていた。
しかしシンにはもう、そんな人は居ないのだけれど。
レイにも同じ事が云えるのか、彼にも余りメールはこない。
自分でも判っているのに、何故だろうか。
ついその時はチェックをしてみたのだった。

久しぶりに繋いだ回線を通して、幾つかのメールが受信されていく。
その殆どがプラントから戦災孤児となったシンへの義務的なものだったが、あるひとつのメールを見つけて、不意にシンの意識がそれに集中する。

「………え」

マウスをクリックしてその気になったメールを開いた。

見覚えのないアドレス。
明記されていない差出人の名前。
しかし、何故か視線は開かれたメールに釘づけとなる。

アドレスの一部に、見知った名前を、見つけたのがきっかけだった。

どこからか借りてきたサブアドレス。
そのアドレスの一部に使われている、名前。

『アレックス』

それに、シンが、息を飲んだ。

開かれたメールの本文にあった、メッセージ。



『シン、ごめん
俺は、行くけれど
でも………
心は、お前と共に』



短い、短い、言葉。

「………っ、あ、嘘…だ…」

途端に震える声。
霞む視界。
デスクの上にぼたぼたと水滴が落ちる。

送信日時は、あの日。
彼と判り合い、抱き締めて眠ったあの日の、朝。

まだ議長に会いに行く前の、彼が起こした事件が発生する前の、時刻。

「…アスラン………?」

シンには直ぐに誰なのか判った。
『アレックス』は彼が使っていた偽名。
そして記された本文の内容。
恐らく誰が見ても不審がられないようにと、細心の注意をはらって送信されたであろう。
あの日、彼の部屋で、眠るシンに気付かれないように。

アスランが、シンに、送った、最後のメッセージ。

涙が止まらない。
枯れたと思った涙が、まだ溢れてくる。

傍には居られないけれど、気持ちは変わらない。
愛している、と。

過去から届けられたアスランの言葉。

刹那甦る最後の言葉。
機体のモニター越しの告白。

『愛してる』

鮮明に、甦る。

あの時から、シンに抱かれながらも、アスランは軍を離脱する事を決心していたと知った。
しかし、決して気持ちが変わったからではないと。
想いは同じだけれど、守る為に、行くのだと。

今更アスランの真実を知ってもシンの涙は止まらない。

彼を、殺してしまった事実は変わらないのだ。
恐らく過去の彼もそれは考えていないだろう。

見なければよかったとシンは静かに泣き続けて。

そして、アスランからのメッセージを消去した。

このまま残してはいられない。
同室のレイに見つかる可能性もある。
それを覚悟して送られてきたであろうメッセージを、シンは自らカーソルを操作して消し去った。

もう、遅い。
今更アスランを想っても、アスランの気持ちを知っても。
彼を殺してしまった自分を許せない。
ザフトから、そして自分から離れたアスランを、今はまだ許せない。

未熟な精神は受け入れられず、軋み続けているのだ。
もうこれ以上は、心が壊れそうだった。

「………っ、ぅ、う………っ」

とうとうシンはデスクに突っ伏して泣きじゃくりだした。

心が寒い。
彼が居ない、この世界が、寒い。

寒くて、寒くて。

シンの心は、更に深くなる傷に侵食され続けていった。
Category [ 時系列(No.05)【侵食】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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