1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
スポンサーサイト
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   --/--/--[ -- ] --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category [ スポンサー広告 ]
侵食 15 (#38~39)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/11/14[ Mon ] 23:43
シンは、病んでいたのかもしれない。

アスランを、殺してしまった、と。
自分が、殺してしまった、と。

『真実』など知る由もなく。
心を、精神を、病んでいたのかもしれない。

日常を何事もなく過ごしていても、不意に襲いくる虚無感がシンの心を軋ませて。
それが戦闘時には鬼神の如く振る舞わせていたのかもしれない。

それ程ヘブンズベース戦で見せたシンの戦いには鬼気迫るものがあり、海底に潜み歯痒い思いで戦いの行く末を見つめていたキラ達AAクルーに恐怖を感じさせていた。
未だ深手を負い艦の修理に急かされているAAは潜航しつつ世界の情勢を注視していたのだった。
今までならあの場に赴き、少しでも戦闘を回避できるよう突き進むのだが、それすら出来ない状況で拳を握り締めるだけで。
艦はダメージがひどく、しかも主力というべき『フリーダム』を失った現状ではどうする事も出来ない。

しかし、いついかなる時でも動けるよう、全てを把握しなくてはいけないと。
はやる気持ちを抑えて今はただ、その時を待っていた。

キラに漸く許しを得たカガリが医務室へと駆け付けた。
シュン、とエアの抜ける音と共に自動で開くドアの動作ですら遅く感じる程、カガリは焦りを顕にしていた。

離れ離れになっていた彼とやっと出会えた時、彼はザフトに復隊し『あちら側』にいて。
そして今。
開かれたドアの向こうにいる彼は、アスランは、ベッドの上で静かに眠っていて。
弱い息は今にも命の灯が消えてしまいそうで恐怖にかられる。

「………ッ!」
「…カガリ、静かに…ね?」

アスランの痛々しい姿を眸に映したカガリが彼の名を思わず叫びそうになり、ベッドの横の椅子に腰掛けていたキラが唇に指をあててそれを制止した。

「…まだ、麻酔効いてるから…意識は、はっきりしてないんだ」
「………すまない」
「うん、いいよ」

キラに近寄りながらカガリがすまなそうに俯いて謝罪する。
カガリのはやる気持ちも判るから、キラは仕方ないよ、と微笑う。
その表情は柔らかく、唯一の肉親へと向けられた優しいものだった。
そしてキラが退いてカガリを椅子に座らせると、彼女は身を乗り出すようにアスランを見る。
アスランは先程僅かに覚醒したけれど、また眠りについていた。
術後の麻酔が彼の意識を混濁させているから、今はまだちゃんとした会話は無理だろうとキラはカガリに伝えていた。

それでも逢いたくて。

カガリは弱々しい呼吸を繰り返し、青ざめた顔で眠るアスランを静かに見つめている。
それだけなのに、眸が熱くなって視界が潤みだす。

一体どれだけそうしていただろうか。
二人じっと見守る中、傷つき眠るアスランの目蓋がピクリ、と痙攣して。

そして再びゆっくりと開かれていく。

「ぁ、…アスラン!」

驚きと興奮でカガリは思わず叫びそうになる。
キラがそっと彼女の肩に触れて静かに、と無言で促した。
伏し目がちに開かれた目蓋の奥で翡翠の眸がゆらゆらと揺れて、静かに視線を巡らせていく。

見上げていたまっさらな天井から、金の髪の少女へと。
アスランは視界に鮮やかな色彩を映しこんで。

「………カ…ガり…」

薄く開かれた唇から震えるような声音で名を呟く。

「…あ、あ………。カガリ、だ…」

ひどくゆっくりと首を僅かに動かして横に居るカガリを、ぼんやりとした表情で見つめながら微かに微笑んだ。

全身を襲う痛みを取り除く為の麻酔がアスランの意識を混濁させている。
その為、まるで白昼夢を見ているような彼を、カガリは哀しく思いつつも額に張りついた藍の髪をそっと指で払ってやった。
汗を吸い込んで艶を失った前髪が指の動きにあわせて、はらり、と横に滑り落ちる。
アスランの視界にカガリの指が入り、きらり、と何かが光を反射させた。

