1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
スポンサーサイト
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   --/--/--[ -- ] --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category [ スポンサー広告 ]
侵食 16 (#38~39)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/11/15[ Tue ] 21:30
不意にアスランの身体が微かに震えたのをキラとカガリは見逃さなかった。

その身を切り裂くような激痛ではなく、明らかに心因的な震え。

「アスラン?」

カガリが不安げに名を呼んだ。
するとアスランは飛びかけた意識を記憶の中に居る少年から現実世界へと戻し、未だ巧く動かせない唇を僅かに開いて。

「………ただ、守、りたか…た…の、に…」

と、吐息に満ちた声音で語り始めた。
眸はカガリ達からそれ、天井の白い色をじっと見据えている。
「…アスラン?。何…?」
余りに小さい声は聞き取りにくく、カガリが泣きながら覗き込むように身体を動かした。
キラは沈黙したままアスランの僅かな変化も逃さないようにと見つめている。

「…カ、ガ…リ…も、キラ…も、…す…べて…守り、たか………た」
「………アスラン」
「だ…か、ら…力…欲し、…く…て…」

ひとつ言葉を発する度に胸部に激痛が走り、アスランが苦しみ呻きながらも必死に言葉を繋いで己の心を伝えようとする。
しかし麻酔ですら押さえられない痛みは確実にアスランの気力を削いでいく。
「アスラン…アス、…ラ…ンっ」
彼の呟きをひとつ残さず聞こうとするが、その苦しむ様にカガリは耐え切れなくなり、涙を散らして横たわる身体の横に顔を埋めてしまった。

もういい。もういから、と。

アスランの独白がひどく胸に突き刺さる。

彼の気持ちはよく判っている。
守りたいからと、しかし守る為の力がないからと、それでも出来る限りの事がしたくて。
一度は捨てたかつての故郷を、アスランはどんな想いで見つめ、そして選びとったのだろうか。

今なら判る。
その想いはオーブを想う己と何も変わらない。
国こそ違えど、想いは同じなのだ。
軍に復隊したのも、戦いたかったからではない。
カガリがオーブを守りたいのと同じように、アスランもプラントを守りたくて、そして平和を貫きたかっただけだ。
近くからではなく、遠くから、プラントを守り、そしてカガリ達が居るオーブをも守りたかったのだと。

離れ離れになった今になって漸く理解できた。

随分と回り道をしてしまったけれど。
すれ違い、決別までしたけれど。

何処にいても想いは同じだったのだ。

アスランの言葉に、カガリは泣き崩れ、キラもまた顔をしかめて視界が潤むのを感じていた。

「…デュ…ラ、ン…ダル…議長…は、それ…知っ、て………」

話が核心へと触れた。
その名を聞いてキラもカガリも、心が騒めくのを感じる。

「しか…し、彼…は…。俺、…を…戦、う…者…として…利用…する、…つ…も…りで………ッ」

次第にアスランの声音が歪みだし、ひゅう、と喉を鳴らし始めた。
その変化にキラが焦り、アスランに制止を呼び掛けた。

「アスラン、もういい。いいから…今は喋らない方がいい」
「…で、も…キ…ラ。彼………はっ、人間…を…っ」
「アスラン」

全てを、真実を伝えねば、と急くように語るアスランだったが時折息を詰め、酸素が足りない喉をひくつかせて。
恐らく声を発するだけで胸部に激痛が走っている筈だ。
キラは少し強めに彼の名を呼んだ。
これ以上は、本当に危険だと判断したのだ。

「今は無理しなくていい…。また、話せる時間はあるから…」

そして焦るアスランを落ち着かせる為に、キラは無理に微笑んでみせた。

「…また、話せるから…僕達は…。だから、今は…眠ろう。ね…?」

アスランを安心させるかのように首を傾げながら伝えると、アスランの眸から焦燥感が薄らいだ。

そうだ。まだ、話せる。
急がなければ間に合わないかもしれないけれど。
でも、もう彼らとの時間を阻むものはない。

今少し休息を得ても、また目覚めれば直ぐに話す時間はあるのだから。

苦痛と焦燥で満ちたアスランの意識にゆっくりと安堵の気持ちが沸き起こった。
と同時に開かれていた目蓋が急に重く感じられて。

ああ。

眼を閉じれば、また、彼が居る。

彼に、逢える。

束の間の幸せを与えてくれた頃の彼を、思い出して。

早く、早く、全てを伝えて。
そして、自分は行かねばならない。
混迷する世界を、争いをなくしたいと願った彼の未来を、守る為に。

しかし今は少しだけ、この疲弊した身体を、休めよう。

「………っ」

そして、ふう、と意識が閉ざされていく。
目蓋が閉じ、辺りは闇になる。
だが以前囚われた闇とは違う、彼の髪のように温かみを感じる闇に。
アスランは次第に引き込まれて。

「………………シ………っ」

小さく小さく、何か、を呼んで。

アスランは再び眠りだした。

意識を失う瞬間にアスランが呟いた言葉。

『シン』

その言葉を、キラは聞き漏らさなかった。
Category [ 時系列(No.05)【侵食】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
COMMENT






  
Web 拍手
少しでもお気に召して戴けたならぽちっと 押してあげて下さいw

Web拍手

気紛れでお礼SSを更新中。 お返事は日記の方で不定期にしてたりしてなかったり。 日記へはリンクコーナーからどうぞw。
カレンダー
最新記事以外のログはカレンダー日付からどうぞ。
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
サイトについて
当サイトはガンダムSEED DESTINYの二次創作小説サイトで、シンアスオンリーで活動中です。 女性向の同人的要素満載な上、性描写を思わせるSSも多数UPしております。 (もろそういうのは全てR18裏に隠しております) そういったものが苦手な方、及びシンアスに興味のない方は、閲覧つらいかと思われますので回れ右して下さいませ。 そして学校、会社等の公共施設での閲覧もご遠慮下さい。

現在仮オープン中ですが、いずれ正式に開設予定。 しかしこれからオフ生活が繁忙期に突入な為、 年内の開設はけっこうきつい今日この頃。
ブログ検索
メール
管理人へのご連絡はこちらから。シンアス同志少ないのでいただけると泣いて喜びます。 ご意見ご感想、好きなシンアスシチュ等何でもOKですのでお気軽にどうぞ。

メールフォーム

お返事は余程の事がない限り必ずしております。 シンアスシチュが管理人のツボにはまったら書く可能性大w。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。