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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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侵食 11 (#38~39)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/11/12[ Sat ] 23:34
やがて漸く泣き止んだシンは、しかし未だぼんやりとしたままでルナマリアの腕の中でじっとしていた。
目の辺りがひどく腫れぼったい。
散々泣き喚いた後だから仕方がない事ではあるが、こんな不様な泣き顔をルナマリアに見られてもシンは気にする事はなくて。
「………ごめん」
と、そう呟いた。
みっともない姿を見せてしまったからなのか、それとも。
言葉の真意は判らなかったが、しかしルナマリアはお互い様、だと薄く微笑んで告げた。
「ほら、いい加減準備しないと…もう直ぐ『作戦』が始まるわよ」
「………うん」
優しく云って抱き締めながらシンを立たせるとルナマリアは俯いたシンの前髪に触れる。
長く伸びて表情を覆い隠す前髪をそっと払えば、その下から目を真っ赤にしたシンの困ったように笑う顔が見えて、思わず鼓動が跳ねた。

「…なんか、ルナ、…お母さんかお姉さんみたいだ…」
「…あんた、ねぇ…若い女性に対してソレはないでしょ」
「そっか。ごめん」

いつも張り詰めた空気を纏って心を許さぬ者には歯向かってばかりの少年の、初めて見る素直な態度に知らず心を掻き乱されそうになり、ルナマリアは平然を装って毒づいた返事を返す。
するとまた素直に謝る彼が、何だか可愛らしくて。

こんなにも根は優しくて、素直で、真っすぐな少年。
汚れを知らないままに、絶望によって堕とされた所為で本来の自分を必死に隠して『敵』にむかっていって。
いつしか感情を正直に表せなくなったのかもしれない。
というよりコントロールをうまく出来なくなったのだろう。
心を許していない他人には扱いづらいと認識されて久しい。

それでも心に隠された本当のシンは、こんなにも良い子だ。

きっと、アスランも、それを知って。
シンにひかれたんだろうか。

今は居ない人の、シンにひかれた気持ちが判るようで、ルナマリアは困ったように笑った。
漸く抱き合っていた身体を離し、ルナマリアは先に行くよ、と告げて室内から立ち去ろうとした。

そして不意に思い出したかのように足を止め、振り返りシンに云った。

「…そうだ。私、『インパルス』に乗る事になったから」
「………え!?」

彼女の言葉にシンが驚く。
過日の戦闘でぼろぼろに破壊してしまった『インパルス』は、しかし修復すればまた大空を駆ける事は可能だと、整備クルー達が連日連夜作業に追われていたのは知っていた。
元の持ち主であるシンは新たに『デスティニー』を議長から直々に受領され、もう『インパルス』に乗り込む事はなく。
誰かが代わりに受領するだろうとは思っていたが、しかしそれがまさかルナマリアだとは。

「…嘘。ルナが…?」
「何よ、それ。………まあ、私も自分で驚いてるけどね」

呆然としているシンの言い方に口を尖らせつつもルナマリアは正直に自分もそうだと同意した。
ルナマリアも赤を纏う者として女性ながらに認められた存在だ。
実力はある。

だがその決定は、ひとつの事実をも知らしめる。

それは、『レジェンド』の事。

アスランが貰い受ける筈だった機体。
だがそれを拒んで置き去りにした機体。
それを、レイが、代わりに乗るのだろう、と。
ルナマリアが『インパルス』ならば必然的にそうなるだろう事は判りきっていた。
アカデミー時代はシンはMS戦や白兵戦等の類のものを、ルナマリアは情報処理や爆弾処理等の類を得意としていて。
レイはそれら全てを人並み以上にこなす上でMS戦における空間認識能力がずば抜けていた。
だから当初最新鋭の機体である『インパルス』をレイではなくシンが受領した事も驚いたが、今回もその決定には別の意味で驚いた。
前回の受領も今回の決定も議長が決めた事らしい。
ならば何か考えがあるのだろうか。
それは判らない。
確かに彼ならばあの機体にあるドラグーンシステムを誰よりも使いこなせるだろう。
だがいわくつきとなってしまった機体を、そして恐らく軍内部でも最重要機密であろう機体を、レイが乗るのだ。
それは勲章を貰い受けたシンやフェイスに属していたアスランとは違い、議長とレイの繋がりを匂わせるような決定に思えた。

「とにかく、そういう事だから。先にいくわね」
「…あ、うん」

ルナマリアはシンを置いて戦闘準備の為に格納庫へと向かった。
一人取り残されたシンは、涙で潤んだ眸で室内をぐるりと見回して。




アスランの気配を、感じられなくなったその空間に。

「………さよなら………」

ぽつり、と呟いて。

前を、向いた。

もう、迷う時間は、ない。

どんなに打ち拉がれていても情勢は目まぐるしく変わりゆく。
大切な人を、アスランを、自ら壊し、『殺して』。
失ってしまったけれど。

彼も望んでいた『争いをなくす為』に。

シンは、現実に漸く目を向けたのだった。

まだ心は痛むけれど、そう簡単には癒えないけれど。
しかし、今自分は必要とされているから。
『戦う者』としてでも、必要とされているから。

ならば戦う。
シンは戦うのだ。

想いの形は違えどアスランも願った『平和』を得る為に。

シンは過去の遺物となってしまった、アスランの部屋から退室し、長い長い通路を駆け出した。
Category [ 時系列(No.05)【侵食】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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