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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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茜さす帰路照らされど 10 (#36 ~37)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/10/19[ Wed ] 23:04
雨降る夜の闇を駆け抜け、アスランはメイリンと共にひとつの格納庫へと辿り着いた。
そこは数多くの格納庫が建ち並ぶ区画の端に在る所為か、使用頻度の低い機体を収容している所だった。
ミーアが指し示した場所は追われるアスランにとって好都合であった。
勿論周囲には人の気配はない。
アスランはそれを今一度確認し、MS運搬用の巨大な扉の前に来て、その横にある人間が出入りする為の小さな鉄扉に背をつける。
と同時にマシンガンをいつでも撃てるように構えると、後ろをついてきたメイリンを見つめた。

「君は此処まででいい」
「でも…ッ」
「この先からは俺一人で行くから…本当に、ありがとう」

そう云って微笑するアスランは、今にも消えてしまいそうな程はかなげで。見つめ返すメイリンは胸が痛くなった。

この人は、覚悟しているのかもしれない、と。
逃げ切れないのを判っていて、それでも行かねばならないのだと。

「………は、い。アスランさん…気を付けて」

涙が零れそうだった。
メイリンの言葉に小さく頷き、アスランは鉄扉を開けて内部へと侵入していった。

置き去りにされたメイリンはその場で泣き崩れそうになるのを必死で堪え、人目につかないようにアスランの消えた格納庫から離れていった。

侵入した内部は非常灯が幾つか灯るだけの暗い空間で。慣れない眼を凝らしながらアスランは奥へと進む。
内部には見覚えのある機体が幾つか在った。

「…グフ、か」

以前違う色にカラーリングされた同機種の機体に乗っていた男を不意に思い出す。

その男とは短い間だけども同じ艦に所属し、そして短いけれどアスランにとっては濃密な意味ある会話を交わした。

夕焼けのような明るい髪の、陽気な男。

『お前は、何処となら戦いたい?』

男の言葉が聞こえたような気がした。

『割り切れよ』

鮮明に浮かぶ姿と、紡がれた言葉。

『でなければ…死ぬぞ、お前』

アスランは、一度だけ眸を閉じて。

どことも、誰とも戦いたくはないんだ、と。
しかし今。
己の望む夢の為に、戦うしかない、と。
たとえ、望まぬ相手と戦う事になっても、今はそうするしかないんだと。

記憶の中の男に、告げた。

再び目蓋を開いて、辺りに注意しながらアスランはひとつの機体の足元まで辿り着いた。
気が進まぬが仕方ない。
これしか脱するすべはなかった。
そして機体を見上げた刹那。

「………ッ!」

アスランは振り返って息を飲んだ。

誰か、居る。
否、侵入した時は、居なかった。
では今、追い付いてきた者か?。

一瞬でアスランの神経が研ぎ澄まされてひとつの標的に集中する。

足音を忍ばせて近づいてくる気配。
物陰に隠れようとした時、アスランはその気配にどこか懐かしさを覚えて。

まさか。
まさか、彼が、ここに?。

薄暗い闇の中を静かに近づいてくる影を見つめる。
よく見知った影。気配。

「居るんだろ、アスラン………」

彼が、アスランの名を呼んだ。

「シ、ン………」

アスランは覚悟を決めてシンの前に姿を現した。

「アスラン………」
「やはり、お前、来たんだな…シン」

アスランの姿を眸に映したシンが安堵したような表情で駆け寄ろうとした時、アスランの動きによってその表情は強ばった。

近寄ろうとするシンに、アスランは銃を、突き付けたのだ。
右手に持ったマシンガンを降ろし、『左手』でカートリッジ式の短銃を、シンに突き付けて。

「ア、ス、ラン」

シンが信じられないモノを見つめるかのように激しく動揺する。

二人の距離は僅か数メートルなのに、見えない不可視の壁に遮られたかのようだった。

「な、何だよ、何…してんだよ、あんたっ」
「…シン、来るな」
「何で逃げたりなんかしてんだよッ!?」
「来るな、シン!!」
愛しい人に銃口を向けられ驚愕しながらも、じりじりと距離を縮めようとするシンにアスランは叫び、トリガーに指を絡めた。
は、とシンが硬直する。
本気で近寄るな、とアスランは告げている。

「何で…っ?。何でだよ…」

シンが泣きそうな顔をして唸る。

「俺、さっきレイから聞いて…まさかあんたがって…信じられなくて…っ」
「………」
「違うんだろ!?。本当はっ。何か疑われて、それで…っ。あんた、口下手だから巧く云えなくてっ、誤解されてるんだろっ!?」
「………」
「俺、俺も力になるから!。ちゃんと話せば誤解も解けるから!!。なあ、アスランッ!!」

シンの言葉は次第に大きくなり、涙声も含まれていて。しかしアスランは銃口をむけたまま沈黙を守っている。
その表情は堅く、今までシンが見た事もない程冷徹なもので、思わず背筋が寒くなる。

「………レイに、何と云われた?」

漸くアスランが口を開いた。

「ミネルバから…離反者、脱走兵が出た…って。それが、アスラン…あんた、で…それで、射殺命令が………ッ」
「………そう、か」
「アスラン…」

シンから告げられた情報にアスランは一瞬だけ笑い、シンから視線を逸らして足元を見つめる。

彼の仕草にシンが、ああ、やはり違うんだ、と安心しかけた時。

再びアスランはシンを見て、呟いた。

「…レイの云う通りだ、シン」
「………え?」

「俺は、『離反』したんだ」

鋭い眼差しで睨み付けながらアスランはレイの言葉に同意した。

刹那シンの身体からかくん、と力が抜けた。
その場に崩れ落ちて呆然とアスランを見上げるシン。
その姿にアスランは今にも心臓が止まりそうな程胸が痛んだ。

すまない。本当に、すまない。
今、お前を連れてはいけないんだ。
『真実』も今のお前にはまだ、話せない。
お前まで危ない目に合わせたくはないから。

急に自傷した左腕が痛みだして、銃を握る指から力が抜けかける。

その瞬間をシンは見逃さなかった。

冷たい床に座り込んだ身体を一気に跳ね起こし、アスランの銃を構える『左腕』をぐい、と掴み、外側へ捻る。

「あぁぁッ!!」

アスランが声をあげて苦しむ。
指を左腕の内側に食い込ませるようにして、ぎりぎりと捻る。
「何でッ、何でそんな事ッ!!」
「シ、ン…っ。離せ…っ」
「嫌だ!!。ちゃんと全て話してくれるまで俺はあんたを離さないから!!」
荒い息をつぐアスランにシンは噛み付くようにして顔を近付けて叫ぶ。

もう彼を傷つけないと決めたばかりだけれど、しかし今この手を離したらきっと彼は居なくなる。




そんな気がした。
Category [ 時系列(No.04)【茜さす帰路照らされど】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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