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TIGHTROPE
TB[ 0 ]   CM[ 0 ]   Edit   2005/09/20[ Tue ] 00:17
裏の方に「こぼれおちるもの」続編「TIGHTROPE 1~5」をUP致しました。

今回ももっと暗いです、はい。
救いようが…本当にない…。

取り敢えず、一部を除き、表にもかろうじて上げれそうでしたんで1~3及び5のみこちらにもUPしております。4は…濃厚だから(いろんな意味で)裏のみ。
でも4無くても意味通じるかも。

「こぼれおちるもの」も本当は一部表に置きたかったけど、区切りが難しいので断念。


裏パス発行済みの方、本当に今回はきついよー(汗)。色んな意味で鬼畜なシリーズになったなあ、これ…。

でも意外と好評なのは何故…。そんなにアスランさんぼろぼろが好きか(笑)。←それは自分だろう。
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Category [ 時系列(No.02)【TIGHTROPE】 ]
TIGHTROPE (#30~31) 1
TB[ 0 ]   CM[ 0 ]   Edit   2005/09/20[ Tue ] 00:09
死にたいと願う位、辛かった。
何もかも失ったと思う程、絶望していた。

アスランを、今救うものは、何も無かった。






キラにセイバーを墜とされ、シンに身体を蹂躙された現実はアスランの精神を苛んでいた。
シャワールームで泣きじゃくった後惚けたようにベッドへと戻り、でもシンに犯された名残が残ったままの場所で眠りたくなくて、毛布を引きずり落とし床に蹲って寝ていた。

次に眼が覚めた時には肉体の疲労と精神的なショックで発熱しており、怠さに更に身体が動かなくなっていた。

自分でも心がこんなに弱いと思わなかった。
でも今、何かをしようという思いは全く失われ、只茫然としているだけだった。



一体どの位そうしていたのだろうか。

急にドアの向こうから、インターフォン越しに名を呼ばれた。

『アスランさん、アスランさん…』
高い、でも燐とした、声。『アスランさん、大丈夫ですか?』
…ああ、この声は。
ルナマリア、か。
何度も呼び掛けられてアスランは漸く声の主を認識した。そして半ば無意識床に寝転んでいた身体を起こす。
未だ凌辱の跡が残る身体は更に熱を増していて、床で寝ていたせいで節々がひどく痛む。
『アスランさん?』
「………ああ、大丈夫だ」
自分でも不思議な程はっきりとそう答えていた。インターフォンの向こう側からルナマリアの安堵する息が聞こえてくる。
『…良かった。アスランさん、ずっと部屋から出てこないって聞いて…心配していたんです』
「…すまない、もう大丈夫だから」

何処が大丈夫なのか。自虐的に笑みを浮かべる。

そういえば彼女も自分の機体を大破し怪我をしていたはずだ。ふ、と思い出し、そんな彼女にすら同情される己が惨めだった。

『あれからもう二日も食事、取られていないんでしょう?。何か持ってきましょうか?』
「…いや、いい。…もう少ししたら行くから…」
そう答えるとルナマリアが残念そうに頷いて何処かへと立ち去っていく。

彼女の言葉を思い出し、時間の経過を漸く知る。惚けた頭を軽く振ってアスランは無理矢理理性を繕った。確かにずっとこのままでは居られない。皆に不審がられるだけだ。まだ身体は辛いが、それでも何とか立ち上がる。

何一つ身につけていない身体。
何も持たない、全て失った身体。

それでも。今はまだ。
この艦に居る内は『アスラン・ザラ』でいなければならない。
床に投げ捨てられたままの軍服を着て、シンに与えられた傷を隠して。
アスランは漸く部屋を出た。



