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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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君は僕のわんこ 1
TB[ 0 ]   CM[ 0 ]   Edit   2005/09/07[ Wed ] 23:16
………犬を拾った。



犬、といってもまだ子供で。黒い毛並みに紅い瞳がよく映える、小さな小さな子犬だった。捨てられていた為だろうか、ろくに餌も与えられていない所為で体も小さく貧弱だった。
「………………………」
俺の足元でじっと縮こまっている子犬は見知らぬモノに近寄られて怯えているくせに、その紅い瞳で俺を見上げてキッと睨み付けてくる。…虚勢だとすぐ判るのに。現に今も黒い尻尾が垂れてふるふると震えている。

「アスラン、どうしたの?」
俺の背後からキラが不思議そうに近寄ってきた。
戦後のオーブに移り住みカガリの補佐として日々を過ごす事を決めてからずっと多忙だった俺は、なかなか時間を自由に使う事が出来ずにいて。キラが今隠れるように住んでいる、この海辺の家に立ち寄るのも思い出せない位久しぶりで。
限られた時間だったけれど久方ぶりの再会を楽しんで、自分の居住区に戻ろうと、玄関を出てエアカーに向かっていた所だった。すると視界に入ってきたのは無機質な物体の下にうずくまっている、小さな命。
どうしたら良いのかと半ば茫然と立ち尽くしていた俺を、玄関で見送ろうとしていたキラが不審に思うのも当たり前だ。
「アスラン?」
「………………………犬」
我ながら情けない声を出したと思った。犬が苦手な訳ではないけれど、でも小動物を見るのは久しぶりだったから少なからず動揺はしていたのだと思う。
「犬?。…ああ、ほんとだ、可愛いね。まだ子供だ」
そう云ってキラが屈んで子犬に手を伸ばした、否、伸ばそうとした。しかしその子犬は急にキャンキャンと吠えだしてキラの手に噛み付こうとした。
「キラ!?」
「…っ、大丈夫。噛まれてないよ」
「そうか、良かった」
驚く俺を見上げて薄く笑うキラはすぐに視線を子犬へと戻す。
「…怯えてるね。この辺りじゃ見かけた事ないから…捨てられちゃったのかな?」
「ああ、多分そうだろうな…」
そう云って俺もその場にしゃがんで子犬を間近で見つめる。近くで見ると黒い毛並みは薄汚れていて紅い瞳が余計際立って見えた。
「困ったな、退いてくれないと車を出せないんだが…」
子犬はエアカーの進行方向にどん、とかまえていて、動こうともしない。空腹で動けないのかも知れないが、どちらにせよこのままでは俺は居住区に戻れない。
「…頼むから退いてくれないか?、………ほら」
困り果てて俺は子犬に手を伸ばした。先程のキラのように吠えられ、噛まれるかもしれないとは思ったが。しかし、子犬は、吠えなかった。キュウ、と哀しげな声で鳴いて俺を紅い瞳が捉える。
「おい………」
子犬の顔に軽く触れて退けようとすると、またキュウ、と鳴いて今度は俺の指先を舐めてきた。
「こ、こら。舐めるな」
突然の事にビクリとして手を引く俺に、キラが云う。

「アスラン、飼っちゃえば?」





「はぁぁ!?」

「や、だって。僕が手を伸ばしたらすごく吠えたのに、アスランだったら…ほら」
…キラの云う事は正しい。確かに手を引いた今も、突然の発言に固まる俺の指先を子犬は舐めている。
………………しかし、だ。
「だから、なんで俺が」
「え、でもその仔が退かないとアスラン帰れないでしょ?。」
「しかし、それとこれとは…」
「それに、アスランの事気に入ってるみたいだよ」
「あ、だから…、キラ」
「飼っちゃいなよ、アスラン」



………………少しは俺の話を聞け。
全く人の話も聞かずにキラは一人うんうん、と頷いている。俺は軽く頭痛がしてこめかみの辺りを抑えた。
キュウ………。また、子犬が鳴いた。『置いていくの?』と淋しそうに責められている気分だった。
「………………………」
諦めよう。この場でキラに何を云っても俺には勝てそうもないし、それにこの淋しそうな紅い瞳に………完敗したような気がする。深く溜息をついた俺は足元の子犬に両手を伸ばし抱き上げた。
「飼うんだね、アスラン!!」
………そう仕向けたのはお前だろう。キラにそう云ってやりたがったが俺は言葉を飲み込んで黙って頷いた。
「アスラン、昔から面倒見いいから大丈夫だよ、僕もそうだったから」
急に抱きかかえられ俺の腕の中でおどおどしている子犬にキラが話し掛けた。
………お前は犬か。いや、それよりも俺を何だと思っているんだ………。
また頭痛がした。
「………じゃあ」
そして俺はエアカーに乗り込んだ。子犬を助手席にぽん、と置いて。キーを差し込みエンジンを吹かすとキラが笑って手を振る。
「今度来る時はその仔も一緒にね!!」
キラの言葉に俺は力なく笑うとエアカーを発進させた。



海沿いのカーブを走り抜けながら、ちらっと助手席にいる子犬を見る。突然連れられて車に乗せられて驚いている、かと思えば………。

キャン。
 
嬉しそうに吠えて俺を見ていた。…悔しいが、認めよう。可愛い、と思う気持ちを。ふっ、と笑って子犬に手を伸ばし頭を撫でてやる。
「なかなか構ってやれそうにもないが…我慢してくれよ」
そう云いながら頭の中では別の事を考える。ふいに浮かんできた事を俺は口にした。

「…シン。お前の名前はシン、だ」

殆ど直感で決めた名だったが、不思議とそれは馴染んだ。



「シン」

もう一度『シン』の名を呼ぶと、嬉しそうにキャン、と鳴いた。




2005/08/31 UP (2005/09/04 改稿)
Category [ SS ノーマル・CP ]
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