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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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【カウント・ゼロ】
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2008/12/31[ Wed ] 23:21
「シン、あと何分だ?」
「えーと……三分!」

そんな会話を交わしながら、二人同時にサイドテーブル上の時計を見る。アスランは仰向けで首だけを真横に向けて。シンはその隣で俯せになって上半身をやや起こした体勢で。

どちらも裸、生まれたままの姿で。

その瞬間を待ってる。


「早いものだな。もう今年も終わりか」
「アンタそれ何度目ですか。今日だけで五回は聞いたよ」
「五月蝿い、黙れ」
「あーハイハイ」
さっきまで熱い熱い時間を過ごしていたというのに、躯の熱が引いた途端始まる憎まれ口の応酬。
でも、そんなのは気にしない。どうせいつもの事だから。寧ろそれが当たり前だから。

当たり前を当たり前と思えるのが、嬉しいから。

「今年も無事に過ごせたな」
「アンタ二回程ヤバかったくせに」
「仕方ないだろ、カガリを守るのが俺の仕事なんだから」
「その度に俺はハラハラしっぱなしなんですけど!」
「そういうお前だって危なかっただろう、機体トラブルで。キラが居なかったら……」
今年一年を振り返れば真っ先に思い出される、お互いの身にふり掛かった危機。
常に危険と背中合わせな日常。アスランもシンも、覚悟はしている。もしかしたらいつかは、と。
「あーハイハイ、ストップー!それ以上喋らないー!」
「……都合が悪くなると、そればっかりだな」
自分に矛先がきた途端、シンがわざと大騒ぎして話を遮った。アスランが呆れ顔でシンを見上げてる。けれど、目元は優しくて。
「お互い生きてて良かったって事ですよ!」
「……まあな、お陰で今こうしてお前と一緒に居られる」
強引な話の流れではあるが、確かにそうだとアスランも頷いた。
「そうそう!過ぎた事は忘れましょ!」
でも、そうは言っても、やっぱり心配なのだ。言わなきゃやってられなくて喧嘩になる時もあるし、逆に全部忘れて束の間の幸せに浸りまくる時もある。

「あ、やべ!あと一分ない!」
「本当だ」

どちらかといえば、今は幸せに溺れたい感じかもしれない。

「……あと三十秒……二十秒……」

だって、今宵は、特別。

「さん、に、いち」


カウント・ゼロ!


「ハッピーニューイヤー!アスラン!」
「ハッピーニューイヤー、シン」


二人同時に告げる、二人一緒に祝う、新年の幕開け。

「アスラン、キスしていい?」
「いちいち聞くな、馬鹿」
「じゃあもう一回シてもいい?」
「……好きにしろ、馬鹿」

今、この瞬間を、この幸福を、共に噛み締めながら。

カウント・スタート。

また一年を生きていく、二人一緒に。



また今年も一緒に居られますように。
また今年も笑っていられますように。
また今年も生きていられますように。




願いを込めて、新年最初のキスを交わした。
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【ちぃちゃなさぼてん】
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2007/07/30[ Mon ] 22:03
アス「シン、ただいま」
シン「おかえりなさーい!」
アス「ほら、お土産」
シン「土産ってアンタ、任務で出向してたんじゃないんですか?」
アス「まあいいじゃないか。いらないのか?」
シン「………くれるモンは貰っておきますけど」
アス「(相変わらず素直じゃないな) いいから開けて見てみろ」
シン「(ガサガサ)…何これ。サボテン?」
アス「最初見つけた時、お前に似てるなと思ったんだ」
シン「つかアンタ、何ですかコレ!」
アス「だからサボテン…」
シン「そうじゃなくて!見りゃ判るよボケ!俺が云ってるのは形です、形!」
アス「(…ボケ…また云われた…ボケ…) 形?」
シン「この形、まるでアレじゃないですか!」
アス「………あ」
シン「今頃気付いてんのかよ!アンタ何てモン買ってきてんだよ!」
アス「いや…その、お前みたいだなって…それ………」
シン「俺が小さいって云いたいんですかー!」
アス「ハァ? (何でそっちに結び付くんだコイツは!)」
シン「アンタ、俺に似てるって、俺みたいだって!」
アス「いや、だから、シン落ち着けっ」
シン「畜生ーッ!ムカつくーッ!」
アス「シンッ、ちょ、待てっ、アーッ!」





そうして帰宅早々押し倒されたアスランの側には、彼が買ってきたシンへのお土産の小さなサボテンが。

20070730220305


元気に針を出してとがっておりました(・∀・)
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愛って難しい・その二
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/11/29[ Wed ] 02:46
寝室を追い出されてからどれ位たったのだろうか。もう何時間も経過したようで実際は数十分程度なのだろうが、暗くて寒い玄関では時間経過すら麻痺して分からなくなる。
そんな中でシンはアスランに投げつけられた毛布に肩からすっぽりとくるまれて、抱えた膝の上に額を乗せて丸くなっていた。
勿論云われた通りに玄関フードの段差に座って情けない自分の状況を実感させられている。

どうしよう、ヤバイ、ヤバイ。あんなに怒ったのを見たのは久しぶりだ。
前からあの人が本気で怒ったのを何度か見てはきたけれど。
ふ、と記憶が逆戻りして、過去アスランが本気で激怒した時の様子を思い出す。
最初は命令を無視して勝手な行動に出た自分を見事に平手打ちしてくれた。
次は幼馴染みだとかを撃墜したら思いっきりグゥで殴られた。
それからアスランが脱走して、再会した時にMSで殴られたり蹴られたり。
………どんどんエスカレートしてるような気もするけど、でも、あの時は仕方ないと思う。
昔は上司と部下で、今は対等な恋人同士なのに。

と、其処まで考えて思考が過去の傷に触れて後ろ向きな方向に陥りかけたのを、シンは自分を包む毛布を強くたぐり寄せて思考を必死に現在に繋ぎ止めた。

そうじゃない、過去を振り返ってる場合じゃない。今現在を、どうにかしなきゃ、と。

大体いつもなら喧嘩して追い出されても居間でふて寝する程度なのに。今日はことごとく彼の怒りを買ってしまったから毛布を投げつけられるわ、玄関まで追いやられるわ。
踏んだり蹴ったりだけど、それだけアスランの本気が伝わってくる。
「うぁぁ…」
思わず溜め息と一緒に声が洩れた。謝れば済む事なのに筋金入りのひねくれた性格じゃ、謝って寝室に戻るのも何だか釈然としない。でもこのままでいるのはもっと情けない。
「………どうしよう」
シン以外誰も居ないのに顔が上げられないでいると、不意に背後に気配を感じて。
当然それはアスランで。振り返らなくても判るのに、今は振り返る勇気がない。
「………」
「………」
毛布にくるまったまま更に小さく丸まっていると、アスランの気配はゆっくりと近付いてシンの直ぐ側で立ち止まった。
お互い沈黙のまま気まずい空気が漂うのが、余計何を話せばいいか判らなくさせていく。
「おい」
「………」
「シン」
「………」
やがてアスランが声をかけるも振り向きもしないシンに、彼が小さく溜め息を溢した。
「まさか本当に玄関に居るとはな…」
自分で追いやった癖に本当に行くとは思わなかったらしい。変な所で素直で、尚且つ変に意地を張るシンらしいな、と半ば飽きれつつも可愛げがあるように思えた。
このまま放っておけばきっとこの子供は朝まで毛布と仲良く玄関で過ごすだろうから。アスランは近寄った背後からシンの肩をポンと叩いて。
「おい、シン。何時まで其処に居る気だ?」
「…アンタが此処で寝ろって云ったんじゃないですか…」
「意地を張るな、風邪引くぞ?」
「いいんです。毛布あるし」
声をかけたら案の定ダダをこねられた。今度は少し強く肩を引けば、嫌がって毛布を頭から被り直す始末だ。
「シン…」
「………」

