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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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5 『彼の人の為に』 2
TB[ - ]  CM[ 1 ]   Edit   2005/10/29[ Sat ] 02:35
●5 喧嘩
「…アスランさん…?」

触れた指先に、アスランの肩の震えが伝わってシンは眸を瞬かせた。
一瞬、彼が泣いている、とすら思えた。
アスランはシンのロッカーの扉に触れたまま自分の足元をじっと見つめている。
首をのばして顔を覗き込めば、そこには眉をひそめて辛そうな表情を浮かべたアスランが居て、シンはたまらずに掴んでいた彼の肩から手を離してアスランと同じように立ち竦んでしまう。

「…何故だろうな」

「…え?」

不意にアスランが言葉を紡ぐ。
その声は小さすぎて、直ぐ傍にいるシンにすらうまく聞き取れない。

「俺は…お前に、………死んでほしくないんだ…」

「…!?」

シンは驚いてアスランの俯いた背中を見た。

「ア、スランさん…?。あんた、何云って…」

自分でも声が震えだすのが判る。
それでも紡がれた言葉の意味を、彼の想いを、知りたくて。
シンは思い詰めたようなアスランの腕を、ぐい、と掴み無理矢理にこちらを向かせた。
アスランもまた何の抵抗もせずにされるがままにシンの方を向き、やがてゆっくりと彼を見つめる。

「俺は今まで沢山人が死ぬのを見てきた。自分の大切な人も、その中には…居た」

アスランが重い口を開いてぽつりぽつりと語りだす。

「…シン、お前と同じように、俺も家族を失った。他にも…育ててくれた上官も、共に戦った仲間も…沢山命を失う瞬間を、見てきたんだ」

淡々と語られる独白は、しかし切ないもので。
逸らす事なく見つめる翡翠の眸が、シンの心を射ぬくようで。
シンは唇を噛み締める。
「その度に辛く哀しい思いをしてきた」
「………はい」
シンは素直に頷いた。今は彼の語る事を聞かねばならないと、何故かそう思った。

「だからもう…何も失いたくないと思ってきた。こんなにも悲惨な争いなど繰り返してはいけないと、ずっと思ってきた。その為なら俺は…」

その思いはシンと同じものだ。

「…だが、シン。お前は…違うんだ」

何が違うと云うのだろうか、彼は。

「お前を、死なせたくないんだ。シン」

言葉の真意を探っていたシンに、アスランがきっぱりと云った。

「何故かは判らない。でも、俺はお前を死なせたくないし、生きてほしいと思う」
「………」
「勿論誰も、消えていい命などない」
そこで一旦口を閉ざし、再びアスランは俯いてしまった。
ぎゅ、と力任せに握り締められた拳が白くなっている。

「………そう思う気持ちは昔も今も、変わらない。…だが、シン」

急に強い口調で名を呼ばれた。

「お前は、死ぬな。シン」

彼の言動を食い入るように見つめていた柘榴の眼を、惑う事なく見返す翡翠。

「頼むから…何があっても、死に急ぐな」

「…アスランさん」

シンはたまらなくなって視線を逸らして俯いた。
じわり、と目頭が熱くなる。

きっとこの人は、気付いていない。
今自分が何を云ったのか。
自分が語った言葉の、その意味を。

失うという事と、死ぬという事。

自分が失っても、それは手の届かない処に在り続ける可能性もある。
しかし、死ねば、それすらない。
永遠に失ったままで存在すら消えるという事。
例え記憶が、思い出が残っても、新しいそれらが積み重ねられることなく、薄れゆくだけなのだと。

そして今、アスランはシンに、死ぬな、と云った。
死に急ぐな、とも云ったのだ。

それはアスランにとってシンが、例え手が届かなくなっても生きていてくればよい、と。
死んで永遠に失うよりは生きていてくれ、と。

「………シン?」
俯いたまま沈黙してしまったシンを訝しんでアスランが戸惑いがちに声をかける。
ちゃんと伝わっただろうか、と。
少しは己の生き方を見なおそうと思い直してくれていればよい、と。
そう考えるアスランは
俯いたままのシンの黒髪をそぅ、と撫でた。
するとシンが云った。

「…アスランさん。俺、あんたの事、好きです」
「シン?」
「頑固で意地っ張りで、強いくせに弱くて。人付き合い下手なくせにいつも他人を気にしてるあんたが、好きですから」
「………それ、誉めているのか?」
「どうとでも思って下さい」

唐突過ぎる告白にアスランは動揺する事なく、少し困ったような顔をして頷きながら更にシンの髪を撫でる。
いつもなら子供扱いされるのを嫌がるシンだったが、今は彼の言葉も動きも全て愛しくて。

「そうか。………シン、ありがとう」
「………………」
「俺もお前の事は好きだぞ?」

シンとは違う意味で答えるアスランに、やはり鈍い、と思う。
しかし、今はそれで充分だ。

「だから、シン。死なないでくれ。………生き延びてくれ」

アスランのその言葉だけで今は充分に満たされた。




やはり大切なものを守りたい、その為なら何でもする想いは変わらないけれど、アスランが死ぬなと云うならば。


彼の為に生きよう。
彼の為に死に急ぐことなく、生きていこう。


心のなかで誓って。
漸く顔をあげてシンは。


「………はい。アスランさん」

と、真っすぐに眼の前の翡翠を見つめて、誓った。



お題配布元→http://roo.to/abandon/
Category [ シン誕・アス誕・お題 ]
COMMENT
今晩は。
今晩は。初めまして、亜美と言います。昨日、初めてこちらの小説を読ませて頂きました。凄く、大好きです!特に、アスランさんの誕生日祝いの小説は、どれもシンとアスランが幸せそうで読んでいて嬉しくなりました。シンアス大好きです!ツンデレ設定の二人も大好きです!!戦後、アスランがシンちゃんを選び、共に生きていく中で、戦時中失われていた穏やかで温かい幸福を感じながら笑顔で暮らしている姿に安心感を覚えています。『喧嘩』をテーマにしたお話も大好きです。描写が丁寧なのでロッカールームの二人の様子が浮かんできました。シンアスには二人で幸せになって欲しいものです。
2005/11/30 - Wed - 22:12      Edit






  
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