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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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侵食 3 (#37~38)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/11/03[ Thu ] 23:03
暫らくしてキサカがアスランと少女を連れてAAへと合流した。
偶然にも近くに潜伏していた艦は、海中深く潜水し身をひそめながら過日の戦闘で破壊された箇所を修理していたらしかった。

艦の中へと入ったキサカは血塗れのアスランを抱きかかえ、直ぐに近くのクルーに指示を出す。

「今直ぐ医療スタッフを呼べ!。彼は危険な状態だ。一刻も早く緊急手術を!」

その言葉にクルー達は騒然となりながらも手配をする。

キサカは尚も告げた。

「艦にはカガリも居るのだろう?。彼女には何があっても彼の容体を伝えるな!。俺や艦長が良いと云うまで合わせても駄目だ!」

その声は悲壮なものを秘めていて、ぎゅ、と彼は手の中にある物を、握り締めた。

医務室へと担ぎ込まれたアスランの容体を見た医者が言葉を失う。

それ程ひどかった。

左半身は血に塗れ、肩には銃で撃たれた傷が、腕には何かで切り裂き抉った傷があって。胸部は肋骨が砕けて肺を圧迫しているようだった。
最悪、肺に刺さっている可能性もある。
かなりの失血量で、本当に生きているのが不思議な程だった。

戦艦の中には一応手術室も設けられていたが、しかしこの状況を救えるか船内の設備では断言はできなかった。
それでも何とかせねばならない、と。
最善を尽くす、と駆け付けた艦長のマリューと彼の親友でもあるキラに告げて。

扉は閉められた。



暫らくして帰投したMSから降り立ったシンは駆け寄ってくる整備クルーに何も反応を返さず、無言で背中を向けて歩きだす。
その後をレイが追い、二人は沈黙したまま通路を歩いていく。

やがて呆然と通路を歩くシンの前に、一人の少女が現われた。

ルナマリアだった。

保安部の尋問から漸く解放された彼女は、妹が起こした事件を何も知らなかったと判断され釈放されたのだった。
「………ル、ナ」
ルナマリアの姿に気付いたシンは立ち止まり、思わず名を呼ぶ。
するとルナマリアもシンとレイに気付いて。
「………………」
何も云わず、沈黙したまま二人を見つめた。
「………先に行くぞ」
レイが気を利かせたのか、真意は判らなかったが二人だけを残し、その場を立ち去っていく。
「………………………」
残された二人に、重い沈黙がのしかかる。

やがて口を開いたのはシンだった。

「………ごめん」

たった、一言。ごめん、と。

しかしそれだけで、ルナマリアには充分だった。
シンが、アスランを、そして妹のメイリンを、討ったのだと、理解するには充分だった。

「………っ、な、んで………」

俯いたルナマリアから絞りだされた言葉。

「何で、二人を討ったの!?」

二人だけの通路に彼女の悲しい絶叫が響き渡る。
シンが柘榴の眸を閉じて、拳を握り締めて云う。
「………命令、だったんだ………裏切ったから、撃てって………」
しかしシンの呟きはルナマリアを更に激昂させる。
だん、とシンの身体を壁に押しつけて、女性とは思えぬ力でシンを押さえ付けて。

「命令だから!。だから討ったの!?」
「………ああ」
「シンの気持ちは判るわ!。私だって軍属だもの、判るわよ!」
「………」

ルナマリアの言葉がシンの心を、新たにつけられた心の傷を抉る。

「でも!。なんであんたが彼を討つの!」
「………え?」

てっきり妹のメイリンを討ち落とした事を責められていると思ったシンが驚いて彼女を見つめる。

ルナマリアは、泣いていた。
そして。

「あんた、アスランを好きだったんでしょう!?。アスランもあんたを好きだったんでしょう!?。なのに何であんたがアスランを討つのよ!!」

そう叫ぶルナマリアに、シンは眼を見開いて、そしてずる、と壁を伝うようにその場に崩れ落ちた。

「………あ、ぁ………」

がたがたと震えだすシンを、ルナマリアは泣きながら見つめた。

睨むでもなく、責めるでもなく。
シンの立場もよく判っている。逆らえば自分も軍規違反として罰せられる。
だけど、云わずにはいられなかった。
ずっとアスランを見てきたのだ。
憧れて見つめ続けて、そしてシンも逆らいながらも同じように見つめている事に気付いて。

