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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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タイトルなしミニネタ。
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/04/22[ Sat ] 01:12
ふと見上げた光景は全く見慣れない天井で。
けれど環境が変わる事に慣れきっていたアスランは、さほど動じずにいた。
ああ、また俺任務か何かで何処かの国に来て、素泊まりするだけのホテルにでも居るんだろうな。
ぼんやりと思いながら何度か瞬きをすれば、不意に何かの気配を感じて。
ゆっくりと横を向けば、其処には、シン。
寝息が鼻先にかかる位近くにシンが居て、気持ち良さげに眠りこけている。
そういえば、と惚けた頭で現状を思い出した。
戦争も終わって二人とも軍属じゃなくなって。
幾ら軍にいた頃の貯えがあったとしても、これから民間人として生きていくなら節約しましょうよ、とシンからの提案に深く考えずに頷いて。
気付いたら何故か一緒に暮らす事になっていた。
住む場所も使う家具も食べ物の好き嫌いまで色々話し合って、流されるままこうして今々空間で寝ている。
「…ん、う」
まだ家中ごちゃごちゃしているからとりあえず確保した一人分のベッドに無理して二人眠っている。
だから当然狭くて窮屈なのに。
「何で…お前、くっついてるんだよ」
思わず声にしてしまった愚痴。
シンは眠る前に、アンタもう少し離れて下さいよだの何だのと煩かったくせに、今アスランを抱き枕代わりにぎゅう、と抱き締めて眠っていた。
仰向けに寝ていたアスランに横向きになって両手どころか両足までも回して、抱っこをねだるみたいに。
「こら、シン。こんな格好で寝てたら手が痺れるぞ?」
そう囁いて目の前のシンの鼻を摘んでも、シンはぐつすりと眠っていて全く起きる気配がない。
アスランも引っ越し作業で疲れていたから、何度も起こそうとするのが面倒臭くて。
それに、抱きつかれた体温が、暖かくて心地よくて。
何故だろう、酷く安心できた。
「…仕方ないな」
そうしてアスランはのそのそと体を動かして、シンに向き合うように横向きに態勢を変える。
未だ抱き締めるシンの腕がちょうど首の辺りにくるように動けば、顔が彼の心臓に近づいた。
とくん、と微かに伝わるシンの鼓動が安定したリズムを刻んで、アスランを再び眠りに誘った。
やがて目蓋がゆっくりと閉じられ、アスランはシンの抱き締める腕の暖かさと、擦り寄った胸元から伝わる心搏の音に安らぎを感じながら。
共に朝を迎える為の眠りに落ちていった。

明日朝起きた時のシンの慌てふためく顔が楽しみだと、ぼんやり思いながら。

と、つい休憩がてら書いたネタでした。
現在ひさこさん引っ越しによる修羅場中でございますorz。
もう少しばたばたしそうな怪しい気配ですが、思いついたミニネタを携帯からうPりつつ生存確認報告致しますorz。

………さて、荷造り再開するか…(え?)
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Category [ SS ノーマル・CP ]
好きだから許せる境界線
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/04/21[ Fri ] 18:58
………踏んでいいかな、コレ。

フローリングの床に長い手足を無造作に投げ出して、ゴロゴロ惰眠を貪っている、ソレ、を見ながら俺は誰に問うでもなく心の中で呟いた。
辺りにはネジやらチップやら何かのカバーやらが足の踏み場もない位散乱してる。どう見ても不燃物のゴミにしか見えないそれらの中には、近場で適当に調達したらしいコーヒーパックとかサンドイッチの包装紙とかも混じっていて。
たった一日で壮絶なゴミ溜め場になってしまった我が家の居間を、俺はただただ呆然と見下ろしていた。