周囲に悟られぬよう、普通を装って艦内を歩く。
無理をする事は慣れている。身体の傷はやがて癒えるものだ。そう言い聞かせて。
だが実際は歩くのも辛かった。全く慣らさぬままにシンに犯された其処は裂け、擦られ続けたせいで腫れあがっている。多分放置していたせいで化膿し始めているだろう。発熱もそれからきているのかもしれない。
しかし治療など出来る筈もなく。医務室に向かえば全て知られてしまうのは明白だった。艦内という限られた空間で凌辱されるというのは、相手もまた内部の者だと簡単に悟られる。
どんなに辛くともこのままでいるしか、アスランにはすべがなかった。

漸く食堂に辿り着いて中に入ろうとした瞬間、声が聞こえた。


どんな時も傍にいた声。
ひどくひかれた声。
今は聞きたくなかった、声。


「あの人、余り強くないよね」




刹那、目の前が暗くなった。

「シンっ!」
「だって、ルナもそう思わない?。あんな簡単に墜とされて、さ」
「でもそれは相手があの『フリーダム』だったから…」

シンの声。『フリーダム』。


アスランを更に闇へと突き墜とす、モノ。

「しかし、ルナマリア。彼は『フェイス』だ。彼に期待するのは普通だろう」
「レイ…」
「実際この間の戦いでは余り戦果はなかった」
「………」

恐らくパイロット三人が揃っているのだろう。しかし唯一の援護をしていたルナマリアですらレイの言葉に反論を失う。

もう、やめてくれ、とアスランの心が声なき悲鳴をあげる。

「もっとしっかりしてくれないと困るよね、仮にも『フェイス』で俺達の『隊長』なんだからさ」

シンの冷たい言葉。アスランは眼を見開いて、次の瞬間ふらり、と身体のバランスを崩して壁に当たる。
その際におきた物音で中に居た三人がこちらに気付いた。

「………あ、アスラン、さん………」
ルナマリアが驚いて声を掛ける。その向かいに座るレイはいつもの如く顔色ひとつ変えず、シンは………。
「………ああ、生きてたんですか、あんた」
そう云って立ち上がり、アスランへと近づいてきた。アスランは血の気が引いていくのが自分でも判った。
「………シ、ン」
彼がきつい眸を向けながら近づいてくる。


恐い。恐い恐い恐い。

まだ身体はあの時の恐怖を忘れていない。無意識に身体が強ばる。

「アスラン」
目の前に立たれて小さく名を呼ばれた。
柘榴の眼から視線を反らせない。
するとシンの手がアスランの首元を掴み、ぐい、と己の方へと引き寄せた。
「………ッ!?」
「動けたんだ、あんなにしたのに」
小さく、アスランにしか聞こえない声でシンが云った。
「まだ足りなかった?」
目の前で怯えるアスランに、シンはくすり、と笑みを含んだ言葉を吐く。
「………っ、シン………ッ」
驚いたアスランが言葉を失い、辛うじて彼の名を口にした瞬間。
視界が急に遠くなり、がくん、とアスランの身体から力が抜けた。
何とか保っていた精神が、今シンを目の前にして、更にひどい言葉を吐き出されて。
限界を越えたのだった。

「………ぁ」

がくりと倒れこむアスランの身体は前のめりになり、咄嗟に伸びたシンの腕に支えられた。
「アスラン!?」
さすがにシンも驚き、突然倒れた彼の全体重を受けとめ損ねてその場に座り込む。顔を覗き込むと既に意識はなく、薄く開いた唇から浅い吐息を洩らしていた。
「アスランさん!?」
ルナマリアが慌ててアスランに近寄ろうとする。
「ちょっと、シン!。あんた何したの!?」
シンの腕の中でぐったりとしているアスランに手を伸ばそうとした時。


「触るな!!」

シンの怒声が響いた。


「………シ、ン」

「…この人に、触るな…!!」

紅い眸がルナマリアを睨む。
まるで手負いの獣のようなその気迫に彼女が身を退くと、シンは失神したアスランの身体を渾身の力を込めて両手で抱き抱える。
そして恐ろしいまでの形相を浮かべたまま、食堂から彼を連れて立ち去っていった。
後に残されたルナマリアは茫然と立ち尽くし、それを静かに見つめていたレイの眸に何かが宿っていた。
Category [ 時系列(No.02)【TIGHTROPE】 ]
TIGHTROPE (#30~31) 2
TB[ 0 ]   CM[ 0 ]   Edit   2005/09/20[ Tue ] 00:07
やがてアスランの部屋へと辿り着き、シンは気絶した彼を抱えたままで慣れた手つきでドアロックを解除した。
一瞬躊躇したが暗い室内に足を踏み入れ、シンは言葉を失う。