あぁ、もう。このクソガキは。

いらつかせる癖に、可愛くて愛しいと。
そう思う辺り年下の少年に溺れている自分に気付かされる。
「お前が其処に居るというなら俺もずっと此処に居るぞ?」
「居ればいいでしょ」
「こんな格好でか?」
強がったシンに告げられた言葉に、思わず毛布からひょっこり顔を出してちょっとだけ振り返ってアスランを見た。

其処にあったのはまっ裸で全てを晒したまま仁王立ちしているアスランの姿。

「な!、あ、あんた!。何て格好してんですか!」
人に風邪を引くぞとか注意しておいて自分はすっ裸じゃないか。そんな格好で玄関に居たならアスランだって体が冷えてしまう。
慌ててシンは毛布から脱出して彼の前に立ち、己の肌で暖められた毛布をアスランに被せた。
「アンタこそ風邪引くから!」
「お前だって裸だろう」
「そりゃそうですけど!。つかなんでそんな格好で玄関まで来たんですか?」
「シャワーを浴びてきたんだ」
言われてみれば確かに髪が濡れているし、肌も湿っている。ならば尚の事玄関に居れば体が冷えるに決まっている。なのにアスランはこの場から立ち去る気はないようで。
「あぁもう、早くパジャマ着て下さい」
「ならお前、戻るか?」
「う………」
「お前が戻らないなら俺も此処に居るからな」
「アンタずるい!」
年上の癖に子供じみた我儘を云うアスランに飽きれながらも、自分も意地を張って彼を困らせている事に漸く気付いて。
もう頷くしか、選択肢は用意されてなかった。
「…判りました!」
「シン」
「戻ればいいんでしょ、戻れば!」
やけくそ気味にそう叫んで。そしてシンは毛布にくるんだアスランの体に抱きついた。
背中に手を回して胸に顔を埋めて。
「………ごめんなさい」
と、小さな声で喋ったシンの頭を、アスランがそっと撫でて笑った。
「うん、俺もすまなかったな。少し言い過ぎた」
そうして体を包む毛布を開き、抱きつくシンを中に招いて。

二人ひとつの毛布を分けあって。

肌触りのいい布の感触と、直に伝わる肌の温もりと。それだけが、何故かとても心地好い。

やっと玄関から移動した後、冷えた体を暖めようと、リビングにあるリクライニング式のソファーで共にホットミルクを飲む。

「旨いな」
「ただ牛乳温めただけですけど」
「でも、旨いぞ」
「…そうですか」

今もまだ二人は同じ毛布の中で、ぴったりくっついている。シンはソファーの上で膝を抱えているし、アスランはそんなシンの横に座って肩に頭を乗せているし。
恐らく睡魔が襲っているのだろう、アスランの言葉は段々意味を成さないものになってきて。
「シン?」
「なんですか。眠いんでしょ?」
「ん」
「じゃあベッドに戻りましょう」
「いや…このまま…」
「このままって、アンタ」
「………ン」
余程眠いのか、アスランは毛布とシンの温もりを感じながらそのまま瞼を閉じてしまった。スゥスゥと寝息をたてる彼の顔を横から覗き見て、シンはぽそりと呟いた。

「寝やがったよ、この人」
言葉とは裏腹に口許は幸せそうに緩んでいたけれど。

ソファーの背持たれを倒して簡易ベッドにすると、シンはアスランを起こさないようにそっと横たえさせ、自分も彼の隣に寝転んだ。寒くならないように空調を調整して、このまま朝を向かえる準備をする。
どうせこの人、一度寝たら確実に起きないし動かないから。

こんなくだらない喧嘩だとか他愛もない会話だとか、ちょっとした事に腹を立てたり、かと思えば凄く満たされたり。

愛って、不思議だ。

たった一人の、お互いに振り回されながら幸せになれる。

やがて暗く照明が絞られたリビングに、シンの声が小さく響いて、消えた。

「愛って難しい」
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愛って難しい・その一
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/11/26[ Sun ] 09:40
「…っの、馬鹿野郎!」

折角酔いしれていた快楽も、彼の罵声で一気に吹き飛んだ。否、吹き飛んだのは余韻だけではなく。

浸っていたシンの躯もろとも、である。

「痛ッ!、ちょ、アンタ何すんですかー!」
「煩いっ、この馬鹿野郎!」

馬鹿野郎とは何だよ、馬鹿野郎とは。さっきまでアンタを気持ちよくさせてた俺に馬鹿野郎とは!
そりゃないだろーー!

蹴り飛ばされてベッドから転落した年下の少年に、年上で先輩で上司でもあった元英雄の青年は年甲斐もなく怒鳴り返して。
ああ、これが今ではシン・アスカの恋人である、アスラン・ザラの現状である。

ベッドに蹴り落としたシンがどこぞのチンピラ宜しくギンギンに睨みあげていたが、アスランはそれよりも怖い形相で彼を睨み返した。まるで目で殺すかのようで、鬼軍曹そのものである。
余りの迫力に一瞬だけシンが怯んだ瞬間。
「出すなら外に出せ、と云っただろう!」
と、あからさまな言葉を声も高々に叫んだのだ。
その一言で彼が何に対して激怒したのか直ぐに判ったけれど。
「んな事で怒ってんですか、アンタは!」
すっかりやさぐれてしまったシンも負けてはいなかった。
「そんな事じゃないだろう!。俺にとっては大事だ馬鹿!」
「だからって蹴るなよ!。アンタの蹴りがどんなに凄いか判ってんですか!」
「煩い、蹴られたくなかったら中に出すな!」
「仕方ないだろ、アンタん中気持ちイイんだからーーッ!」

ついさっきまで愛し合っていた恋人同士の会話とは思えぬ大喧嘩は、最後のシンの言葉で締め括られた。
蹴られた痛みと理不尽な怒りをぶつけられた事に半ば涙目になりながらも、逆ギレした勢いでとんでもない事を暴露して。
「アンタん中すっげー気持ちいいの!。熱くてきつくて堪んないの!。文句あんならアンタ、自分に云って下さいよ!」

どうやって!

そう突っ込みたくなるのは当然だろう。ならばシンはアスランにどうしろというのか。
冷たくて弛かったらいいのか、お前。それより耐久性だとか持続性だとか、自分の事を顧みる気は………………………………………ないんだろうな、これは。

逆ギレしたシンの口走る恥ずかしい言葉の羅列にアスランも堪えきれなくなり、頭の中で入れていた突っ込みも口にする前に結論に至ってしまって。
がっくり、とベッドの上で蹲ってしまった。
「シン…お前な…」
「何ですか!」
「いや、いい………」
何故アスランが疲労困憊しているのかシンは判っていないらしい。相変わらずきゃんきゃん吠えている。蹲って頭を抱えながらチラリと横目でシンを見れば、床にあぐらをかいて座りながらアスランを恨めしそうに睨んでいる。はぁ、と深い溜め息を腕の中に溢したあと、アスランは蹲ったまま手をシンに向けて差し出した。
「ほら、何時まで其処にいる気だ?」
「アンタが蹴り落としたんじゃないですか!」
「あぁ…そうだったな」
忘れてはいないけれど、一気に疲れた頭ではそこまで気が回らなかったのだ。なのにシンはそんなアスランに気付く所か、一旦沸騰しきった怒りが治まらずに。

「数分前の事も忘れてんのかよ、この惚けジジィ!」
と、云わなくても良いことを、いや、云ってはならない事を、するっと云ってしまったのである。

差し出された手を握り、再びベッドに戻ろうと脚を乗せた瞬間。

ゴン、と。

額に激しい衝撃を食らったかと思うと、今度は後頭部に激痛が走った。

「イッテェェェーー!」
「自業自得だ!」

そう、何より年上だという事を気にしているアスランに頭突きという反撃を食らった上、バランスを崩して床に吹っ飛んだが為に後頭部を強かにぶつけたのである。
前も後ろも酷く痛い。今度こそ本当に泣きながらシンは頭を抱えて床を転がっている。

そして、トドメは。

「お前、今日は玄関で寝ろ!」

アスランから下された非情な制裁。

居間のソファーどころか、何にもない玄関ですか!

