1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
スポンサーサイト
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   --/--/--[ -- ] --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category [ スポンサー広告 ]
茜さす帰路照らされど 18 (#37)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/10/25[ Tue ] 22:43
荒れ狂う水面に、青の機体が沈んでいく。
海面に叩きつけられた瞬間爆発をおこし、粉々に砕けた鉄の塊が気泡をたてながら暗い海底へと吸い込まれていく。

その様はまるでシンの心境を表しているかのようで。

全てを壊した。全てを壊された。

残ったものは、虚しいまでの空虚なココロだけで。

「…っ、は、ぁ…っ」
シンはコクピットの中で独り俯いて、肩を上下させながら荒い呼吸をしていた。先程までクリアだった視界が急に曇り、急激に何かが冷えていく。

ふと顔を上げると幾つか設置されたモニターのひとつに、レイが映っていて。
ついさっきまで映していた、彼の姿は、そこにはなくて。

シンは無意識に眉をひそめて唇を噛む。

宙に浮いたままのデスティニーにレジェンドがゆっくりと降下して近づいてくる。
「…よくやった、シン」
「………ッ!」
画面越しにレイが云った。非情なまでに冷静な彼の姿を、何故か今は見ていたくなくてシンは顔を背ける。
「俺達の任務は終わった」
「…っ!?。任務…?」
「ああ。そうだ…任務だ」
レイの言葉にシンは驚きながら再びモニターの彼を見る。やはり冷静な、普段と変わらない彼の表情。
「………っ、………」
悲しいまでに見開かれた柘榴の眸が次第に呆然となり、シンの感情の揺らぎを映しこんでいく。

「………メ、イリ…ン」

感情のこめられていない、小さい声で。

「ア、ス、ラン………」

今、この荒れ狂う海原に消えた者の名を、呼ぶ。

しかし、返事も、その姿も、何もない。

「俺達は…裏切った彼等を………『敵』を、討ったんだ」
「………ッ!?」
『敵』。
その言葉の持つ意味にシンは飛び上がるようにレイを見つめた。
「俺達は、間違ってはいない。軍人として正しい事をしたんだ。シン」
何一つ顔色を変えず言い切るレイを、これ以上視界に映すのは耐えられなくて。

「戻るぞ、シン。天候が回復したら機体の回収に………」
最後までレイの言葉を聞く事なく、シンは一方的にレジェンドと繋がっていた回線を切った。
殆ど衝動に駆られた行動で。自分でも何故切ったのか判らなかった。

でも。たったひとつ。
判ること。

「………っ、ぅ………」

アスランは、いない。
もう、何処にも、いない。

「ぅ…ッ、ふ…ぅ、う…っ」

俺が、墜とした。
彼を傷つけて、汚して。
そして心も身体も、壊した。
あの瞬間、確かに、彼を壊すと、アスランを、殺すと。
そう決めたのは自分自身だ。

なのに何故こんなにも。

悲しさ、悔しさ、愛しさ、全て心の空虚に飲み込まれていく。

「ふ、う…うッ。ぅ、う…」

子供のようにシートに蹲って。
シンは、静かに泣いた。

レジェンドがデスティニーの腕を掴んで軍港へと飛び立つ。
それでもまだシンは動けなくて。

「………アスラン、アスラン………ッ」

シンの声がコクピットの壁に反響して届く先は、自分だけで。
その言葉を受けとめてくれた人は、何処にもいなかった。





「………………え?」

突然呼び出されたミネルバ艦内の狭い一室で、ルナマリアの吐息のような弱々しい声が響いた。
軍内部で起きた事件や事故に関わる当事者や、その関係者の事情聴取をする為の部屋らしいが、今の今まで自分が此処に呼び出されるとは思わなくて。
出頭を命じられただけでも動揺するのに、今保安部の人間に伝えられた事実にルナマリアは打ちのめされた。

「………う、そ………そんな、まさか………」
「残念だが、事実なのだよ。ルナマリア・ホーク」

頭が、がんがんと、激しく痛む。
視界が歪んで、眸に映る世界全てが回りだす。

助けて、助けて。
誰か、嘘だと云って。
お願い、誰か---。

「君の妹でもある、メイリン・ホークは、脱走兵アスラン・ザラの脱走幇助、及び軍基地内部のメインコンピューターへハッキングし情報操作で撹乱した罪で、彼同様重罪とみなし撃墜された、との報告を先程受けた」