あの時の、ままだ。

二日前、己が彼を、犯した時のまま。

ベッドはシンの放った精液とアスランの流した血で汚れ、ぐちゃぐちゃに乱れたままで。
床には毛布が淋しそうに落ちている。

シャワールームもドアが開いたままになっていた。

一瞬にしてシンは理解する。

あの後、自分が逃げるように立ち去った後、アスランは動けなかったであろう身体で何とかシャワーを浴び、そして汚れたベッドに戻りたくなくて床で蹲っていたのだ、と。

シンの眸がきつく閉じられた。

確かに自分がした事だ。忘れた訳でもない。彼の悲鳴と終わった後の無残な姿が今も頭から離れない。

心配でたまらなかった。あれ以来部屋から出てこない人をずっと想っていた。
しかしそれは許されない事。何故なら落ち込む彼を更に追い詰めたのは…自分だから。

シンは一旦アスランの身体を床におろし、急いでベッドメイキングをした。汚れたシーツを捨て、新しい物へと交換する。整えた後、未だ意識の戻らぬアスランの身体から上着を脱がせてベッドに寝かせ、新しく用意した毛布をかけてやった。
あの時の惨状を消し去るかのように。

アスランはそれでも目覚めない。先程倒れた身体がひどく熱かったのを思い出す。
きっと自分が犯した場所が傷ついて、精神的にも追い詰められた為に発熱したんだと。
以外と弱い事を知っている。
知っていたのに…。

「くそ…っ」

思わず漏れた言葉。ベッドサイドに座り、アスランの顔を見つめる。触れようとして伸ばした手を、直ぐに握り締めて耐えた。

今更権利などない。彼に触れる権利など。

シンはひどく後悔していた。
でも心は後悔とは別の感情が渦巻いているのも確かで。
アスランが好きで。
でも彼の不様な姿に勝手に失望して。
支えてやりたいのに、まだ幼い自分は突き放してしまった。
そして犯して汚して…堕とした。

シンの中で二つの想いが錯綜し続けている。

あれ以来どんな顔で逢えばいいのか悩んでいたのに、ルナ達に同じ戦う者としての失望感を口にしていた。自分でもひどい言葉を吐いていたのは判っているけれど。
アスランに聞かれていたと判っても、一度溢れた感情は止められなくて。更に追い詰めてしまった。