やがてそれは尊敬ではなく恋慕で、しかもアスランもシンの想いに応えた事も。

セイバーが撃墜され、全てが狂いだして二人の関係が歪みだした事も。

ルナマリアは知っていたのだ。

だからシンを責められないし、だけど云わずにはいられなくて。
今、自分しか、シンにそれを、犯した罪を突き付けられるのは自分しか居ないから。

ルナマリアはシンに告げたのだった。

「…ぁ、あ…っ。ルナ…俺、俺…っ」
膝を抱えるように蹲って泣きだしたシンを、ルナマリアは強く抱き締めた。
「判ってる…シンが辛いのも判ってる…。私も、同じ立場なら…メイリンを、討つと思う…。だから私はメイリンの事はあんたを責められない…」
泣きながら告げるルナマリアを、シンが縋るように抱き返す。

「でも…忘れないで…シン。あんたは、アスランを、好きだったんでしょ…それは忘れないで…」
「ルナ、ルナ…っ!」
「どうして…こんな事になったの…っ」

泣き崩れる彼女に返す言葉もなく。
暫らく二人は通路の片隅で互いを抱き締めあい、泣きじゃくり続けた。




「キラ、艦長。これを…」

閉ざされた手術室は未だ開かれる事なく、その前から動かずに見守っていた二人にキサカがある物を差し出した。
「何ですか?、これは…」
マリューが尋ねたそれは、キサカの手のひらにのせられた、小さな赤い物。

否、赤く見えたのは、血だった。

「…血?。まさか、これ…っ」

赤い色が血だと気付き、キラがぞくり、と背筋を震わせた。

「…彼が、自ら腕を切り開き埋め込んで体内に隠していた物です」
「アスランが!?」

キサカの言葉に二人は息を飲んだ。



数時間前、まだAAに合流する前に、それは渡された。
気絶したままのアスランが意識を取り戻し、しかし朦朧としながらもキサカを呼んだのだった。
半ば死にかけているアスランがキサカを認識出来ていたのかは判らない。
しかし呻き苦しみながらもアスランは口を開いて。

「…たの、む………これを…キ…ラか………ラ、ク…に……渡して、く…れ…」

血を吐きながらもアスランは右手で左腕の傷に触れ、そしてその傷を自ら抉りだした。

「………っ、お願い…だ、これ…を………」

恐らく想像以上の激痛だろう。しかし悲鳴をあげる力すらないアスランは、微かに呻くだけで瀕死の自分を更に傷つけて左腕から何かを取り出し、メモリーをキサカに差し出した。

「………これ、を…渡し、て……」

息も絶え絶えに必死に渡そうとする。
キサカが血塗れのそれを受け取ると、アスランは青ざめた顔で、ふ、と微笑を浮かべて。

「………頼み………ま、す」

そう呟いて、再度気を失ったのだ。



キサカから告げられた事実にマリューは口を押さえ涙が零れるのを堪えていて。
キラは沈黙して唇を噛み締めて扉の向こうで生死を彷徨うアスランを思った。

恐らく、自分では、傷つき果てた身体では、渡す事は不可能だと。
だからキサカに託したのだ。
死ぬと覚悟した上で復隊したザフトを抜け、そして討たれてまでも渡したかったこれを。

キラはキサカから受け取った、アスランの血に塗れたメモリーを、ぎゅ、と握り締めた。
Category [ 時系列(No.05)【侵食】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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