改めてこの事件の詳細を告げられ、辛うじて保たれていたルナマリアの意識が途切れる。
かくん、と崩れる細い身体は座っていた椅子から滑り落ち、床に倒れこんだ。

しかし室内に居た者達は誰も彼女に同情する者はおらず、床に崩れ落ちたルナマリアを冷たく見つめていた。



『………議長』
「ああ、レイ。君か」

デュランダルしか居ない一室に、急に端末の回線が開かれて直通の通信が入る。聞こえてきたのはレイの声で。
デュランダルはこの回線を開けるのは彼以外居ないのを知りつつも、わざとレイだと確認して言葉を返した。
レイは未だレジェンドのコクピット内部にいて、ミネルバが留まる軍港へと帰投する途中で通信を入れてきていた。

『先程命じられた件、無事に任務遂行完了致しました』
「そうか…では彼は?」
『…ええ、シンによって奪取されたグフは爆破し、機体が海に沈んでいくのをこの目で確認しました。しかし悪天候の為、沈んだ機体の回収と、彼らの生存確認はまだ…』
「まあ、それは仕方ないだろう。気にしなくていい。どのみち、あの雷雨の中では思うようにはかどらないだろう。それに万が一生き延びられたとしてもあの海原の真ん中では身動きは取れないからね。幾ら彼でも無傷ではいられない筈だ」
『………はっ』
「そして、レイ?。彼は…シンはどうしている?」

デュランダルが静かに尋ねた。しかしその眸に宿るものは、穏やかさではなく、危険なものを孕んでいる。

『はい。かなりショックを受けているようです』
「そうか。では彼も…」
『いえ、それは大丈夫かと。アスランがシンに話した事もほんの僅か、あれだけでは全てを識る事は不可能でしょう』
「ああ。ではまだ彼は『こちら側』だという事か」

明らかに何か裏を含んだ物言いに、レイがはっきりと言い切った。

『彼は私が選んだ人間です。アスランのように道を外れる事は、絶対に私が阻止します』
「判った。では彼の事は君に全てを任せよう」
『…はっ!』

そして通信はそこで切れた。
再び沈黙が訪れた室内で、デュランダルは眸を伏せて思考を巡らせる。

最後の賭けは、成功した。
せっかく引き入れたアスラン・ザラを失うのは彼の能力からしても痛手だが、どちらにせよ元からAAに近い立場の彼が我が手を離れるのは予想の範囲内だった。
だからそれを利用した。
可能性のあるシン・アスカを、彼の信念を、こちら側に正当性を感じさせる為に、それを維持する為に、アスラン・ザラを利用した。
巧くこちらの導くままに全て進み、そしてシン・アスカはアスラン・ザラを討った。
これで彼は我が手から逃れられない。

デュランダルは唇の端をつりあげて。
静かに微笑を浮かべた。



初めて出逢った時はお互いの印象は最悪で。
何度もぶつかりあい、同じ気持ちを、望む夢を、語っては激突した。
それでもいつのまにか、シンはアスランを知らず見つめ続け、やがて気付いた彼への恋慕に苦悩して。
半ば押しつけた想いを、アスランは戸惑いながらもしっかりと受けとめてくれた。
自然と結ばれて、短い時間の中で互いがなくてはならない、かけがえのない存在になって。

好きだった。愛していた。
共に未来を生きようと、願いはじめていた。

しかし現実は、戦況は、二人を引き裂いていく。

出会いは最悪で。
でもこれからは。
共にありたいと。

迎えた結末は、残酷すぎた。

出会った瞬間に、幸せだった時間に、共に刻んだ記憶に。




もう、後戻りは出来なかった。
Category [ 時系列(No.04)【茜さす帰路照らされど】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
COMMENT






  
Web 拍手
少しでもお気に召して戴けたならぽちっと 押してあげて下さいw

Web拍手

気紛れでお礼SSを更新中。 お返事は日記の方で不定期にしてたりしてなかったり。 日記へはリンクコーナーからどうぞw。
カレンダー
最新記事以外のログはカレンダー日付からどうぞ。
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
サイトについて
当サイトはガンダムSEED DESTINYの二次創作小説サイトで、シンアスオンリーで活動中です。 女性向の同人的要素満載な上、性描写を思わせるSSも多数UPしております。 (もろそういうのは全てR18裏に隠しております) そういったものが苦手な方、及びシンアスに興味のない方は、閲覧つらいかと思われますので回れ右して下さいませ。 そして学校、会社等の公共施設での閲覧もご遠慮下さい。

現在仮オープン中ですが、いずれ正式に開設予定。 しかしこれからオフ生活が繁忙期に突入な為、 年内の開設はけっこうきつい今日この頃。
ブログ検索
メール
管理人へのご連絡はこちらから。シンアス同志少ないのでいただけると泣いて喜びます。 ご意見ご感想、好きなシンアスシチュ等何でもOKですのでお気軽にどうぞ。

メールフォーム

お返事は余程の事がない限り必ずしております。 シンアスシチュが管理人のツボにはまったら書く可能性大w。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。