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管理人ひさこによるガンダムSEED DESTINY及び蒼穹のファフナーのファンサイトブログです。オフィシャル等とは一切関連はございません。
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太陽 06(#43)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/12[ Mon ] 23:24
フェイズシフトダウンし、ボティカラーを灰色に変えた『ジャスティス』を『フリーダム』が抱えるようにしながらAAへと帰投した。
担ぎながら格納庫に『ジャスティス』を収め、自らも機体を収容すると、キラがコクピットから急くように飛び出した。
自力で戻ってくるものだと思っていた整備クルー達も『ジャスティス』が担ぎ込まれながら帰投した事に驚きを隠せないでいて。
収容された今も、中のパイロットが自ら姿を現す気配がない事に焦りだす。
「お、おい!。大丈夫なのか!?」
整備班のチーフ的存在のマードックが『フリーダム』のコクピットからラダーで滑り降りてくるキラを見上げて叫ぶと、まだ地面には届かないのにキラが宙を飛んで着地する。
「判りません!。でも落下の直前まではモニターも生きてましたから!」
しかしその直後内部の様子が判らなくなったのだ、とキラは一息に語り、『ジャスティス』の機体へと駆け出した。
『ジャスティス』のパイロット、アスランは瀕死の状態から漸く目覚めたに近い、と。
未だ重傷で本来ならばMSに乗り込み出撃するなど無理な話だ、と皆が知っている。
俄かに騒然となる格納庫にブリッジで様子を伺っていたメイリンも駆け付けてきた。

「アスラン!」
リフトに登り、キラが『ジャスティス』のコクピットへと向かう。
外部から操作しコクピットを開放して。

「ア、ス…ラ…」

パイロットの名を呼ぼうとしたが、視界に飛び込んできた彼の姿に言葉を失った。

シートに身を沈め、完全に力を失っている身体。

血にまみれた、顔。
閉じられたままの、眸。

「ア、アスラン!」
キラが動揺しながらも中に侵入し、シートに座ったままで気絶しているアスランに近寄った。
ヘルメットに覆われているが、微かに息をしているのが見て取れた。
生きている、と安堵し、キラはゆっくりとアスランからヘルメットを脱がせていく。
其処から現われたアスランの顔は半分を鮮血で濡らし、まるで血の涙を流しているようにも見えて、キラは眉をひそめた。
そして未だ目覚めないアスランの身体を衝撃を与えないようにと静かに抱き上げて。

「アスラン………」
小さく、名を呟きながら。コクピットから抜け出した。

「………っ、う………」

刹那、アスランが微かに呻く。
重傷を負ったままの身体を動かされた為か、ぴくん、と頬を痙攣させて無意識ながらに痛みに顔をしかめる。
「アスラン………大丈夫?」
ゆっくりとリフトに乗り移りながらキラが腕に抱きかかえたアスランを見つめれば、うっすらとアスランの目蓋が開かれた。

額から流れた血によって視界は赤く映り、失血の所為で霞んでいるようだった。
今誰が自分を抱きかかえているのかすら判らない。
しかしアスランは確かに誰かが自分を支えてくれている事に気付いて。

まるで夢の世界に居るかのように。
ぼんやりと。

「………シ、………ン………………」

そう、弱々しい声音で、名を呼んだ。

覗き込んでくる『誰か』に対し、シン、と。

確かにそう呼んだのだった。

シン、と呼ばれてしまった、キラは呆然として。

「アスラン…。君…っ」

長い時間を共に過ごしてきたキラを誰かと間違える程に、『シン』に心を奪われたアスランが、弱々しく見えて。

哀しく思えて。
一瞬喉を詰まらせた。

降下するリフトは直ぐに地面へと辿り着く。
リフトから下りたキラはアスランの身体を床に横たわらせた。
心配して集まってきたメイリンや整備クルー達が血に塗れたアスランの青ざめた顔を見て皆息を飲む。
戦闘中のパイロットの身体を保護する為に作られたスーツは肌に密着する物が多い。
恐らく流血した頭部だけでなく他の部位も痛めた筈だ。
そんな状態ではスーツが身体を締め付ける。
床にぐったりと四肢を投げ出したまま、アスランは浅い呼吸を繰り返すだけで。
キラがパイロットスーツの襟元を外し、胸部の怪我に響かぬよう静かに其処を締め付けから開放した。

「………っ!」
「…っ、きゃ…ッ!」

周囲から息を飲む音や小さな悲鳴が一斉にあがった。
キラも、スーツの下から露呈したアスランの胸元から思わず眼を逸らしてしまった。

それ程、ひどかった。

額から流れた血が首を伝い肩口までも真っ赤に染め上げていて。
胸部は、中に着ていた薄いシャツの色が判らなくなる程。

赤く、赤く。
大量の血を吸い上げていて。

「…っ、アスラン…ッ!」

予想以上の有様に、辛そうにキラが、名を呼ぶ。

すると、ぴくり、とアスランの目蓋が反応を示して。

ぼんやりと、キラを、見つめて。
不思議そうに、キラを、見つめて。

「………キ、………ラ…?」

今度は、キラを、『キラ』だと。

確かに認識したけれど。

キラが此処に居る現実を、不思議そうな眸で、見つめていて。

そして、再び翡翠の眸を目蓋の下に隠して。

意識を手放した。

「…ッ!?。医療班に連絡を!、誰か、ストレッチャーを!。早く!!」

キラが必死な形相で叫んだ。
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Category [ 時系列(No.07)【太陽】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
太陽 07(#43)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/12[ Mon ] 23:22
駆け付けた医療スタッフにアスランはストレッチャーに乗せられ、そのまま集中治療室へと搬送されていく。
後を追うメイリンは半ば泣きじゃくっていて。
慣れない艦で一人にされる不安に、唯一知る存在のアスランが再び死にかけていて、恐くて、恐くて。
不安と焦燥にかられたまま走っていった。
整備クルー達は騒然としつつも機体の損傷チェックや整備の任務に戻っていく。