自分を見つめた翡翠の眸が怯え、身体がかたかたと震えていたのに。

また、傷つけた。


「…俺、どうしたいんだろう…」

彼を愛したいのか、傷つけたいのか。

シンの中にある人間としての部分と戦士としての部分がぶつかりあっている。

彼を愛して、彼を汚して。自分は何を望むのか。
シンもまた、闇に囚われていた………。






夢を、見ていた。

『あの人、余り強くないよね』

人は何処まで堕ちる事が出来るんだろうか。
自分はもう、堕ちて堕ちて、堕ち尽くして。
もはや絶望しか残されていない、と思っていたのに。

『もっとしっかりしてくれないと』

まだ、堕ちていく。底へと何処までも、果てない先を目指して。

シンの言葉が更に突き落とす。

『動けたんだ。あんなにしたのに』

這い上がろうとするのを許さぬという、言葉。
誰よりも今大切な彼の人の、言葉。

『まだ足りなかった?』





しかし今。
夢を見ていた。

幸せと感じていた頃のように、彼が、居る。
ベッドに寝かされた自分の横に、彼が肩を落として座っている。

ああ、これは、夢だ。
でなければ彼が此処に居る筈がない。

以前と変わらない姿。
小さくて弱い背中。
守りたい、とそう思った彼。

闇から意識を取り戻したアスランは覚醒しきらないまま、ぼんやりと背中を向けたシンの姿を見つめていた。
これは夢だと、己が望む夢だと。

混濁した意識の中、必死に指を動かして。
彼を求めて手を伸ばした。

こんなにもぼろぼろにされても追い詰められても、心は彼を求めている自分が哀れで。
知らず涙が溢れた。頬を伝って雫は次々と零れ、アスランは静かに泣いた。

漸く指先が、シンの身体に触れそうになる瞬間。
アスランの指から力が抜け、ぱたりとシーツに沈んだ。

シンが縋るようなその指先に気付く事なく。



アスランの意識は再び堕ちていった………。





やがてアスランが目覚めた時、室内は誰も居なかった。

あの時シンに屈辱的な言葉を投げ掛けられて、そのまま気が遠くなったのは覚えている。
誰かが気絶してしまった自分を部屋まで連れてきてくれたのだろう。
しかし、起き上がらぬままに見回した室内が以前と変わらず綺麗にされている事に気付く。

普通なら倒れた自分を医務室へ連れていくだろう。だがそうではなく、真っすぐ自室へ運んだ『誰か』。
汚れたままのシーツを片付け、整えたベッドに寝かせてくれた『誰か』。

アスランは未だ怠い身体を無理に起こし、膝を抱えた。

では、あれは。
夢ではなかった?。

シンが、居た。
確かに、居たのだ。

己の身体の惨状を知っている当人でなければ、隠すように此処には連れては来ないだろう。

ああ、夢ではなかったのだ、と。

「………っ、ぅ…う」

そう実感した途端アスランの眸から涙が溢れた。膝を抱えて顔を埋めるようにして、アスランは泣いた。

「ぅ…っ…、シ、ン………」

夢ではなかった事を嬉しく思いながらも、今此処に彼が居ない事が哀しくて。




アスランは声を殺して、止まらない涙を零し続けた。
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TIGHTROPE (#30~31) 3
TB[ 0 ]   CM[ 0 ]   Edit   2005/09/20[ Tue ] 00:05
数日が過ぎて、ある事件が起きた。

漸くアスランの熱も下がり、まだ身体は辛かったが周囲に心配を掛けたくなくて無理をして通常の任務をこなしていた。シンとはあれ以来顔を合わせていなかった。何処にいってもすれ違ってばかりで、不思議に思ってそれとなくルナマリアに尋ねると医務室に入り浸っていると教えられた。
そういえば、連合のヱクステンデッドの少女がいた、と思い出す。
あの日以来自分の事で精一杯で暫らくその事実を失念していた。だが少しだけシンに逢わない事にほっとする自分が哀しくて。


そんな時だった。
そのシンが、事件を起こしたのだ。

アスランがキラに墜とされる以前に、偶然にも捕獲した『ガイア』のパイロットの少女を、ヱクステンデッドの彼女を連れ去ったと。

自室でパソコンに向かい、破壊された『セイバー』の整備データをチェックしていると、急に司令室から通信が入った。その内容に愕然としたアスランは急いで室内を飛び出した。

通路を走り司令室へと向かう途中で、保安要員に拘束されて連れられていくシンと出会った。

「シ、ン………っ」
「………………………」
何故こんな事をした、とアスランが彼の名を呼んだが、しかし彼は視線を合わせることなくそのまま司令室へと入れられてしまった。
茫然として立ち尽くしたアスランは、中に入る事も出来ずただ其処に居た。

やがてシンは、先に共謀者として営倉に入れられていたレイの隣に押しこめられた。
急遽本国から派遣された保安部の者が何度も彼らを尋問する。
シンと話す時間を探って営倉の入り口でアスランは隠れて張っていた。するとドアが開き、レイが保安部に連れ去られていく姿が見えた。
今しかない。
シンと話すのは、今しかないと。

