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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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侵食 12 (#38~39)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/11/12[ Sat ] 23:30
やがて辿り着いたアラートで、シンはパイロットスーツを着込み、あと僅かと迫った出撃に備えていた。
勿論そこには同じ姿をしたレイとルナマリアもいる。
アスランを撃墜してからシンは殆どレイと顔を合わせていなかった。
何となく逢いづらかったのもあるし、あの時のレイに何故か恐れを感じていたのかもしれない。
確かにあの時は動揺していた自分をレイの巧みな言葉によって奮い立たされ、そしてあの結果を招いたのだ。
レイの言葉には何故か正当性を感じる以前に異論も同調もなく、すんなりと受け入れてしまう己を認識したからだった。
「…ねえ、シン?」
戦闘前の緊張による沈黙が続く中で、ルナマリアが声を掛けてきた。
それを気にする事もなく、レイはちらり、とシンを見やり、無言で立ち去っていった。
恐らく受領したばかりの『レジェンド』に向かったのだ。
だがシンはレイに反応せず、ルナマリアに向き直る。

二人だけが残された空間。

「…やっぱり凄いね」
「え?」
「…インパルス」
「ああ…」

ぼんやりと壁に背をつけて語る彼女の真正面に立ち、シンはやや俯いたルナマリアを見つめる。
いつもは自信に満ち溢れた勝ち気な彼女がひどく不安げに見えたから。

「………私に、扱える、かな………」
小さく、呟かれる言葉。

確かにルナマリアが乗っていたザクより遥かに性能は上で。
恐らくここに来る前に整備ログを確認し、機体もチェックしたのだろう。そして性能の差に愕然としているようだった。
それを今まで自分の手足のように扱ってきたシンを、改めて凄いと認識せざるをえなくて。

「シンみたいに…乗りこなせるかな…」
「…ルナ。大丈夫だよ…」

何となく安心させてやりたいと、何故かシンはそう思った。
先程慰められた礼なのか、それとも別のものなのかは判らないけれど。

「………うん。そうね。何としてでも、乗りこなさなきゃ、ね…」
「ルナ?」
「だって、私達これからあの『ロゴス』を討ちにいくんだから」

顔を上げてきり、とした眸でシンを見返すルナマリアは覚悟を決めたような表情をしていた。

「…アスランも、メイリンも、『ロゴス』の一味だって、周りは云うけど…」

その言葉にシンは、は、と目を見開いてしかし直ぐに俯いた。

確かに、そう云われているのをシンも聞いた。
『ロゴス』にあのAAも関係しているのだと、先日の議長の演説などで皆そう思っていたし、そしてAAを庇う発言をした上で軍から逃げたアスランを、かつての同胞である彼らAAと同じ立場だろうとも云われるのは当然だった。
そして脱走に関わったメイリンも今ではそんな風に囁かれ、ルナマリアはひどく傷ついていたのだろう。
今更彼女の傷の深さに気付き、気遣ってやれなかった自分の拙さが悔しかった。
「でも、………でも」
「ルナ………」
信じたくない、という口振りで首を横に振り、ルナマリアは突然目の前に立ち竦むシンの肩に頬を寄せた。

一瞬その仕草にシンは彼の人の癖のひとつだったそれを思い出し、目をきつく閉じた。

「………後で、話すわ」
そう呟いてルナマリアは言い掛けた唇を閉ざしシンから離れた。
何を云いたかったのか判らずにシンはルナマリアを見つめ返すと、彼女はそっと手を伸ばしてシンの頬に触れてきた。
「………泣きそうな顔、してる」
「…ルナこそ」
互いに眉をしかめて眸を潤ませている。

シンはアスランを、ルナマリアはメイリンを思って。

彼らが本当に『ロゴス』と繋がりを持っていたのか、シンには判らない。
今でもあの雷鳴の中でかわした言葉の意味を悟る事ができないでいたから。

本当だ、と告げる『戦士』としての自分と。
嘘だ、と否定する『人間』としての自分が。

シンの中でせめぎあっている。
それはきっとルナマリアも同じなのだろう。
二人、余りにも傷は深くて、同じ痛みを知っていて。
「…シン」
ぽつり、と呟いてルナマリアが僅かに顔を近付けた。
目蓋をゆっくりと閉じていく様を、シンは一瞬唇を噛み締めて顔を逸らしかけた。

先程思い起こされた彼の癖が、シンの記憶に眠るアスランを鮮明に呼び出して。

目の前のルナマリアに重なる。

だけど。

シンは幼い。
本当は弱くて、脆くて。

今でもアスランが好きだった。愛していた。
しかし彼はもう、居ないから。

その淋しさに耐えられる程シンは強くなくて。

「………っ、ルナ!」

逸らしかけた顔を相手にむけて、シンは勢い良く彼女を抱き締めた。

「………っ、シン」

驚いた声が耳元で聞こえた。
しかし、直ぐにルナマリアもシンの背中に手を回して強く抱き締め返してくる。

「………うん、シン………」

判っている。
シンの気持ちは、判っているから。
まるでそう告げるかのように頷いて。

自分も、今は独りではいられないから。
頼れるものがないと前に進めないから。

互いに傷を舐め合う結果になるのを判っていても、今は、今だけは。

そして二人の唇が、触れて、離れた。



「…ごめん」
「………ううん、いいよ」
「………ルナ」
「何?」

直ぐに離れた唇がぽつぽつと言葉を紡ぐ。
抱き締め合ったまま、額をこつんとつけて。
シンは云う。

「…ルナは、俺が、守るから」
「え………?」
「もう、何も、失いたくないんだ…俺の知っている人皆…。特にルナは…守りたい、守らなきゃいけない」

彼女の憧れと、親愛を、それらをむける相手を二人とも奪ったのは自分だから。

「だから…何があっても、守るから」

シンは硬く決意して、きっぱりと告げた。
「シン…」
ルナマリアはシンの中に芽生えた自己犠牲のような、自分に対する罪の意識を悟るも、それを拒めなかった。
それだけ自分も弱っていたから。

シンはルナマリアに約束すると、足元に転がったヘルメットを拾い、己の機体へとむかう。
直ぐ後を追って隣を歩くルナマリア。

二人は一瞬だけ手を繋いで、そして離し。

それぞれの機体へと乗り込んだ。



戦いは直ぐ目前に控えていた。
Category [ 時系列(No.05)【侵食】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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