「………ん、ぅ」

起きた。

散乱するゴミの中でも一際大きい、粗大ゴミ。
つか辛うじてまだ息してるから生ゴミか。

「…ん、あ、シン…?」

シン…?じゃねーよ、こん畜生。

床に寝転がったまま、まだ眠そうな目蓋をこしこし擦って俺をぼんやり見上げている生ゴミを、俺は据わり切った眼で睨んだ。

その生ゴミの名前は、アスラン・ザラ。

一応、俺の恋人、の筈である。

「すまない、シン」
「………何が?」
「いや、その…散らかして…」
「………で?」
「お前、怒ってる、だろ…」
「………さぁ?」

酷く冷めた目付きで適当に答える俺のあからさまな態度に、でかい生ゴミ、いや、アスランはうなだれていた。
今もぐちゃぐちゃに散乱している床にぺったり座り込んだアスランは、恐らく昨日から着ていた服だろうものを皺くちゃにしていて。
着のみ着のまま糸が切れたみたいに寝こけていたんだと直ぐに判る。
頭だってぼさぼさでその有様は普段のすました姿を知っている奴は驚くだろう。
毛先はあちこちに跳ねて後ろなんて見事に巣食ってる。
その惚けた巣頭でどんな鳥飼ってんの、アンタ。
「………シン、本当にごめん」
すっかり肩を落として意気消沈しているアスランを、俺はさっくり無視して自分の部屋に籠もった。

独り残された彼が今閉ざされたドアの向こう側でどうしてるかなんて関係ない。
きっと深い深い溜息なんか零して、泣きそうな顔しているんだろうけど。
暫らくズドンと落ち込んだらのそのそ動きだして、散乱した物を片付け始めるんだろうけど。
そんなの俺の知った事か。

大体いつも自分勝手なんだ、あの人。
早く帰ってこいとか云う癖に自分はあっさり周りに流されて午前様になったり、誰に対しても協調性を忘れるなとか云う割に自分は皆無だし。
使った物は自分で片付けろとほざく癖に、あの人はしょっちゅう出しっぱなしだ。
夢中になったら周りが見えなくなるなんて今更もう聞かないよ、俺は。

昨日まだ寝室から起きてこないアスランにドア越しにいってきます、と告げて一泊二日の出張に出掛けたけれど。
かつて英雄とまでうたわれた人が今は軍のMS開発部門の下請けを請け負う民間企業に勤めているんだけど。
何かよく判らない物の開発に最近つきっきりで俺の相手もおざなりで毎晩朝方まで図面と部品に囲まれてたのは知ってるけれど。
今も軍に居て治安を守る為に日々頑張ってる俺に、母さんかよと逆ぎれしたくなる位アレしまえ、コレ片付けろ、と怒鳴っていたのは一昨日の夜。
それから顔を合わせずに軍の命令で宇宙に行ってきて、帰ってきたらこの有様。
俺が怒るのも当然だろ。
俺は外で働いてるんだ、アンタみたいに家にずっと居る訳じゃないのに。
思い出したらまたふつふつと怒りがぶり返してきて、俺は腹いせ紛れにベッドに豪快に倒れこんだ。

「………シン、シン…」

ドア越しにアスランが俺の名を呼んでいた。
けど俺はやっぱり返事もしない。
すると直ぐに静かになった。
怒鳴る訳でもなく静かに怒っている俺の態度に、自分が悪いと反省してるんだろうけど。
さすがにやりすぎたかな。
珍しくすっかりしょげかえったアスランを思い出して、少しだけ譲歩を考える。

そうして俺は自ら閉じたドアをゆっくりと開けた。
鍵しめてる訳じゃないのに開けてこない位気を使って、そして落ち込んで。
アスランはさっきと同じ場所に座ったまま、俺に背を向けてうなだれている。
一度落ち込むとうっとおしい位長引くよな。
今も絶賛続行中だ。
「…うざいよ、アンタ」
恐ろしく低い声で猫背の背中に呟けば、肩がびくん、と小さく震えた。
「落ち込むならご自由に。でも邪魔だから自分の部屋でやってくれませんか?」
「………………シン」
かなりの毒を含みながら云う俺をアスランは小さく丸まって見ようともしない。
それだけしょげてる、って事か。
うん、まあ、もう、いいか。
さすがにこれ以上は可哀相だ。
結局は甘いよな、俺。
そう思いながら俺はアスランに近づいた。
足音で気配に気付いたアスランが怯えて躯を強ばらせているのが判る。

「ちょっと、そこの粗大ゴミさん」

最後に思いっきり毒を込めて。
うなだれるその後頭部に、ゴン、と。

愛の膝蹴り。

「ッ!。痛っ」

衝撃に前のめりに転びかけている躯をぎゅっ、と抱き締めて。

「………ほら、おかえり、は?」
「…シン。………おかえり」
「ただいま、アスランさん」
「うん………ごめん、シン」

蹴られた事にも怒らずに抱き締めている俺の手を握り、アスランはそれを引き寄せて頬擦りした。

それから二人で仲良く居間を片付けた。
っても俺はまだぶちぶちと文句を垂れ流して、アスランはその度にごめんごめんと情けない声で謝って。

すっかり綺麗になった居間でくつろぐ暇もなく。
押し倒した俺に、逆らわないアスラン。

いつもは厭だとごねる居間の床の上で、四つんばいになったり脚を大きく拡げたり、出来る限りの恥ずかしい格好を強いてもアスランはふるふると震えて我慢していた。
どんな格好でもどんな事云われてもどんな事させられても、今日は嫌がらない逆らわない。