それが何であるか、たゆたう意識の中でアスランはしっかりと理解する。

己が、彼女に、贈った『指輪』。

途端に眸を揺らめかせて、アスランが僅かに眉をしかめ、ふい、と視線をずらした。

その微かな反応に勿論カガリもキラも気が付いて。

カガリが触れていた指を、指輪が光る指を、もう片方の指で隠すように握り、そして己の膝の上に置いた。
次第にカガリの身体が小さく震えだし、視線をアスランからそらして俯いた。

「…ど、うして………こんな………っ」

絞りだされた声は途切れ途切れで、俯いていても泣いているのをが判った。

漸く逢えたのに。
なのに、こんなにもアスランはぼろぼろで。
カガリも、想いを素直に表せない。

二人を取り巻く状況も、世界の現状も、共に居た時とは違ってしまった。

それが、哀しくて。

何故だろうか。
もう、元の二人ではないのだと。
戻れない、変わってしまった、と。

カガリはそう実感して泣いた。

逢いたくて逢いたくて。

ずっと願っていたこの再会を、しかし思いのままに表す事が出来なくなっている。
彼には彼の信念が。そして自分には信念と愛する国が。
それらのものが、どうしても二人の間に見えない壁を作り出してしまうのを、感じてしまう。

「…ど…して…こんな、事………っ」

何度も繰り返しながら泣き続けるカガリの涙を、今のアスランは止める事も拭う事も出来ず。
後悔にも似た悔恨の念にかられて目蓋を伏せた。

どうして。

ぼんやりと霞みがかった思考にその言葉が重くのしかかる。

どうして。

同じ疑念は己にもある。
しかし、答えを持ち合わせていなくて。

次第に意識ははっきりとしだし、記憶の中に眠る光景が脳裏に鮮明に甦る。

彼ら、キラやカガリと共に居た時間。
そして信念の為に、離れた瞬間。
隠れるように再会し、すれ違う思いによって決別した瞬間。

一体、何を成し遂げたかったのだろうか。

一度は捨てた母国へ還ると決意した瞬間。
合流した艦で、彼と再び出会い。

そして。

不意に、アスランが唇をわななかせた。

「………っ、ぅ」

覚醒した記憶が、彼を、シンを、まざまざと甦らせたからだった。

アスランの変化に、カガリは動揺を顕にし、そしてキラは。

何かを、気付きかけた。
Category [ 時系列(No.05)【侵食】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
COMMENT






  
Web 拍手
少しでもお気に召して戴けたならぽちっと 押してあげて下さいw

Web拍手

気紛れでお礼SSを更新中。 お返事は日記の方で不定期にしてたりしてなかったり。 日記へはリンクコーナーからどうぞw。
カレンダー
最新記事以外のログはカレンダー日付からどうぞ。
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
サイトについて
当サイトはガンダムSEED DESTINYの二次創作小説サイトで、シンアスオンリーで活動中です。 女性向の同人的要素満載な上、性描写を思わせるSSも多数UPしております。 (もろそういうのは全てR18裏に隠しております) そういったものが苦手な方、及びシンアスに興味のない方は、閲覧つらいかと思われますので回れ右して下さいませ。 そして学校、会社等の公共施設での閲覧もご遠慮下さい。

現在仮オープン中ですが、いずれ正式に開設予定。 しかしこれからオフ生活が繁忙期に突入な為、 年内の開設はけっこうきつい今日この頃。
ブログ検索
メール
管理人へのご連絡はこちらから。シンアス同志少ないのでいただけると泣いて喜びます。 ご意見ご感想、好きなシンアスシチュ等何でもOKですのでお気軽にどうぞ。

メールフォーム

お返事は余程の事がない限り必ずしております。 シンアスシチュが管理人のツボにはまったら書く可能性大w。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。