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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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茜さす帰路照らされど 5 (#35 ~36)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/10/16[ Sun ] 00:22
議長との面会が終わり、アスランはとうとう彼から求めていた答えも、改心の言葉も、聞く事はないままに。

キャットウォークを降り、新しく与えられた機体の足元へとアスランとシンは来ていた。先程までは見当たらなかった整備担当の者達が、議長が帰った後に幾人かやってきて各自作業をしている。

「…で。これからどうします?」
シンが隣で呆然としているアスランに声をかける。
アスランの様子を気にしながらも、その意識は目の前にある新しき『力』に向かっていて。時折ちらちらと視線をそちらに向けている。

「…あ、ああ。…俺は艦に戻るよ…」
「え?」
「しなくては…いけない事が、あるから…」
「アスラン?」

問うシンに眼を合わせる事なく俯いたままアスランが答え、その気力を失ったような態度にシンが不思議そうに彼の名を呼ぶ。
「あんた、どうしたんです?。さっきも急にあんな事云いだして…」
シンにとって先程の議長とアスランの会話の意味は、何処か隠された何かを含んでいて全てを理解できなかった。AAの事を出されれば、相手を『敵』としてしか知らないシンには尚更二人の会話を理解する事は出来なかった。

「議長にあんな事云って、いいんですか?。せっかく新しい機体もくれて、俺達の事信頼してくれてるのに…」
シンの言葉にアスランはふと顔を上げて彼を凝視した。

今はこうして元の二人のように居るけれど、此迄のすれ違いや信念の違いはまだきちんと話をしていない。
だからシンはまだ議長を『信頼』したままで。それを前提とした考えでアスランに向かってくる。夢見る未来は同じでも、議長を信じるか信じないかによってその道筋は全く違う事を、シンはまだ知らないのだ。

「シン…」
「何ですか?」

神妙な面持ちで名を呼ばれたシンは、どきり、とする。

アスランの翡翠の眸が、迷い揺れていた。

今、全てを、話すべきか。
シンを、連れていくべきか。

アスランはそれだけを考え、何度も口を開きかけては躊躇して。視線が揺れる。

「どうしたんですか?。本当におかしいですよ、あんた…」
シンが向かい合うように立ち、アスランを正面から真摯な眸で見つめた。

ああ、と。アスランは思う。
この純粋な眼差しは、『真実』を知ればどうなってしまうのだろうか。

しかし、迷うアスランに、シンが云う。

「議長程、この世界を守ろうとしている人は居ないんですから、あんたも余計な事考えるのやめたら?」

刹那アスランが翡翠の眸をかっ、と見開いて。

「………ッ!、シンッ!!」
と。叫んだ。

「な、何ですか!?」
突然怒鳴られた事に戸惑いながらもシンはアスランを睨み返した。
「………っ、お前は…何も、知らないんだ…全て、を知らないんだ…ッ」
目線を再び床に落とし、拳をぎゅう、と強く握り締めて絞りだすように吐き出されるアスランの言葉。

シンは動揺してそれ以上何も返せない。

駄目だ。こんなにも議長を信頼しているシンを、今は連れていけない。
シンに全てを話し、説得するには、時間が足りない。

そう、時間が、ないのだ。

アスランには、もう。

「…すまない」
「アス、ラン?」
「俺は…もう、行くよ…」

うなだれながらくるりと背を向けてアスランは格納庫の入り口へと進んでいく。
その姿が余りにも弱々しくて、今にも消えそうな程小さくて。

シンはアスランを呆然としたまま見送るしか、出来なかった。





ミネルバに帰還したアスランは、艦長への報告もせず、真っすぐ自室へと戻った。ドアを閉めキーロックをかけると、照明もつけずにデスクへと向かった。
その上に置かれたノートパソコンの電源を立ち上げ、横の差し込み口に持ち歩いていたメモリーを挿入するともの凄い勢いでキーボードを叩く。

思った以上に、時間は待ってはくれないだろう。
一秒でも早く『行動』をせねばならない。
本当ならばもう少し調べてから、環境を整えたかった。しかし議長からの面会の申し出と、与えられた新しい機体。
多分それは、『脅し』と『選択』だ。
これ以上探るのは許さない、そして、我に従うか従わないか、選べと。
そのつもりで呼び出したのだ。

ならばアスランにはもう時間はない。
先程共に歩めないと意思表示をしたのも同然なのだ。きっと聡い相手の事だから直ぐにでも行動を起こす筈で。

「…間に合う、か?」
焦る気持ちを必死に抑えてアスランはキーボードを叩く。
調べ上げたデータを全てメモリーに移し、パソコンから痕跡を消し去っていった。
最後の作業を終え、メモリーを引き抜くとアスランはそれを手に握り締めて一瞬躊躇した。

最悪の事態も想定しなくてはならないだろう。
となると、コレを普通に持ち歩いていてはまずい。
だが隠せる場所は限られている。

「………っ」
アスランは決心してデスクの引き出しを開けて、その中に隠すように忍ばせていた物を取り出した。

それは、小さな、ナイフ。

折り畳み式のそれを開き、軍服の上着の袖を捲る。顕になった腕の皮膚に、冷たく光る刃を充てた。

「…っ、う…ぅっ」

つぷ、と皮膚に刺し、すう、と切り裂く。鋭利なナイフは簡単にアスランの腕を裂き、その傷から鮮血を滴らせる。
「ぐ、う…っ。うぁ…っ」
苦痛に声を洩らしながらもアスランは更にナイフを突き立てて、なるべく血管を避けながらも皮膚の下にある肉を割り開いていく。
ある程度の深さまで抉るとナイフを置き、小さなメモリーをその傷にめり込ませた。
切り裂くのとは断然に違う、異物をめり込ませる激痛に一瞬目の前が霞むも、アスランは堪えてぐい、と自らの腕にメモリーを隠した。

「っ…、はぁ…」
苦痛に喘ぎ血をぼたぼたと床に滴らせながら救急箱を取り出して乱雑にガーゼをあてて包帯を巻いた。
白い包帯が一気に赤く染まる。
そして止血剤を噛み砕くように飲み、捲った袖を元に戻した。

これでいい。
これならばなくす事無く、万が一捕えられても直ぐには見つからない。
少しの時間稼ぎでもいいのだ。
例えこの身が失われても、きっと今も動いているだろうラクス達が同じ事を調べ上げる時間は稼げるだろう。
確証はないが、しかしアスランのカンがそう告げていて。

鎮痛剤を飲まなかった為に激痛はやむ事はない。しかし飲めば感覚が鈍る。
止血剤だけで充分だ。

アスランはふらつきそうになる脚に力を込めて。

雨降る夜の外界に出る為に、窓めがけてその身を踊らせた。
Category [ 時系列(No.04)【茜さす帰路照らされど】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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