「…っあ、ん、シ…ン、シン…ッ」

可愛い声で泣く、さっきまで生ゴミ認定されてた人。
やっぱり大好きな、俺の、恋人。
Category [ SS R15 ]
風の誓い、白の契り(色々注意)
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/04/16[ Sun ] 22:21
この話は某所で知った近々発売のスーツCD10の事前ネタバレに基づき、妄想と捏造を膨らませたネタです。
(ええ、シン無理矢理出したよ。だって私シンアス者だもの!)
ネタバレ(ってもさくっと流しただけだけど)だとか一部氏にネタ?も絡んでおりますので、知りたくない方やそういった意味で暗い話を避けたい方、そしてレイファンの方はスルーして下さい。






「遅かったですね」

遠くからシンを目指して歩み寄ってきたその人に、首だけを回して振り向き声を掛けた。

「ああ、イザーク達と会ってな」
「へぇ、来てたんですか。偶然?」

顔だけを向けたままのシンの横に立ち止まったアスランは、彼等とのやりとりを思い出したのか困ったように笑いながら答える。

「いや…違うらしい。どうもディアッカが一緒に行こうとメールをくれたらしいんだが…」
「アンタは見ていなかった、と」

アスランが云うより早くシンがばっさりと言い切った。
う、と一瞬言葉を詰まらせたのは図星だからだろう。
実際此処に来る迄の間、彼がどのように過ごしていたかを身近で見ていたシンはよく知っている。

「忙しかったですもんね、アンタ」
「あぁ…いや、仕事のメールはチェックしてたんだがな…」

情報漏洩を恐れて公私別々に使い分けたノートパソコンは、ここ最近公用の物ばかり立ち上げていて。
私用の物は埃を被る寸前だ。

「でも結果的に此処に来て会えたんならいいじゃないですか」

楽観的に告げるシンに先程のイザークの様を再現してやりたい。
お前、アイツに絡まれた事がないからそんな簡単に云えるんだ。

内心毒を吐いてみたけれど、しかし再現するとなればまた自分が怒鳴られるだけだ。
以前より角が丸くなったとはいえ、今は欝陶しいだろうからとアスランは思考を違う方向に持っていった。

「お前はもう済んだのか?」

今も顔だけをアスランに向けたままで、躯を向き合わせていないシンに問い掛ける。

「ええ、もういいです」

シンはあっさりと答えたけれど、その赤い眼に一瞬だけ淋しそうな悲しそうな負の感情が籠められたのを、アスランはわざと気付かない振りをして頷いた。

そうして二人、大地に眼を向ける。
若葉色の草野原に規則正しく並べられた物の、ひとつ。
白い、白い、墓標。
生誕日も没した日も刻まれていない、その墓石。

『レイ・ザ・バレル』

とだけ、名を刻まれた白い墓標。

それをシンは哀しげに、けれど何処か懐かしそうに見つめている。

戦争が終息したのち、やはり彼の亡骸は欠片も見つからなかった。
ミネルバに置き去りにされた僅かな私物だけが彼の遺品となった。
レイが生きていたという証。
例えどんな謀略で生まれ出でた偽りの存在だとしても、シンやミネルバクルー達にとっては一人の人間でしかない。
戦後アスランと共にオーブに移り住んだシンは、ザフトを退役する前に軍上層部やプラント評議会と激しくやりあった。
戦犯かもしれない。あの議長と深く関わり、手先として暗躍していたのだから、それは否定しない。

けれど、だからといって彼が自ら選んでしまった結末を誰が責められる。

生きたくとも生きられない。
よく知らない誰かの代わりとして作られたクローンであるレイを。

シンの願いに、新しくプラントを守る地位についたラクス・クラインは答えてくれた。
騒めく周囲をやさしい笑顔で黙させ、議長の言葉に従ったシンを罰しもせず、そうしてレイの墓標を作る事を認めてくれた。