まだ心は怯えていたけれど、逢いたかった。逢って話したかった。
何故こんな事をしたのか、と。
一瞬の隙をみて、アスランは営倉の中へと忍び込んだ。
その中は非常灯の小さな明かりだけが照らす、薄暗い空間だった。普段使用されていない其処は使用目的が『犯罪者』の収容だった事からも、空気ですら重々しく感じられる。
アスランはゆっくりと足を進めて、ひとつの牢の前で立ち止まる。

シンが、其処に居た。

「………シン」

久しぶりに呼ぶ、その名に一瞬胸が締め付けられた。
しかし、シンは牢の中に備え付けられた簡易ベッドの上で拗ねた幼子のように膝を抱えた姿でじっとしている。
「シン」
もう一度名前を呼ぶが返事はない。しかし声は聞こえているのだろう、呼ぶ度に肩がぴくりと揺れている。
「何故、…あんな事をした?」
一方的に問い掛けた。
「彼女は『敵』なんだぞ…それを再び向こうに引き渡すなど、どういう事になるのか、判るだろう?」
アスランの言葉に漸くシンが眸を向けた。柘榴の色が闇の中で怪しく光っているのを見て、一瞬息を飲む。
「例え本人が望まなくとも、戻せば又…戦いに駆り出される。又、彼女はMSに乗って戦わなくてはいけないだろう…俺達『ザフト』と…」
アスランの言葉はシンに届いているのだろうか。語りかけるごとにシンの眸はまがまがしく光り、きつく睨み付けてくる。

シンが彼女を、『ステラ』を大切にしていたのは知っている。自分に向けられた感情とは別の意味で、彼女を見ていた事も。
多分守れなかった者への悔しさを彼女に投影しているのだろうが、シンはそれに気付いていないだろう。
シンは以前から『守る』という事に固執していた。自らの目の前で大切な者全てを失い、その惨状が焼き付いて、憎しみが生きる糧となってしまった少年。
アスラン自身にも似た経験があるから判る。だからこそひかれた。守ってやりたいと、癒してやりたいと。

「シン…お前は彼女を…」
そこで一度沈黙し、アスランは彼との間を隔てる鉄柵をぎゅ、と握り締める。
ひどい事を云っているのは判っている。しかし、今云わなければ駄目なのだ。
己にその権利があるのか、よくは判らないが、それでもシンに突き付けなければならないから。

「お前は、彼女を、死ぬかもしれない…あの戦場に戻してしまったんだぞ」

言い切った途端、アスランの鉄柵を掴む手が柵の中へと引きずられた。がしゃん、と金属音がして、アスランは柵に身体を打ち付けられる。
「…っ!?」
引きずったのは、シンだった。初めて見る彼の眸は怒りと憎しみに染まり、アスランを激しく睨み付ける。その気迫に、負けそうになった。
「シンっ、離せ!!」
両腕を柵の隙間に引き寄せられ、逃げられない。きつく握り締めるシンの手がアスランの手首に食い込んで、痛みと共に未だ癒えないあの時の心の傷が疼いた。今のシンに、恐怖を感じていた。

「…あんたが、云うのかよ」
シンの絞りだすような、悲痛な声。
「弱くて、不様に負けたあんたが!!。何にも出来ないあんたが!!」
彼の言葉が胸に突き刺さる。
「ステラは…恐いって、泣いてたんだ。死ぬのはイヤって…泣いてたんだ。此処に居てもステラは助からない!、そうだろ!!」

「な、ぜ…それを…」
シンが、知っている?。

その事は艦長と副艦長、医療スタッフと、そして自分しか知らない筈だ。
確かに彼女は此処に居ても助からないだろう。どんな処置をされて強化されたのか現段階では判らなかったし、何よりも本国から連行命令が出ていた。
艦長のタリアは、きっと連れていけば実験材料に使われるだろう彼女の身柄を、議長に直接通信でかけあって、先ずは人権保護と最善の治療を優先させる事を認めさせ、身柄の引き渡しに応じたのだ。
冷静な艦長とて一人の人間だ。一人の少女の安全を心から心配していたのだ。連合に返せば、確実に『人間兵器』として再び戦場に駆り出されるのも判っていたから。
しかし、それはトップシークレットで、彼女を案ずるシンには尚更聞かせられない内容だった。例えあとで知られて、詰られようとも。

