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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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3 『波の花の祝福を君に』
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/10/30[ Sun ] 23:36
●03 手を繋ぐ
ツンデレアイコン2


ざぁん、と。

曇り空の下、天の色を映しこんだ灰色の海原が白波をたてて。
波打ち際の砂浜に押し寄せては引いていく。
地球の引力を感じる、母なる海の力。

まだ陽が昇らない薄明かりの空の下、冬の到来を感じさせる冷たい秋風が藍の髪を揺らしていく。

「アスラン、寒くないですか?」

シンが尋ねた。

「いや、まだ大丈夫だ」

アスランが答える。



海が見たい、とアスランが呟いたのは昨夜。
シンの腕に抱かれ、その抱き締める力の強さに、しかし伝わってくる暖かさに安堵して眠りにつこうとしていた時、ぽつり、と呟いたのだった。

終戦後、戦わずして平和を成し遂げようと選んだ道。お笑いコンビ『ツンデレ』として世界を笑わせて幸せをもたらす道を選んで。
多忙過ぎる日々を過ごしてきた。
今もオーブの温泉を笑いと共に紹介する旅番組の収録で地球に降下していた。
ハード過ぎるスケジュールで既に曜日感覚も季節を感じる事もない。
少し切ないけれど、でも自分達で選んだ道だからと。そう云って淋しそうに笑いながらも、海が見たいとアスランは呟いたのだった。
偶然にもオーブ滞在中宿泊しているホテルは海岸沿いで建物の裏側には寒々しいけれどアスランが見たいと願った海があって。

眠るアスランを起こしてシンは海へと連れてきたのだった。

朝になればまた収録が始まるから、今しかない。
気温差が激しい秋の空気は肌を冷やしていくけれど、今しかなくて。



「アスラン、ほら。気を付けて」
「ああ、すまない」
足場の悪い岩場を、シンが手を伸ばしてアスランを支えて歩ませる。
自分はオーブ育ちだから慣れているけれど、彼は月とプラントしか知らない。
一時オーブに隠住していたけれど、勿論自然に触れる余裕もなかったから、人工の街しか知らないアスランには、地球の壮大な自然は偉大すぎるようだった。

「何度見ても凄いな…」
「今日は天気も悪くて時化てますからね」
「しけ?」
「ああ、こんな風に風が強くて波が高い事を云うんですよ。海が荒れてるみたいでしょう?」
「そうか…」

シンの言葉に頷きながらもアスランがその身をぶる、と震わせた。
黒のスラックスに革靴、上は白いシャツと襟にボアがついた丈の短いジャケットを身に纏う彼は、さすがにこの気温では直ぐに身体が冷えてしまう。
「やっぱり寒いんでしょ?。そんな格好するから…」
隣に立つシンが心配そうにアスランを見つめる。
シンは秋の気温差の激しさも知っているし、岩場や砂浜を歩くのに適した格好も判っていて、スニーカーに色褪せた古着のジーンズ、上は濃赤のタートルと焦茶のコートを身につけている。

「ほら」

そう云ってシンがアスランの手を握り、自分のコートのポケットに突っ込んだ。
「手、かじかんでますよ?。風邪引かないで下さいね」
「ありがとう、シン」
少しだけ大人になったシンの優しさに、アスランは微笑んで素直に感謝した。

「アスラン、こっちです」
手を繋いだままシンが岩場を更に進んで波打ち際まで連れていく。
見せたいものがある、とアスランを岩場まで連れてきたのだった。
「見せたいもの、って一体何だ?」
「ん、直ぐに判りますよ」
そう云ってシンは岩場を覗きこむようにして、少し高度がある岩場の下の、荒波が打ち寄せる海面を指差した。アスランも恐る恐る身を乗り出して、先を見ようとした。

その時。

ふぅわり、と。

何かが、空を、舞う。

「………え?」

視界に入ったそれに、アスランが小さく声を洩らして。

そして翡翠の眼を瞬かせた。

そこには、白い、白い、華のような、泡。
幾つもふわりふわりと舞い上がり、風に飛ばされて。

「これ、『波の花』って云うんですよ」
「波の花………?」

シンがぽつりと呟いた。

「こんな風に風が強くて時化ている時に発生しやすいみたいです。詳しくは俺もよく判らないんですけど、打ち寄せた白波がその激しさに泡だつみたいに、その泡が風に飛ばされて舞い上がるんですよ」
「………綺麗だ」
「うん、今日みたいな天気なら見れるかなと思って。だからアスランに見せたいなって」
「ありがとう………シン」
風の吹くままに舞い踊る白い泡たちが、アスランの視線を釘づけにする。

生まれて初めて見る光景に、海が、風が、生きていると、その存在を示す光景に。
アスランは魅せられた。

「アスラン………」
シンが後ろからアスランわ抱き締めて、羽織るコートで彼を包み込んだ。
背中に感じるシンの体温と、目の前に広がる風景に。

ああ、俺は、俺の守りたかったものは、此処にある、と。

そう思うと視界が段々とぼやけていく。

「ねえ、知ってました?」
「…何をだ?」
シンの指が、そうっと、アスランの目尻に触れて。
滲んだ涙を拭いとりながら気付いていない素振りで話し掛ける。



「…今日は、あんたが、この世界に、産まれてきてくれた日ですよ」

「………あ」
「うん、多分忘れてるな、と思ったけど」

そう云って苦笑いされた。
抱き締める腕の力が更に強くなり、シンの唇がアスランの耳元に寄せられる。

「誕生日、おめでとうございす…アスラン」

そして、アスランの手を掴み、何かをその手の平に乗せた。

「………っ!」

視線を落としたアスランがそれを見て、言葉を詰まらせて。

ぼろぼろと、涙を、秋風に舞い散らせる。

「シ、ン」

「…形式上は無理だけど…」

シンの、声。
いつにもなく真剣で、愛が込められた、声。

ぎゅう、とシンの手がアスランの手の平にあるものを彼の手ごと握り締められる。


「………結婚、しましょうか。俺達………」


アスランの手の中にある、シンからの贈り物。

丸い、指輪。
愛の、印。

「………うん、うん。シン」

泣きながらアスランが頷く。

「本当はこんな寒空の中でプロポーズしたくなかったけど…でも見せたかったから。波の花」

「…ああ。ありがとう?」
「…いや、その…肝心なところで疑問系で答えないで下さい」

相変わらずのずれっぷりも、今では凄く愛しいけれど。

「…ありがとう、シン。最高の誕生日プレゼントだ…」

そしてアスランは、笑う。

幸せに満たされて、シンの暖かさと自然の美しさに満たされて、何よりも綺麗な笑顔を、見せた。





ふわりふわりと白い花が舞う中で、口付けをかわす二人を、夜明けの暁が照らしていた。


お題配布元→http://roo.to/abandon/
Category [ シン誕・アス誕・お題 ]
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