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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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侵食 19 (#38~39)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/11/18[ Fri ] 02:22
ゆら、ゆら、と。
意識が、緩やかに、浮上する。

「………っ、ぅ」

アスランがひどくゆっくりと閉じられていた目蓋を開いていく。
呻きにも似た吐息を吐きながら目覚めたアスランは、傍に誰かが居るのに気付いて視線をそちらに向ける。

「………カガリ?」

そこにはカガリが居た。
ベッドサイドの椅子に腰掛け、疲れたのかベッドに伏せるように転寝をしている彼女の綺麗な金の髪が、天井から降り注ぐ人工照明の光に照らされて眩しく感じる。
「………っ」
その髪に触れようと指先を動かそうとするも、未だ身体はアスランの意志の通りには動かなくて。
微かに蠢いた指先がシーツをさざめかせただけだった。
「…っ、う、ぅ…ん?」
カガリが不意に声を洩らして、のそり、と伏せていた頭をあげた。
「…あ、ごめん。ちょっと…寝てたみたいだ」
「…いや、いいよ…俺も、今、目覚めたばかりだから…」
そう呟いたアスランの言葉に、カガリが、ふわ、と微笑んでみせた。

あの日、アスランが突然AAに救出されてから数日が経過していた。
瀕死の状態で担ぎ込まれ直ぐに緊急手術が施されたが、しかしアスランの病状はひどく辛うじて生き延びられたに近い状態だった。
最初の日は意識も戻らず、次の日になって漸く意識を取り戻すも記憶が混濁していて、何度か僅かな時間目覚めた以外はずっと眠り続けていた。
優れた能力を保つコーディネーターであるアスランですら生死を彷徨う程だったのだ、きっとこれがナチュラルだったならば絶命していたに違いなかった。
アスランの驚異的な回復力によって漸く意識もはっきりとし、短時間ならば通常の会話も出来るようになったのが今日。
その間何度もカガリはアスランの元を訪れていたのだった。

「…具合、どうだ?。何処かおかしい所はあるか…?」
目覚めて、顔を合わせれば必ず聞かれる言葉。
カガリなりに心配してくれているのは判る。
判るが、しかし。
「………ああ、何とか………生きている、みたいだな」
やや自嘲的に呟き返すと、カガリがあからさまに顔をしかめる。

「…冗談でも、そんな事云うなよ…」
「………すまない………」

カガリにしてみれば怒るのも当然の事だ。漸く会えたのに、死にかけていて、今もまだ心が不安定なまま回復していない。
そんな状態のアスランを彼女が心配しない筈がないのだ。
申し訳なく思ってアスランが小さく謝罪した。

かつて自分に対し『生きろ』と云って救ってくれた彼女に、そして自分を愛してもくれたカガリに、こんな形であたる自分がひどく惨めだった。
そうだ。カガリは自分を愛してくれていたのだ。
自分もそんな彼女を愛していると、思っていた。
だがそれは友愛的なものに近く、全てを失い迷いかけていたのを救ってくれた彼女に甘え、縋っているだけだ、と気付いたのは何時だったろうか。
カガリもそれをうっすらと悟り、二人の間が変わりだしたのは。
ちょうど、アーモリーワンに赴いた頃、ではなかったか。
そうして彼女から離れ、やがて…出会い、ひかれ、結果的に彼女を裏切った気がして。
逃げた訳ではない。
今も彼女を好いている。
ただその想いは、キラやラクスにむける想いと同じだったのだけれど。
カガリはそれでも笑って許してくれた。
深い想いをひたすら抑えて、傍に居てくれたのに。

「………本当に、すまない」

もう一度謝罪した。
これだけでは足りない位、彼女に対し心の中で陳謝し続ける。
するとカガリはアスランの謝罪の意味を悟ったのか、哀しげに微笑って。
「…そうだ。彼女。アスランと一緒にきたあの子」
と別の話題を切り出した。
「…メイリン?」
「そう。彼女。あれからちょっと熱が出て…。今はまだ眠っているんだ」
混濁した意識の中で何度かアスランが尋ねた彼女は、アスランが庇った甲斐あって、あの爆発に巻き込まれても軽傷ですんだ。
まだ少し打撲や擦り傷が痛んでいたし、念の為の検査も続いていてアスランとは未だ会えていなかった。
「…そうか」
「多分、疲れも出たんだろうって。今はミリアリアがついていてくれてる」
それを聞いてアスランが安堵しつつも複雑な表情を浮かべた。
カガリも気付いて同じ表情になる。
「…ミネルバに居た子だよな…?。あの子」
「………ああ。助けてくれたんだ…俺を」
そろ、と静かに目蓋を伏せたアスランの脳裏にその時の記憶が甦る。
「同じMSのパイロットの子の妹で…余り話した事もないのに、な…」
そんな、繋がりの薄いメイリンまで巻き込んでしまった己の甘さに嫌気がさす。
覚悟していた筈なのに、結果的にメイリンが居なければ一人ではどうする事も出来なかっただろう。

そして、もう一人の、彼女。
ミーア。彼女も、助けてくれた。
今自分が生きているのは、皆のお陰だと、今は会えない彼女も含め、アスランはそっと心の中で感謝する。

「…俺は、焦り過ぎていたんだろうな…」
「アスラン…」
「少しでも早く、争いを終わらせたくて…。自分でも何か出来るなら、と…そう思ったのに…」
アスランの独白は哀しさと、そして想いとは裏腹に何も出来ずに翻弄されている自分への腑甲斐なさも含まれていて。
「…アスランだけじゃない…私も、焦っていた」
カガリが視線をそらし、座る自分の膝を見つめながら呟いた。
「父上から授かったオーブを、私が守らなければ、と…それだけに固執して…。きちんと情勢を把握出来ていなかった」
確かに以前のカガリは自らの思いに翻弄されていた。
国を守ろう、再び焦土にしてはならぬ、と。
それだけを思い、若いながらに奔走してきた。アスランもそんなカガリを助けたくて共に居たからよく知っている。
思いが強すぎて、真っすぐすぎて、空回りする事も多かった。
結果的に外部に目をやりすぎて内部の暗躍に気付けないで、キラに救われなければあのまま操られていたに違いない。
今も焦燥感がカガリの強い意志を曇らせているのだ。

「…なかなか、うまくいかないな…」
カガリが、ぽつり、と呟いた。

「………もう、全て、遅すぎるんだろうか…」
今にも泣きだしそうな声音でカガリが弱音を口にした。

しかしアスランは頷かずに。
それまでぼんやりと見上げていた天井を、急に睨み付けて。

遅いのだろうか。
もう、間に合わないのか?。
否、違う。
まだ、遅くはない筈だ。
でなければ何の為に自分は危険を犯してまで軍から機密を盗みだし、瀕死になりながらも脱したのか。
愛しい者を置き去りにしてまで、彼を取り巻く未来を守りたい、と決めたのに。

アスランの記憶の中のシンが、鮮明に甦る。

まだ、遅くはないのだ。
これからでも、救えるのだ。
シンも、世界も。全て、まだ。
例え、其の為に、己は幸せになれなくとも。

「遅くなんか、ない…」

アスランの呟きは、カガリの耳を掠めて。
思わず顔を見つめ、聞き返した。

「………え?」

「まだ、間に合う…大丈夫、だ…」

アスランはじっと、天上を、その向こうにいる誰かを見つめて。
自分自身に言い聞かせるように、呟いた。
Category [ 時系列(No.05)【侵食】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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