普段喧嘩したらシンは居間に追い出されるけれど、今日はそれを遥かに上回る怒りを買ってしまったらしい。
エェェ!と反論する前に毛布をなげつけられ、寝室のドアをビシッと指さされた。

一度アスランを本気で怒らせてしまえばなかなか許しては貰えない。言い訳しても泣いて謝っても逆ギレかましても、自然と怒りが収まるのを待つのみで。
うぇぇ、と半分泣きべそをかいた状態でシンはすごすごと寝室を出ていくしかなくて。
手に握り締めた毛布がずるずる引きずられているのが何とも哀れな光景だった。
Category [ SS R15 ]
【殺那の死】
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/07/12[ Wed ] 03:32
「………ッ!」

その瞬間、アスランはシンに殺される。
ほんの僅かの、一瞬の、死。

「…大丈夫ですか?」
心配そうに見下ろす幼い雄をアスランはただぼんやりと見返すしか出来ないでいた。浅く繰り返される呼吸は、やや時を待てば落ち着くけれど。
「…大丈夫、だ」
未だ汗ばんだ胸は大きく上下しており、明らかに息が整っていないと解る。それでも平気だと強がるのはなけなしのプライドか、それとも。
「アスランさん…ねぇ」
「…何だ?」
「ん…」
余韻に浸る間もなく再びシンがアスランをむさぼろうとする。ベッドに横たわる躯の汗で湿った肌に自らのそれを重ね合わせ、そうして胸元に顔を埋めたままシンはアスランを抱き締めて。

本当はもう辛い。全てを暴かれる側としては躯に掛る負担は大きいのだ。
「ん…シン」
けれど胸に頬擦りされながらシーツに投げ出した掌に指を絡ませられただけで、もう。
「アスランさん…アスラン、さん…」
「あぁ…シン」
名を呼び名を呼ばれ。たったそれだけでアスランはシンに侵食される事を赦してしまうのだ。
それは、この少年だから。同じ性をもつ雄である筈の己が躯を開くのをアスランは赦してしまっている。

何度も何度も。
イカされる度に逝かされる。
殺那の悦、殺那の死。

シンにむさぼられ、シンに殺される。

その瞬間を、アスランは何よりも誰よりも、愛しいものだと知っている。
だからこそ侵蝕を待ち望むのだ。

「………っ、あ…シン」
「アスランさん」

どんなに辛くとも、どんなに浅ましくとも。

シンはアスランの望む悦と死と、そして詞を。
与えてくれるから。

「アンタが好き…」

幾らでも幾らでも。

「アスランさん…アンタが…好き」

「あぁ…シン…」

恍惚の死と、殺那の悦と。

互いの愛の詞を。
Category [ SS R15 ]
『綺麗な御馳走』
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/06/18[ Sun ] 22:39
無防備過ぎる、と思う。本気で、心の底から本気で。
「んー………」
んー、じゃないよ、畜生。思わず舌打ちする俺にも気付かず、その人は惰眠を貪っている。
風呂から上がってリビングに戻ってきて。アンタも入れば?と声を掛けようとしたら、アスランさんはソファーにゴロンと横になって寝ていた。白いシャツを着て、黒いスラックスを履いて。皺になるのもお構いなしに気持ち良さげにすやすや寝息をたてている。
「ん、ぅ………」
時々寝苦しそうに躯を捩ったりずり上がったりして。そりゃそうだろ、ソファーだもの。華奢な方ではあっても大の男が寝るには当然狭い。きちんと着込んでいたシャツが捲れて、その下の肌をちらちらと見せ付けていて。シャツの下は何も着ていないから、ボタンを幾つか外して大きくはだけさせた襟元や捲れ上がった裾から、鎖骨や胸板やへそまで見えて。
「………このやろ、無意識に誘うのもいい加減にしろってんだ」
この人はいっつもそうだ。無防備で無自覚で。俺より年上な癖に擦れてない。だからこんな時も俺を誘惑してるって判ってない。
そっと顔を近付けて覗き込めば、まだ濡れたままの髪から水滴が滴り落ちる。ぽた、とシャツに吸い込まれて。
「ん、んー………」
僅かに眉をしかめたアスランさんの寝顔にそそられる。

だから、つい、悪戯。

指で、つ…と、へそを撫でた。

「…ッ!」
途端に息を飲んで目蓋がばっちり開いて。やっと現れた翠の眼が俺を見つめる前に。

「痛ーッ!」

ガコン!、と。いきなり寝返りを打つように横向きになったアスランさんが足を上げて。俺の側頭部を強かに蹴り倒す。突然の衝撃にその場に沈んだ俺を、寝呆け眼のアスランさんが起き上がりながらぼんやり見てた。

「え、シン?」
ええ、俺ですよ。
「すまない、つい」
つい、でアンタは俺を蹴るのかよ。
「それより、今お前何かしただろ!」
はい、しましたとも!。

最初は蹴った事に申し訳なさげに、けれど直ぐ睨み付ける。そんな乱暴で最強な恋人に。

「アンタが悪いんだろーっ!」
「え、ちょ、待て待て待て!。何故俺が!」
「無意識にユーワクすんなって云ってるだろー!」
「そんなの知るかーっ!」

ソファーの上でじたばた暴れるアスランさんの躯にのしかかって。無意識に無自覚に俺を誘う綺麗な御馳走をたっぷり味わい尽くして。

勿論その後シャワーをまた浴び直したのは言うまでもない。
Category [ SS R15 ]
好きだから許せる境界線
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/04/21[ Fri ] 18:58
………踏んでいいかな、コレ。

フローリングの床に長い手足を無造作に投げ出して、ゴロゴロ惰眠を貪っている、ソレ、を見ながら俺は誰に問うでもなく心の中で呟いた。
辺りにはネジやらチップやら何かのカバーやらが足の踏み場もない位散乱してる。どう見ても不燃物のゴミにしか見えないそれらの中には、近場で適当に調達したらしいコーヒーパックとかサンドイッチの包装紙とかも混じっていて。
たった一日で壮絶なゴミ溜め場になってしまった我が家の居間を、俺はただただ呆然と見下ろしていた。

「………ん、ぅ」

起きた。

散乱するゴミの中でも一際大きい、粗大ゴミ。
つか辛うじてまだ息してるから生ゴミか。

「…ん、あ、シン…?」

シン…?じゃねーよ、こん畜生。

床に寝転がったまま、まだ眠そうな目蓋をこしこし擦って俺をぼんやり見上げている生ゴミを、俺は据わり切った眼で睨んだ。

その生ゴミの名前は、アスラン・ザラ。

一応、俺の恋人、の筈である。

「すまない、シン」
「………何が?」
「いや、その…散らかして…」
「………で?」
「お前、怒ってる、だろ…」
「………さぁ?」

酷く冷めた目付きで適当に答える俺のあからさまな態度に、でかい生ゴミ、いや、アスランはうなだれていた。
今もぐちゃぐちゃに散乱している床にぺったり座り込んだアスランは、恐らく昨日から着ていた服だろうものを皺くちゃにしていて。
着のみ着のまま糸が切れたみたいに寝こけていたんだと直ぐに判る。
頭だってぼさぼさでその有様は普段のすました姿を知っている奴は驚くだろう。
毛先はあちこちに跳ねて後ろなんて見事に巣食ってる。
その惚けた巣頭でどんな鳥飼ってんの、アンタ。
「………シン、本当にごめん」
すっかり肩を落として意気消沈しているアスランを、俺はさっくり無視して自分の部屋に籠もった。