そのときアスランは先にオーブに移住していた為、後からラクスに話を聞き、そうして遅れてオーブに来たシンを優しく迎えた。

よくやったな、と。

そう言葉を掛けられ泣きそうな顔をして、けれど必死に堪えて笑い返したシンの姿を今も忘れられない。



そうしてアスランのかつての仲間の命日に、墓参りに行く彼に伴い、シンもまた此処に来ていたのだった。
墓石が完成する前にオーブに移住してしまったから、訪れるのは今日が初めてだった。
レイの墓にはシンが手向けた花束の他にも幾つかあって、恐らくルナマリアやメイリン、他のクルー達も時折訪れてくれているのだろうと一目で判った。

「良かったな」
「うん…」

ぽん、とアスランがシンの頭を撫でてくれた。
アスランはシンの気持ちを判ってくれている。

弔う墓標がない辛さを、彼は誰よりも知っている。
未だ戦犯とされている彼の父親の墓標はない。
だからアスランは同じく亡くした母の墓標に父の分も花を手向けていた。

シンはそうならなくて済んで良かった、とプラントのお偉方相手に無茶な立ち回りをしたシンをアスランは責めずにいてくれた。

それが今も、酷く嬉しかった。



「…行こうか、シン」

頭を撫でていた手を肩に置いて、アスランがシンに告げる。
一度頷きかけて、しかしシンはちょっと待ってくれ、とアスランを制止した。

不思議そうに首を傾げたアスランの手を握り締めて。

レイを、見て。

「………レイ。俺は生きるよ」

と、静かに語りだした。

「俺はお前の分も生きるから。お前が望んでくれた通り、未来を生きるから」

かつてレイに云われた、レイに託された、言葉。
それに今、答える。

ぎゅ、と強くアスランの手を握り締めて。


「このヒトと一緒に…俺は生きていくから」


かつて敵となってしまったアスランと共に。
かつて恨みすら抱いていた故郷のオーブの地で。

何の隔たりもない、平和な世界を守る為に。
望まれず生まれた命などない世界を作る為に。
生きたいと願う者を悲しく死なせない為に。

シン・アスカは、アスラン・ザラと共に。

生きる、と。

そう告げた。



「シン…」
「行きましょうか」
「ああ」

何の曇りも澱みもない真っすぐな眸でレイの墓標に誓ったシンに、アスランは一瞬だけ驚いてみせたけれど。
手を握ったまま歩きだしたシンに照れ臭そうに微笑う。

「お前、あれじゃ結婚を報告にきたみたいじゃないか」
「似たようなモンでしょ?」
「あのなぁ…」
「いいじゃないですか。一緒に住んでるんだし、第一俺達、オーブ行政府公認の仲なんだし」

狼狽えるアスランにシンはにやりと笑って答える。
シンの云う行政府公認というのは、つまり国家元首であるカガリ・ユラ・アスハ公認、という事だ。
確かにそうかもしれないけれど、でも。
歩きながら、うーうー、と唸りだすアスランに、シンは握り締めたままの手を強く引いて。
掠めるように唇を奪う。

「いい加減認めろよな、夫婦だって!」
「なっ、馬鹿!。こんな所でするなと云ってるだろ!」



夫婦宣言には否定せずに公衆の場でのキスに怒鳴るアスランと。
その罵声を封じようと再び唇を重ねて深く口付けたシンを。



幸せに生きろ、と春の風が優しく吹き抜けた。
Category [ SS ノーマル・CP ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
数多の疵を癒す人
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/04/16[ Sun ] 14:45
「アンタの躯、傷だらけですね」

まだミネルバに居た頃にたった一度交わる行為をした。
その時に、シンに、云われた言葉。
一糸纏わず晒した肌を白いシーツの上に寝かせ、組み敷いた躯をしげしげと見つめる少年の睦言。

それが、今も、忘れられない。



実父に撃たれた肩の傷、親友と殺し合った時に負った数多の傷、愛しいと感じた少女に出逢った時に刻まれた脇腹の傷。

アスランの躯には数えきれない程の疵跡がある。

引きつれたように皺になった箇所や薄くなった箇所もあちこちに散らばる躯を、その時の少年は少し辛そうな表情をしながら愛おしいと抱いてくれた。

アスランが背負わされた数多の罪と数多の疵。
肩代わりは出来ないけれど、支えてあげたいと。
まだ幼さの残る顔で、まだ細い二の腕で、シンはアスランを抱いて昂ぶらせて癒してくれた。