それを何故、シンが知っている?。

「レイが教えてくれた。だから俺は…ッ!!」
レイ。何故彼が知り得たのか。今は判らなかったが、だからこそこの事件に共謀したのか。
「お前…それで、彼女が喜ぶとでも?」
「煩いッ!!」

シンの気迫に怯えながらもアスランが問い掛けると、更に手首を握り締められる。

「…っ、痛い…シン、手を離せっ」
またあの時の恐怖が蘇る。

「…あんた、そんな事わざわざ話にきたのかよ…」
「そ、そうだ…。お前が、心配…で」
嘘ではなかった。しかし一度蘇った恐怖は身体を強ばらせるだけで。シンの眸が、ぎらり、と光った。あの時と同じ、光。
アスランは息を飲んだ。

「…シ、ン」
「あんた、よく俺の所に来れたね…もう忘れたの?。あれだけ犯されたのに、さ…」
「シン、やめ…っ。手を離せ…」
怯えて逃げようとするアスランの手をシンは片手で捕らえ直し、器用に自分のベルトを外していく。
「…もしかして、まだ足りない?。もっとひどくされたかった?」
柵から伸びたアスランの両手をベルトで縛り、今度は彼のスラックスからベルトを外す。
「シン、シンっ!」
余りの恐怖にアスランは軽く錯乱した。シンの眸は、本気だった。本気で、自分を憎んでいる。
柵に阻まれて縛られた腕は全く抜けず、逃げるすべを失ったアスランのスラックスをアンダーごと引き下ろした。後ろへあとずさろうとする片足も鉄柵に縛り上げられ、自由になるのは縛られていないもう片方の足と首だけだった。

「シン、シン…っ、止めてくれ…!!」
「この間は俺ばかり楽しませて貰ったから、今日はあんたをイカせてやるよ」
そう云いながらシンが鉄柵越しに跪き、アスランの腰を捕らえて柵に押しつける。怯えて萎え切ったアスランのモノが上着の隙間から出され、柵の間からシンへと突き出す形になる。
「レイは暫らく戻ってこないから…また気絶するまで、イカせてやる」
シンの指が、ソレに這わされる。

「………ッ、ひ…、シン…や、め………っ」
完全に恐怖に囚われたアスランの眸は涙が滲み、声は擦れていた。

しかし、アスランの哀願は聞き入れられずに。

再び、愛しい人からの凌辱が、始まった………。
Category [ 時系列(No.02)【TIGHTROPE】 ]
TIGHTROPE (#30~31) 5
TB[ 0 ]   CM[ 0 ]   Edit   2005/09/20[ Tue ] 00:03
「…ああ、そろそろレイが戻ってくるよ」
床にぺたりと座り込んだまま惚けているアスランに、シンが己の軍服を整えながらあっさりと言い放つ。
「…っ」
「早く戻らないと、見つかるんじゃない?」
彼の言葉にアスランの思考が急激にクリアになり、漸く現状を理解する。

まずい。本来ならば此処には居てはいけないのだ。早く立ち去らねばいけない。

しかしイカされ続けた身体は既に体力を失い、脚ががくがくと震えて思うように動かなかった。

「…っく、ぅ…」
それでも残された僅かの気力を掻き集めて、アスランは鉄格子を掴む。
「そうだ、戻る前にソコ、綺麗にしていってくれない?」
シンが睨んだまま指差した場所は、アスランが先程まで責められていた所で。零れてしまった、どちらのものか判らぬ唾液や精液の残液が点々と飛び散っていた。