独り残された彼が今閉ざされたドアの向こう側でどうしてるかなんて関係ない。
きっと深い深い溜息なんか零して、泣きそうな顔しているんだろうけど。
暫らくズドンと落ち込んだらのそのそ動きだして、散乱した物を片付け始めるんだろうけど。
そんなの俺の知った事か。

大体いつも自分勝手なんだ、あの人。
早く帰ってこいとか云う癖に自分はあっさり周りに流されて午前様になったり、誰に対しても協調性を忘れるなとか云う割に自分は皆無だし。
使った物は自分で片付けろとほざく癖に、あの人はしょっちゅう出しっぱなしだ。
夢中になったら周りが見えなくなるなんて今更もう聞かないよ、俺は。

昨日まだ寝室から起きてこないアスランにドア越しにいってきます、と告げて一泊二日の出張に出掛けたけれど。
かつて英雄とまでうたわれた人が今は軍のMS開発部門の下請けを請け負う民間企業に勤めているんだけど。
何かよく判らない物の開発に最近つきっきりで俺の相手もおざなりで毎晩朝方まで図面と部品に囲まれてたのは知ってるけれど。
今も軍に居て治安を守る為に日々頑張ってる俺に、母さんかよと逆ぎれしたくなる位アレしまえ、コレ片付けろ、と怒鳴っていたのは一昨日の夜。
それから顔を合わせずに軍の命令で宇宙に行ってきて、帰ってきたらこの有様。
俺が怒るのも当然だろ。
俺は外で働いてるんだ、アンタみたいに家にずっと居る訳じゃないのに。
思い出したらまたふつふつと怒りがぶり返してきて、俺は腹いせ紛れにベッドに豪快に倒れこんだ。

「………シン、シン…」

ドア越しにアスランが俺の名を呼んでいた。
けど俺はやっぱり返事もしない。
すると直ぐに静かになった。
怒鳴る訳でもなく静かに怒っている俺の態度に、自分が悪いと反省してるんだろうけど。
さすがにやりすぎたかな。
珍しくすっかりしょげかえったアスランを思い出して、少しだけ譲歩を考える。

そうして俺は自ら閉じたドアをゆっくりと開けた。
鍵しめてる訳じゃないのに開けてこない位気を使って、そして落ち込んで。
アスランはさっきと同じ場所に座ったまま、俺に背を向けてうなだれている。
一度落ち込むとうっとおしい位長引くよな。
今も絶賛続行中だ。
「…うざいよ、アンタ」
恐ろしく低い声で猫背の背中に呟けば、肩がびくん、と小さく震えた。
「落ち込むならご自由に。でも邪魔だから自分の部屋でやってくれませんか?」
「………………シン」
かなりの毒を含みながら云う俺をアスランは小さく丸まって見ようともしない。
それだけしょげてる、って事か。
うん、まあ、もう、いいか。
さすがにこれ以上は可哀相だ。
結局は甘いよな、俺。
そう思いながら俺はアスランに近づいた。
足音で気配に気付いたアスランが怯えて躯を強ばらせているのが判る。

「ちょっと、そこの粗大ゴミさん」

最後に思いっきり毒を込めて。
うなだれるその後頭部に、ゴン、と。

愛の膝蹴り。

「ッ!。痛っ」

衝撃に前のめりに転びかけている躯をぎゅっ、と抱き締めて。

「………ほら、おかえり、は?」
「…シン。………おかえり」
「ただいま、アスランさん」
「うん………ごめん、シン」

蹴られた事にも怒らずに抱き締めている俺の手を握り、アスランはそれを引き寄せて頬擦りした。

それから二人で仲良く居間を片付けた。
っても俺はまだぶちぶちと文句を垂れ流して、アスランはその度にごめんごめんと情けない声で謝って。

すっかり綺麗になった居間でくつろぐ暇もなく。
押し倒した俺に、逆らわないアスラン。

いつもは厭だとごねる居間の床の上で、四つんばいになったり脚を大きく拡げたり、出来る限りの恥ずかしい格好を強いてもアスランはふるふると震えて我慢していた。
どんな格好でもどんな事云われてもどんな事させられても、今日は嫌がらない逆らわない。

「…っあ、ん、シ…ン、シン…ッ」

可愛い声で泣く、さっきまで生ゴミ認定されてた人。
やっぱり大好きな、俺の、恋人。
Category [ SS R15 ]
数多の疵を癒す人
TB[ - ]  CM[ - ]  Edit   2006/04/16[ Sun ] 14:45
「アンタの躯、傷だらけですね」

まだミネルバに居た頃にたった一度交わる行為をした。
その時に、シンに、云われた言葉。
一糸纏わず晒した肌を白いシーツの上に寝かせ、組み敷いた躯をしげしげと見つめる少年の睦言。

それが、今も、忘れられない。



実父に撃たれた肩の傷、親友と殺し合った時に負った数多の傷、愛しいと感じた少女に出逢った時に刻まれた脇腹の傷。

アスランの躯には数えきれない程の疵跡がある。

引きつれたように皺になった箇所や薄くなった箇所もあちこちに散らばる躯を、その時の少年は少し辛そうな表情をしながら愛おしいと抱いてくれた。

アスランが背負わされた数多の罪と数多の疵。
肩代わりは出来ないけれど、支えてあげたいと。
まだ幼さの残る顔で、まだ細い二の腕で、シンはアスランを抱いて昂ぶらせて癒してくれた。

だから、尚更、今もまだ。

忘れられないでいる。



「………………っ!」

それまで伏せられていた目蓋が、ぱちん、と勢い良く見開かれた。
浅い眠りから浮上した意識が現実を認識出来ておらず、茫然と開いたままの翠の眼は暗闇に閉ざされた天井を捉えている。

「………あ」

絞りだされた呟きが静かに染み渡る空間。
安らぎの闇の中で、罪を具現化した疵の悪夢によってうなされていたと漸くアスランは悟った。

誰も居ない寝室、アスランだけが眠るベッド。
一人分の体温しかない、冷たい空間。

此処に、シンは、居ない。

ゆっくりと身を起こし、深く溜息をついて膝を抱えた。
まるでコワイ夢に怯える幼い子供のように。
アスランは抱えた膝頭に額を押しつけて、大きな躯を小さく丸めた。

まだ忘れされない。
まだ思い切れない。

アスランが欲しがった愛。
親愛、友愛、恋愛。
様々な形の、色んな愛。

けれどそれらを与えてくれる筈だった人は皆、アスランの躯に疵を与えた。
愛の代わりに、疵を刻んだ。
命を失い、違う道を歩み、愛情より信念を選んで、そうして皆アスランから去っていった。

残されたアスランに、残された疵跡。



今は一人、オーブの片隅で生きている。
それなりに充足しそれなりにただ生きている。
けれど時折夢を見る。

「………シ、ン」

アスランしか居ない空間で静寂に掻き消される程小さな声で、夢に現われた少年の名を切れ切れに呟いた。
彼もまたアスランに疵を刻んで去った。
過去の疵を覆い尽くすかの如く、アスランの躯を更に疵だらけにして。
傷つけたくないと云って傷つけた。
アスランはそうなった経緯を仕方のない事だと、彼に対して償いを求めなかった。
けれどシンは己が傷つけた跡を直視出来ずに、終戦直後再会したエターナルで一切アスランを見ようとはせず語りもせず。
そんな彼に何も云えず縋る事も出来なかったアスランから、遠く離れたプラントへと行ってしまった。