だから、尚更、今もまだ。

忘れられないでいる。



「………………っ!」

それまで伏せられていた目蓋が、ぱちん、と勢い良く見開かれた。
浅い眠りから浮上した意識が現実を認識出来ておらず、茫然と開いたままの翠の眼は暗闇に閉ざされた天井を捉えている。

「………あ」

絞りだされた呟きが静かに染み渡る空間。
安らぎの闇の中で、罪を具現化した疵の悪夢によってうなされていたと漸くアスランは悟った。

誰も居ない寝室、アスランだけが眠るベッド。
一人分の体温しかない、冷たい空間。

此処に、シンは、居ない。

ゆっくりと身を起こし、深く溜息をついて膝を抱えた。
まるでコワイ夢に怯える幼い子供のように。
アスランは抱えた膝頭に額を押しつけて、大きな躯を小さく丸めた。

まだ忘れされない。
まだ思い切れない。

アスランが欲しがった愛。
親愛、友愛、恋愛。
様々な形の、色んな愛。

けれどそれらを与えてくれる筈だった人は皆、アスランの躯に疵を与えた。
愛の代わりに、疵を刻んだ。
命を失い、違う道を歩み、愛情より信念を選んで、そうして皆アスランから去っていった。

残されたアスランに、残された疵跡。



今は一人、オーブの片隅で生きている。
それなりに充足しそれなりにただ生きている。
けれど時折夢を見る。

「………シ、ン」

アスランしか居ない空間で静寂に掻き消される程小さな声で、夢に現われた少年の名を切れ切れに呟いた。
彼もまたアスランに疵を刻んで去った。
過去の疵を覆い尽くすかの如く、アスランの躯を更に疵だらけにして。
傷つけたくないと云って傷つけた。
アスランはそうなった経緯を仕方のない事だと、彼に対して償いを求めなかった。
けれどシンは己が傷つけた跡を直視出来ずに、終戦直後再会したエターナルで一切アスランを見ようとはせず語りもせず。
そんな彼に何も云えず縋る事も出来なかったアスランから、遠く離れたプラントへと行ってしまった。

アスランの躯に愛ではなく、やはりまた疵を与えて。

「シン…シン………」

何度か繰り返して名を呼んでも闇が吸い尽くす。
膝を抱えても埋まらない何か。

淋しい、苦しい、悲しい。
寒い、痛い、辛い。

こんなにも弱いと知らなかった。
独りに打ちのめされてアスランは静かに涙を落とす。

ただ今は、逢いたい。
それだけしか、ない。

シンに、逢いたい、逢いたい。

年令差だとか、立場だとか、性別だとか、常識に捉われ過ぎな自分が、本能のままに求めた唯一の人。

初めて抱いた、本当の愛情。

疵なんか気にしなくてもいい。
気になるなら直ぐにでも消しさるから。

けれど今は消さない、消せない。
独りになった今、唯一残ったシンの跡。

これすら消せば繋がりが失われるようで恐かった。
額も腕も脚も腹も胸も。
どこもかしこも古い疵の上から刻まれた新しい疵。



「………シン」

いつのまにか嗚咽を洩らして泣いていたのだと、アスランが気付かされたのは。
寝室に置かれた机の上の通信端末が鳴らしたシグナルによって、だった。

は、と視線をそちらに向けてベッドから這い出た。

まだ知らない。まだ知らなかった。

この瞬間はまだ。けれど直ぐに。

『………アスラン、さん』

夜更けに鳴らされたシグナル。
自動的に繋がれた回線。
モニターの向こうの。
遠く離れたプラントに居る筈の。

シン。



それからの記憶は曖昧だった。
気付いたらシンの腕の中にアスランは居た。

いつのまにか同じだけの背の高さに成長していた、シンの腕に抱き締められていた。

淋しくて逢いたくて、けれど独りぼっちで。
疵だらけの躯で必死に耐えてきた。

かつてシンを想って淋しさに泣いた。
今はシンを想って嬉しさに泣いている。

愛を求め、愛の代わりに、疵を貰い。
ぼろぼろになった躯から醜い疵跡はやがて綺麗に消し去られて。
弱り果てた心の疵は今アスランを抱くシンによって癒される。

いつまでも疵は消えない訳じゃない。
いつの日か疵は癒される。



愛の代わりに与えられた疵は、けれど愛で癒せるものだと。

初めてアスランは知った。
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Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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