つまりは自分で拭いていけ、という事だった。

悔しくて、でもシンの云うとおりにしなければばれてしまうのは明白で。しかし拭く物などなく、アスランは自らの上着の裾で床を拭いた。

惨めだった。もう、シンの顔を見る事も出来なかった。


ずる、と鉄格子に縋りながら立ち上がると、アスランは言葉もなくシンの居る牢に背を向けた。


「さよなら、アスラン」

シンの冷たい、声が突き刺さる。

でも何も云えず何も見ずに、アスランは震える脚を引きずるようにして、壁伝いに歩くと、薄暗い営倉から立ち去った。




一人残されたシンは彼がドアの向こうに消えるまでずっと、彼の後ろ姿を睨み付けていた。
その眸にはかつて愛しい者を見る眼差しは、今はなかった。あるのは、怒り、憎しみ。

悔しかった。
アスランが云った事は事実だと、シンも頭のどこかでは判っている。しかしそれでも納得できる程シンは狡い大人ではないし、この憤りは抑えつけられなかった。

確かに自分がした事は間違っているのかもしれない。でも弱り死に逝こうとするステラを放ってはおけなかった。

それでも。アスランならば判ってくれるのではないかと。自分の気持ちを理解してくれるのではないかと。
何故自分でもそう思うのか判らないけれど、信頼を寄せていた。

しかしアスランは違っていた。全く判ってくれなかった。
一方的に信頼し、そして裏切られた事は知っている。だがそれを理解できる程シンの心は安定していない。

だから、あの瞬間怒りが抑えられなかった。
愛情などかけらもなかった。
彼に対してしてしまった事への罪悪感も今はない。

あるのは怒りと憎しみと。

そして、哀しみ。



だから、さよなら、と云った。

自分の中で存在していた彼への羨望と恋慕に。
彼の姿をじっと見つめて。これが最後になるかもしれない、愛しいと感じていた、しかしこれからはそう思えないかもしれない、彼の姿を。
睨み付けるように、柘榴の眸に焼き付けて。

さよなら、と云った。


シンの幼い信望を、アスランは気付かずに裏切ったのだと。

薄暗闇の中で、シンは一筋の涙を零していた………。







あれからどうやって自室に戻ったのか、記憶が曖昧だった。

ぼろぼろの身体を引きずるように通路を進み、時折吐き気に襲われた事はうっすらと覚えている。
途中誰にも会わなかったのは幸運としか言い様がない。

痺れた指でパネルを操作しドアロックを開けて中に入った途端、急激な吐き気をもよおし、アスランはそれをなんとか抑えてシャワールームへと向かった。
バスタブにしがみつくようにして床に崩れ落ち、そのまま蹲って胃の中の物を吐き出した。

しかし以前シンに犯された時から殆どまともに食べていないアスランの胃には何もなく、吐き出せた物は先程の凌辱で飲まされた己の精液だけだった。
それを見て更に吐く。
全てを吐いて胃の中が空になった時には、深紅の軍服は胃液と精液で汚れきっていた。

ザフト兵の羨望の証である、赤服。
それを今己で汚している。しかも議長直々に選ばれたフェイスの証までつけた赤服を。

「………は、はは………」
もう、涙も枯れて出ない。
余りにも惨めだった。
本気で死にたいと、消えてしまいたいと、考える。
しかしそれすら出来ない自分が惨め過ぎた。

「はは………」

乾いた笑いが込み上げる。
汚れたままの姿で、アスランはよろ、と立ち上がり、シャワールームを出る。
そしてそのままで床に倒れこんだ。

今の自分には、受けとめてくれる床板ですら勿体ないと思えた。


『さよなら、アスラン』

シンの最後の言葉が不意に甦る。
無造作に投げ出された四肢。床に押しつけた頬がやけに冷たかった。

『さよなら、アスラン』

「………ああ、シン………」

ぽつりと呟くその眼は虚ろで。
完全に、闇を見つめていた。

既にもう、絶望すら、ない。
何も、ないんだ。自分には。



『さよなら、アスラン』

何度も繰り返される記憶。


「………ああ、シン………さよなら………」



アスランは意識が遠退きながらも、それだけを、呟いていた………。
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