アスランの躯に愛ではなく、やはりまた疵を与えて。

「シン…シン………」

何度か繰り返して名を呼んでも闇が吸い尽くす。
膝を抱えても埋まらない何か。

淋しい、苦しい、悲しい。
寒い、痛い、辛い。

こんなにも弱いと知らなかった。
独りに打ちのめされてアスランは静かに涙を落とす。

ただ今は、逢いたい。
それだけしか、ない。

シンに、逢いたい、逢いたい。

年令差だとか、立場だとか、性別だとか、常識に捉われ過ぎな自分が、本能のままに求めた唯一の人。

初めて抱いた、本当の愛情。

疵なんか気にしなくてもいい。
気になるなら直ぐにでも消しさるから。

けれど今は消さない、消せない。
独りになった今、唯一残ったシンの跡。

これすら消せば繋がりが失われるようで恐かった。
額も腕も脚も腹も胸も。
どこもかしこも古い疵の上から刻まれた新しい疵。



「………シン」

いつのまにか嗚咽を洩らして泣いていたのだと、アスランが気付かされたのは。
寝室に置かれた机の上の通信端末が鳴らしたシグナルによって、だった。

は、と視線をそちらに向けてベッドから這い出た。

まだ知らない。まだ知らなかった。

この瞬間はまだ。けれど直ぐに。

『………アスラン、さん』

夜更けに鳴らされたシグナル。
自動的に繋がれた回線。
モニターの向こうの。
遠く離れたプラントに居る筈の。

シン。



それからの記憶は曖昧だった。
気付いたらシンの腕の中にアスランは居た。

いつのまにか同じだけの背の高さに成長していた、シンの腕に抱き締められていた。

淋しくて逢いたくて、けれど独りぼっちで。
疵だらけの躯で必死に耐えてきた。

かつてシンを想って淋しさに泣いた。
今はシンを想って嬉しさに泣いている。

愛を求め、愛の代わりに、疵を貰い。
ぼろぼろになった躯から醜い疵跡はやがて綺麗に消し去られて。
弱り果てた心の疵は今アスランを抱くシンによって癒される。

いつまでも疵は消えない訳じゃない。
いつの日か疵は癒される。



愛の代わりに与えられた疵は、けれど愛で癒せるものだと。

初めてアスランは知った。
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ケモノの跡
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2006/01/14[ Sat ] 10:45
ぞくり、とした。

朝目覚めて直ぐに着替えるシンの後ろ姿を、ベッドの中に潜り込んだまま寝呆けた表情でアスランは黙って見ていたのだけれど。
不意にシンの背中に走る赤い幾つかの筋を見つけ、鼓動がドキリ、と高鳴った。

そういえば、と。

昨夜は妙にシンが張り切っていて、いつも以上に泣かされた。

だから記憶も途中からは曖昧で、疲弊した身体は今もベッドから抜け出せない位にぐったりとしている。
そんな自分を気遣うようにそっと起き上がり、遅目の朝食を用意しようとして着替えているシンの背中。
気遣いは嬉しいのだが、正直いって目のやり場に困る。

「………っ」

頬が焦げ付きそうな位熱く火照るのが更に羞恥心を煽るから、アスランは息を詰めて枕に顔を埋めた。
微かな息遣いに気付いたシンが背中を露呈したまま振り返る。

「…アスランさん?」

あの時は、アスラン、と呼び捨てにする癖に。

ふと思い出したそんな事にすら動揺する。

「ごめんなさい、起こしちゃいました?」
「………いや、いい。気にするな…」
「そう?。じゃあ、まだ寝てて下さい。俺朝飯用意してくるから」
「…あ、ああ…」

枕に顔を伏せたままのアスランの髪を優しく撫でる仕草も、今は無性に腹が立つ。
アスランは様子がおかしい事を訝しむシンを一度も見ないままに彼を寝室から送り出した。

まだ顔が火照っている。

背中の傷。アスランがつけた爪跡。
感じ乱れた分だけ刻んだ証。

痛かっただろうに、一言も云わず気にしていないシン。

「………ああ、もう。どうしてくれるんだ…。馬鹿野郎…」

朝から盛るつもりはないけれど、シンの背中を見て昨夜の痴態を思い出し、まだ自分は若いのだと思い知らされた。
暫らくは毛布の中でおとなしく己を鎮めておこう。
そう思いながらアスランは食事が出来たからともう直ぐ呼びに来るであろうシンに、一体どんな顔をすればいいのだろうかと真剣に悩み続けた。
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ボディーブローな恋愛事情 裏 01 再編集版
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/26[ Mon ] 01:50
すみません、やばい所だけ(つまりエロw)をカットした再編集版となっております。



「んーっ、んっ、ンゥーッ!」

アスランのくぐもった悲鳴が上がる。
シンが動く度にそれは上がり、響いては消えていく。



オーブの宙港に設置された公衆用の通信回線で一通り痴話喧嘩を繰り広げた後、ぶち切れたアスランによってシンは旅立ったばかりのプラントへと連れ戻されて。
評議会議員となり、新たに用意されたアスランの私邸に送り届けられたのはつい先程だった。
シンを連行した軍人に、私服姿で敬礼を返し、そしてドアをためらいもなく開ければ。

そこにはひどくぎらついた眼差しをしたアスラン・ザラが、かつて着ていた『赤』ではなく『白』の軍服を纏い、階段の中腹辺りで仁王立ちしてシンを出迎えてくれていたのである。

「………遅かったな、シン」
「当たり前だろ、着いたばかりでまさかプラントに連れ戻されるとは思わねぇだろ、普通!」

ぶち切れたアスランの暴挙に宙港スタッフは戸惑い、出航手続きが遅れたのだ。
だから思ったより到着が遅れて。
しかしアスランの怒りはシンが到着するまで現状維持できていたらしく、更には直に対面してより一層熱くなっているらしい。
胸元で組んだ手は怒りでぶるぶると震えている。
だがシンとてそれは同じこと。
大好きなアスランの顔を見て怒りは頂点に達していた。
バン!とドアを閉めて二人だけになった空間。
議員らしく偉く無駄に広い屋敷の玄関に二人きり。
目の前の階段に立ちはだかるアスランに、シンはツカツカと歩み寄る。
アスランも階段から下りてきて、二人は玄関の広間で真正面から睨み合った。

「大体何でいきなり評議会議員になってんですか!。あんた、そういう所に出るの嫌がってたんじゃないの!?」
「仕方ないだろう!。ラクス議長からの要請だ!」
「要請じゃなくて命令だろ、ソレ!。あんた、忠犬だもんな、あのオンナには!」
「ばっ、馬鹿!。お前はラクスの恐ろしさを知らないからそんな事が云えるんだ!」
「知るかよ、んなモン!。つか、あのオンナ、あんたの女王様かよ!」

階段で繰り広げ始めた痴話喧嘩第二ラウンドは、シンの先制攻撃がアスランを動揺させた。

「お前っ、ラクスに知られたら只じゃすまないぞ!」
「もしバレたらチクるの、今ここに居るあんたしかいないじゃん!。つか、オンナ一人に振り回されてるんじゃねぇよ!」
「な…っ!。シン!」

シンの暴言にアスランは逆上し、組んでいた手を解き、拳をシンに向けて放つ。
ぶん、と顔面目がけて勢い良く飛んできた拳を元ザフトレッドで一時的にもフェイスに昇格していたシンは辛うじて避ける事が出来たが、しかし次の瞬間その場に崩れ落ちる事となる。
拳はフェイクで、避けられる事を先読みしていたアスランの本気の蹴りが、シンの腹に食らわされたのだった。
アスランの脛がシンの腹にめり込んだ。
急激に骨に響く激痛と、内蔵を押し上げる圧迫感に吐き気すらする。

「ぐぁ………っ!」

呻きと共にシンの身体は床に蹲ってしまった。
そういえばアスランの本気の蹴りを食らうのは久々だ、とぼんやりと思う辺り、食らい慣れたシンは余裕が残っていて。
蹲ったシンを、ふん!と見下しているアスランは頭に血が上っている所為かいつもの冷静さを失っているらしい。

シンが突然、一撃で大の男を蹴り倒すアスランの華麗な脚を引き掴んで。

「うっ、うわっ!」

バタン!と。

両脚を引きずられ、アスランは後ろに倒れこんだ。
受け身を取る前に身体は床に沈み込む。

ガツン、といい音が響き渡った。

「ざまぁみろ!。俺だってこれでも元ザフトレッドだ!」
「………っう、ぅ………」

倒されたその際思い切り後頭部を床に打ち付けたらしく、シンがアスランの胸元に乗りかかるも抵抗らしい抵抗はなかった。
後頭部を襲った激痛に意識が飛びかけているらしい。
シンの予想外の反撃を食らい、アスランは朦朧としながらもシンを睨もうとした。

しかし鋭い筈の眼光は怯えたものにしか感じられなくて。

痛みに呻く吐息、霞んだ眼差し。
苦しげなカオ。

それらがシンの中に眠る何かを刺激したらしい。

床に倒れこんだアスランがそれでも何とか必死に手を振り上げてシンを殴り飛ばそうとしたが、それより先にシンの拳がアスランの腹部に沈んで。

「………が、ぁ………っ!」

小さく呻いて、アスランは意識を失い、初めてシンに敗北してしまった。



それからのシンは玄関で失神したアスランをそのままに、辺りを見回して。
何かを見つけて、にやり、と笑った。



「………ん。んぁ…あ?」

やや暫らくしてアスランが目を覚ます。
未だ後頭部はズキズキと痛みを発していた。
霞んだ眼で何とか自分の置かれた現状を判断しようとして起き上がろうとしたが、何故か動く事は出来なかった。

「あ。漸く起きた!」

シンの声が頭に響く。

「…な、に…っ。シン…?」

ぼんやりとしながら何故か動けない己の身体を見れば、アスランの脚はとんでもない格好で縛り上げられていた。

足首をそれぞれ縄で縛られ、大きく開脚させられた状態で階段の手摺りの両側に繋がれていて。
しかも手摺りの上に結ばれているものだから、脚は宙吊りに近い形となっている。
下半身を階段に向けアスランの身体はひどく卑猥な姿勢をとらされていたのだった。
しかもいつのまにか白い軍服は下を脱がされていて。
上着は一度アンダーを脱がした後に再び着せたらしいが全開にはだけさせられていた。

明るい玄関で情けない事にアスランは裸体を曝け出していたのだった。

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Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
ボディーブローな恋愛事情 裏 02 表用再編集版
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/26[ Mon ] 01:48
すみません、やばい所だけ(つまりエロw)をカットした再編集版となっております。


「こら、シン!。何なんだ、これは!」

アスランが叫び、シンの姿を探す。
しかし上半身も自由を奪われていて。
折角支給された白の軍服の袖を利用して縛り、手首を後ろ手に拘束して、更には上腕部もろとも胸元をぐるぐるに縄が締め上げており、みじろぐ事しか出来なくて。
何とか上半身を横向きに倒した途端、シンが上から肩を押さえ付け、アスランの腰に乗り上がってきた。

「何だよ、もう!。うるっさいなぁ!」
「煩いじゃないだろう!。お前、何を考えているんだ、馬鹿野郎!」
「何って、やる事!」

突然の事態に慌てふためくアスランにシンはさらっと言い切った。

「シ、ン」

一瞬アスランの声が震える。

まずい、コイツ、本気だ、と。
本気で切れている、と。

ミネルバに居た時も幾度かこんな風に喧嘩をして、口下手なアスランの言葉にマジ切れしたシンが襲い掛かり、散々な目にあった事をアスランの身体は忘れていなかったのだ。

こうなってしまえば手には負えない。

というより泣かされて力尽きるまでシンにいいようにされるのだ。

例え経験と実力でアスランの方が強くとも、ぶち切れたシンは何をしでかすか予測が出来ない上に、火事場の馬鹿力、通常の数倍も強くなる。

その証拠にシンの赤い眼はやけにぎらついていて。
種割れしたかのように興奮しきっている。

「つかさぁ、あんた、俺の事何だと思ってる訳?。いきなり呼び付けて、でもあんた居なくなってて。そしたら今度はプラントに強制送還?。俺は都合のいい飼い犬かよ!」

しかしアスランとて彼に対して怒りを感じている。
あんな公衆の面前でとんでもない事を大声で叫び続けられたのだ。
当然評議会議員となったアスラン・ザラの卑猥な現実をバラされて、きっと知れ渡ってしまうに違いないから。
怒らない訳がない。

「だから!。それは悪かったと思ってる!。でも、お前だって!」
「ふぅん、それ、今初めて聞いた!」
「………………あ」

もはや完全に泥沼だった。

先程宙港で言い争った時、そういえば言い訳ばかりで謝罪を口にしていなかった、と今更アスランは気付くも、時既に遅し。
余計シンの怒りをヒートアップさせたようで。
無表情でアスランを見下しながら、シンは彼の首筋をいやらしい動きで指でなぞる。



そうしてアスランはシンによって泣かされることとなった。
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Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
ボディーブローな恋愛事情 裏 03 表用再編集版
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/26[ Mon ] 01:46
すみません、やばい所だけ(つまりエロw)をカットした再編集版となっております。



「………ふ、う」

全てを出し切って、すっきりしたように息を吐き出しているシンを、アスランは涙で潤んだ眸でぎらり、と睨み上げた。

「………誰が、溜まってる、だって………?。お前だって、えらく濃厚じゃないか?」

先ほどシンに言われた言葉を突き返さんとばかりにそんな事を、涎と体液まみれになった唇で吐き捨てた。

「うっ、煩いな!。若いんだから仕方ないじゃん!」
「じゃあ、相変わらず早いのも、若いからか?」

されるのは好きだけれど、するのは嫌いだと。
知っていて無理矢理口淫させられた為に、アスランは怒りに任せてとんでもない言葉を吐き続ける。
さっきまで感じて泣いていた眼はやけにぎらついていて。

シンと同じくぶち切れてしまったらしい。

「早いくせに俺の口でシテ貰おうなんて、贅沢すぎる!」
「なっ、あんたっ!。ソレ云うかーっ!」
「煩い、馬鹿たれ!」
「うわっ、馬鹿たれって!。あー、マジむかつくーッ!」
「それはこっちの台詞だ!」

縛られて、組み敷かれて。
圧倒的に不利な筈なのに、アスランの睨み殺しそうな眼光に有利な筈のシンが一瞬怯むも、喧嘩口調の暴言に萎えかけた怒りが爆発する。

「だーーーッ!。かっわいくねぇーーーッ!。何であんた、いっつもギャアギャア煩いの!。たまには静かに俺にヤラれろよ!」
「ヤラれるか、馬鹿!。大体お前はいつも暴走し過ぎなんだ!。俺の苦労も知らないくせに!」
「知るかよ!。つか、早い分、頑張ってあんたをイカせまくって足腰立たなくなるまで満足させてんじゃん!」
「ふん!。自分で早いと認めてたらお仕舞いだな!」
「………………………うぇぇ」

切れたシンにアスランも倍以上にぶち切れ返して。

無意識に自爆発言をしてしまった事をアスランに指摘されたシンは、口をぱくぱくと震わせて。

「………ふぇぇぇ………。アスランがイジメる………」

縛られ転がされた身体に覆いかぶさって拗ねた子供のように、ぐしぐしと泣きじゃくりだしたのだった。

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Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
ボディーブローな恋愛事情 裏 04 表用再編集版
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/26[ Mon ] 01:43
すみません、やばい所だけ(つまりエロw)をカットした再編集版となっております。



「こら、シン!。重い!。泣くなら退け!。ついでに縄を解け!」
「やだ…っ、あんた、絶対…怒るし、殴る…しっ」
「………それだけの事をしでかした自覚だけはあるんだな」

アスランの暴言と追い打ちをかけてしまった自分の言葉に、シンは泣いて嫌々と首を振って。
ぎゅ、とアスランの首にしがみ付く。

「だっ、て、あんた…居ない、し…っ。久々に…逢った、のに、何も話してくれ、ないで………っ」
「お前、話をソコまで戻すか………」
「怒っ、てるし…っ。怒る、と、恐い…し…」
「誰が怒らせたんだ…馬鹿…」

しゃくり上げて泣き続けるシンは完全に怒りは消えていて、アスランも半ば呆れていた。

だけど。

こんな我儘な子供に惚れたのは自分で、しかも一緒に住もう、と云いだしたのも自分で。

でなければこいつは戦時中の事を気にして気にしすぎて、離れていくに違いないからと。
それはきっと自分も同じ事で。
会わない時間が長引けば余計会いづらくなる。
そうなる前に恥もプライドも捨ててシンを呼び寄せたのだ。

もう、諦めるしかない。

我儘で、子供で、暴走癖があって。

それでも、本当は優しくて、意外と弱くて。

純粋なシンを。

手放せなくて、手放してほしくなくて。

結局は甘やかして許してしまう位、好きなのだと。

諦めるしかないのだ。

「………シン。シン、シン………」
「お、れ、イヌじゃ、ない………っ」

優しく名を呼べば、駄々をこねられる。

「判ったから………シン。縄、解け。怒らないから………」
「嘘………。絶対、怒る」
「怒らない」

ぐすぐすと泣きじゃくりながら、シンがアスランの顔を見つめた。

ひどいカオ。

アスランが涙でぐしゃぐしゃになったシンの顔を見つめ返し、そして目蓋を閉じて。

「………シン」

キスを、ねだった。

「ん、ぅ………っ」

噛み付くように唇を重ねられて。
荒々しい舌使いにも感じてしまう。
息苦しくなり、漸く唇を解放された頃にはシンは泣き止んでいて。

「ほら、縄解いて………」
「でも」
「こんな場所で、最後までする気か?。折角一緒に住むのに、お前、初めてするのが玄関でいいのか?」
「………………え?」

アスランの言葉にシンが何度も瞬きする。
それでも驚く前に先に縄を解け、と促され、シンはやっとアスランの身体を自由にしてやる。
半ば吊り上げられていた脚は変に筋肉が張っていて、自らの身体の下敷きにされていた腕も痺れている。
身体も汗と精液で汚れていた。
床にぺたん、と座ったアスランを、シンは隣で正座してうなだれている。

「………一緒、に住む、って」

シンがぽつりと呟いた。

「お前が此処に来るまでに手配する、と云っただろう?。戸籍もこちらに戻したし、軍籍も一度は除隊されたが、また復隊させておいた」
「………え?。え、だって、あんた………」

確か、お前には軍人は似合わないから、と。
優しいお前には辛すぎるから、と。
そう無理矢理言い聞かせて大学に進むよう説得したのはアスラン自身で。

なのに今。

思わずシンは自分の耳を疑った。

きょとんとした赤い眼を、アスランは苦笑しながらも優しく見返して。

「お前、俺の傍に居たいだろう?。俺はこれから忙しくなるからな…余り一緒に居られなくなるだろうから」

そう云って。
ふわり、と裸のままで抱き締めてきて。
腕の中におさまったシンの耳元に静かに呟いた。

「だから…お前、俺の直属の部下としてザフトレッドに復隊させておいた」
「…アス、ラン」

おずおずとシンの手がアスランの背中に回され、きゅ、と抱き返される。

「本当はお前を軍に戻したくはなかったんだが…でも、俺の傍に置いておけば、暴走も止められるだろうし。それに、俺も…お前になら、守られても安心できるだろうから」

議員になれば、『ザラ』という名を背負うアスランには更に危険が増すのは当然で。
命を狙われる可能性だって高い。
それを覚悟した上で議員を引き受け、そして己が身を守れる存在を欲するのも当然で。
だから安心して背中を任せられる者を傍に置くのは大切な事だった。

ぽそぽそと呟いたアスランの頬が熱く火照っている。
その体温が密着したシンの首筋に伝わってきた。

「じゃあ、俺…此処、に住んで、一緒に居られるの?」
「………ああ。どうせ元々そのつもりだったがな」

だけど議員任命が突然過ぎて、しかも箝口令までしかれてしまって。
伝える事が出来なくて。
それでもシンなら必ず自分を追ってくるだろうからと、議員を引き受ける時にラクス議長に条件として交渉し、手配を進めていたのだという。
でなければあんなに早くシャトルをチャーター出来る筈がないだろう、とアスランは語った。

「じゃあ、早く云えよ、それ」
「聞く耳持たなかっただろ、お前。まあ、俺も大人気なかったけどな…」

玄関に座り込んだまま、そんな話をして。
しかもシンは大事な所をだらんとぶら下げたまま、アスランも軍服の上着こそ羽織っていてもほぼ全裸のままで。
ムードも何もありゃしないけれど。

「だから、お前も今日から此処の住人だ。なのに折角の記念すべき日に、こんな所でする気か?」

くん、とシンの服を引っ張ってアスランは下を見るよう促す。
視線を向ければアスランの其処は若干熱くなり始めていて。
多分口を犯されることや怒りの感情に押し流されてッ興奮したのだろう。
それを見たシンは首をぶんぶんと振って。

「いや!。ちゃんとベッドでしっかり最後までする!。つか、しまくる!」
「………馬鹿」

そして恥ずかしさに今更ながら頬を染めたアスランを、シンは支えて立ち上がった。

「………頼むから、今日はもう暴走しないでくれよ?」
「努力します」
「今日位は………ちゃんと、シテくれ」
「あはは………」

支えられながらシンの方に頬を摺り寄せ珍しく甘えるように呟いたアスランに、シンは自信なさげに苦笑いする。

感じて震えだした脚でふらふらと歩くアスランは、どうせこのままベッドで泣かされるのだからと乱れた服を直す事なく、しなやかな脚を曝け出していて。

シンも慌てて出しっぱなしだった自分をしまいはしても、ファスナーをしめないままで。

そうして階段を上がり、未だ越してきたばかりでベッド以外何もない寝室に向かったのだった。



それから直ぐに求め合い、ベッドの軋む音とアスランの嬌声と。

時折暴走しかけるシンとそれを諫めるアスランの喧嘩する会話もおまけに聞こえてきて。



何はともあれ、ある意味馬鹿くさい程愛し合って暴走しあう二人に幸あれ。
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ボディーブローな恋愛事情 表 01
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/26[ Mon ] 01:20
「………………………」
『………シン、拗ねるな』
「拗ねてません!」
『拗ねてるだろ………』

そんな会話をもうどれ位繰り返しただろう。

シンは頬杖をついてそっぽを向き、ぷぅ、と頬を膨らませていて。
机の上にあるモニターに映されたアスランの顔をちらりとも見ようともしないで。

モニター画面の向こうのアスランは額に手をあて、痛む頭を軽く押さえながらもシンを見つめていて。
時折何度も溜息を洩らしてもいて。

たった今シンは、辿り着いたばかりのオーブに置き去りにされていた。
シンを呼び寄せた張本人のアスランは半ば無理矢理にプラントへと連れられていって。
本当なら出迎えてくれるはずなのに、そう言ってシンをオーブへと誘ったくせに、此処には髪の毛一本彼の気配はなかったのだった。

戦争が終わり、直後の混迷を処理しながらもオーブで過ごしていたアスランに誘われるがままに、ザフトに属したままのシンが除隊許可を得てアスランの居るオーブに移住しようと駆け付けた。

までは良かった。

だがシンがオーブに来ると同時にアスランはプラントの新しい長となったラクスに拉致まがいの召集を請け、すれ違いにプラントへと旅立ってしまっていたのだ。
それを知ったのはシンがオーブに降り立った宙港で。
着いたと連絡する前に宙港内の電光エキシビジョンに『アスラン・ザラ、ラクス・クライン率いる新政ザフト評議会議員に選出』とニュースの一報が流されたのだ。
それを見て唖然としたシンは慌てて近くの公衆電話ならぬ公衆通信回線からプラント行政府受付窓口を通し、必死に何とかしてアスランの元まで連絡を取り付けたのだった。
勿論その際に、除隊時にお世話になったイザークの名を利用させてもらったのだが。

ともかく、そうしてアスランと回線が繋がったのはいいが、彼は既に三度となるザフト軍の軍服を纏っていて。
但し『赤』ではなく『白』の衣を着ていたのだけれど。

『………怒るなよ。シン。仕方ないだろう…急にラクスから要請がきて…正式発表までは誰にも口外できなかったんだから…』

困り果てた顔でアスランが呟いた。

「俺にも話せないって、どういう事ですか!」

予想通りシンが吠えたてる。

漸くシンがモニター越しにアスランを睨み付けた。
怒りで赤い眼が更に色彩を増して鮮やかになっていた。

「大体、ザフト辞めてこっちに来いって云ったのあんたでしょう!。お前はまだ若いんだから軍人なんか辞めて普通の生活しろって!」
『いや、確かにそうだが…しかし、この場合仕方ないだろう…。ラクスには逆らえないしな…』

アスランが狼狽える。
相変わらずな忠犬体質は変わらない。
というよりも何故そこまでラクスを畏怖するのか、シンには判らない。

判らないから。

「俺がお前の面倒見てやるからって、だから一緒に暮らそうって!。プロポーズ擬いな台詞吐いたの、あんたじゃん!」

と、モニターをがしっ、と掴み、壊さんばかりの勢いで絶叫する。
当然宙港内だから周囲に丸聞こえで皆がシンを振り返って。
アスランが、がくり、と座っていた椅子から転げ落ちかけているのがモニターに映る。

『なっ、何っ!。ばっ、おまっ!。誰が何時プロポーズなんかした!』

顔を真っ赤にしながらアスランが叫び返す。
当然向こうにも部下らしき緑の軍人達がいて、皆アスランを凝視していた。

「あんただよ、あんた!。戦争終わって、オーブの慰霊塔で、ルナとメイリンと一緒に居た時!。あんたが云ったんじゃないですか!」
『だからっ!。それは確かに云ったが!。しかし、そんな意味じゃないっ!』
「じゃあ、騙したんですか!。あんた、またあん時みたいに俺を騙して裏切るんだ!」
『違っ、違う!。シンっ、いいから話を聞けっ!』
「だーーーっ!。煩せぇーーーッ!」

とんでもない台詞を連発して痴話喧嘩をし始めたシンに周囲が騒つくのを、アスランは動揺して必死に黙らせようとするも、完全にシンはぶち切れていて。
今目の前にアスラン本人がいたら確実に殴りかかっていただろう。
勿論それでもかわされてカウンターを食らって逆に沈められるのだが。
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Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
ボディーブローな恋愛事情 表 02
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/26[ Mon ] 01:19
「もう、あんたの云う事は信用できねぇっ!。男の純情弄ぶなんて、あんた、鬼だ!。鬼っ、悪魔っ!。鬼畜っ、変態ッ!」

最後の一言は余計だろう。
というより、二人の関係を知らぬ者には全く判らないが、当の本人であるアスランにはダメージがでかかったらしい。

『だっ、誰が変態だっ!。お前の方こそあんな………っ!』

思わず勢いで云いかけてアスランは首まで真っ赤にして口元を抑え黙り込む。
そしてシンにしか聞こえないようなか細い声音でぽしょぽしょと呟いた。

『………あんな、とんでもない格好、させたりして………オヤジくさい』
「悪かったな!。オヤジくさくて!。仕方ないだろ、若いんだから色々試したいの!。つか、アンアン泣いて悦んでたじゃん!」

しかしアスランは墓穴を更に掘り進めてしまったらしい。
シンが逆上して公衆の面前でアスランの痴態をばらしかける。

『わぁーーーッ!。シンーーーッ!』

アスランがモニター越しに絶叫してシンの言葉を遮った。

『判ッ、判ったから!。もう、それ以上喋るな馬鹿野郎!』
「何がっ!。大体あんた、俺の初恋なのに、散々振り回してお預け食らわせて!。しまいには要らなくなったらポイ捨てかよ!。俺ゴミ!?。ゴミ以下!?」

『………………………シン』

シンが思うがままに叫んだ直後、アスランの低い声音が聞こえてくる。
ビクリ、と肩を竦めてアスランを見やれば、完全に彼は怒っていた。

翡翠の眼がやけにギラギラとしていて。
眼が据わっている。

うわぁ、云いすぎたと内心慌てるも、既に遅い。
ここまできたらシンとて簡単には引き下がれない。

「なっ、何ですか………」

しかし口調は勢いを失い、怯えている。

『それ以上何か云いたい事があるなら、直接俺に云いに来い。幾らでも相手してやる』

まるで視線だけで相手を殺しかねないような、本気の殺気をシンにぶつけてアスランが唸る。

「え、え?。それって………?」

言葉の意味にシンがおかしい程動揺して。

『だから、今直ぐこちらに来いと云っているんだ!。それ位判れ、馬鹿野郎!』
「あっ、アスラン?」

手をぶんぶんと振り回してシンが狼狽えるとアスランは更にシンを睨み付ける。

恋人に向ける眼差しではなく、今にも殺さんとする敵のような眼。

『今直ぐチケットの手配をしてやる!。だから真っすぐ俺の所に来い!。判ったな!』

そう叫んで、アスランは一方的に回線をぶち切った。

取り残されたシンは呆然としていて。
暫らくの間、モニターの前に座り込んでいたらしい。

不意に後ろから宙港のスタッフに声を掛けられ、プラント行きのシャトルの準備が出来たと告げられた。
アスランにとって評議会議員就任直後、初の特権利用がプラント行きの専用シャトルを貸し切り、たった一人の少年を己の元に送り届ける事となった。
まさか本当に呼び付けられるとは思いもしなかったシンはアスランがそうされたように半ば拉致まがいに連行され、つい数時間前まで居たプラントまで逆輸送される事になる。
最初こそ混乱していたが、すれ違った怒りと彼に逢える期待でシンも再び活気づいて。
プラントに新しく用意された評議会議員のアスラン・ザラ私邸に送り届けられた頃には痴話喧嘩の戦闘準備は整っていた。

そして久方ぶりの再会は、宙港の通信回線でかわした痴話喧嘩よりヒートアップした肉弾戦となって。
予想どおりアスランの蹴りに一撃で沈められ、しかし何度も食らい慣れたお陰かシンも負けじと沈め返して。
ザフト軍人らしい肉体を使った激しい痴話喧嘩が繰り広げられたらしい。



それでも好き合っているからこそ。



最終的にはアスランがシンに負かされ、散々泣かされたのは云うまでもない。

Category [ SS R15 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
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