その中でキラは、一人立ち竦んでいて。
アスランが消えていった方角を、じっと見据えていた

想いは、判る。
大切なものを、大切な人を、守りたい気持ちも、判る。

けれど、どうして。
そこまで自分を追い詰めるのだろう。
そして、長い時を過ごした自分を無意識下で間違えるなんて。

今のアスランは何故か初めて会った人のような気すらして、キラは彼に対し違和感を感じ、立ち竦んでいた。



前方を飛行するレイの機体を追い掛けながら、シンは『デスティニー』のコクピットでぼんやりと先程までの現実を巡らせていた。

アスランが、生きていた。
生きて、目の前に現われた。

あの時、確かに彼を沈めた。

アロンダイトで貫き撃墜して、暗い海の底へと沈めた。

死んだと、殺したと。

愛しい人を殺してしまったのだと、ずっとそう思っていた。

議長に逆らい脱した彼を間違っていると思う。

でも、好きだと想う気持ちは今もある。

だからずっと、あの時の決断は正しかったのだとレイに云われ、周囲にも云われ、自分にも無理矢理言い聞かせて。

それでもずっと、後悔していた。
辛くて、哀しくて、淋しくて。

なのに、彼は、アスランは。
生きていた。生きていてくれた。


けれど、『敵』だった。


再び逢えたのに、『仲間』でもなく、『恋人』でもなく、『敵』として。
深紅のMSに乗り込み、銃を構え、剣を抜いて、シンの前に立ち塞がる。
『正義』の名のもとに、全てを焼き尽くす太陽のように、赤い『敵』として。
目の前に現われた。

「………っ、ふ」
小さい嗚咽がシンの唇から漏れ出た。
目頭が熱くなる。

アスランは、もう。
隣に、居ない。
生きていても、再会できても。
隣に、いてくれない。

互いに抱き締めあった手でMSを操り、武器を掲げ、互いを狙う。

こんな哀しい結末を迎えるなんて思いもしなかった。

「ぅ………っ。ぁ、あ………」
嗚咽は更に漏れていく。
ぼろぼろ、と。涙が溢れて止まらない。

悲しい。哀しい。



やがてミネルバに帰投したシンは軍服に着替えもせず、自室へと戻った。
呆然としているシンを心配したルナマリアが追い掛けて部屋を訪れるも、シンはベッドの上で蹲っていた。

「………シン」

ルナマリアがシンの傍に近寄り、ベッドの傍で床に膝をついて座る。
恐る恐る手を伸ばしてシンの髪に触れると、弾かれたかのようにシンが顔をあげて。

「………っ、ルナァ………ッ」

途端に顔をくしゃくしゃに歪めて、泣きだした。

まるで子供のように、声をあげて泣きじゃくる。
ルナマリアの柔らかい身体に抱きついて。
引きずられるようにルナマリアの身体がベッドにあがる。

「………シン。シン………」
「っ、ふ、…っう、うぅ…っ。うーッ」

ベッドの上で横たわり、互いの身体を抱き締めあって。
シンはルナマリアの胸元に顔を埋めて泣き続けた。

悲しくて、哀しくて。

でも。

生きていてくれて、嬉しいと思う自分が、確かにいる。
もう仲間ではないけれど、次に逢うときも敵として戦わねばならないけれど。

それでも。
生きている。
アスランが生きている。
たったそれだけが嬉しくて。

大きな悲しみに押し潰されそうな程、小さな喜びだったけれど。

優しく抱き締めてくれるルナマリアに甘えて、泣き疲れて眠るまで。

シンは泣き続けた。



まだ脳裏には青い空と、青い海と。
太陽のような、赤いMSの姿が焼きついている。
アスランの言葉が、想いが、シンを焼き尽くすかのようで。

青と赤の世界がシンを今も包んでいた。
Category [ 時系列(No.07)【太陽】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
太陽 02(#43)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/11[ Sun ] 23:12
AAのカタパルトから射出された『ジャスティス』は大空を旋回しながら周囲を見て、直に戦場の過酷さを感じ取る。

しかし、今は。

直ぐ傍で戦っているMSではなく、砲撃をしあう艦隊でもなく。

『デスティニー』を。
シン、を。

探して、接近して、話して、そして。

レーダーに表示された敵のポイント群の中にひとつの点を見つける。

『フリーダム』。
キラ。

そしてキラと対峙している、二つの機体。

恐らくそれが、シンと、もうひとつはレイ辺りだろうか。

とにかく、急がねば。
早く、早く。

そしてアスランはレバーを操作してバーニアを全開にし、一気に『ジャスティス』を急発進させた。

痛みはもう感じない。
のしかかるGも、身体にくる負担も。

ただ、シンに、会う事。

それだけを、思って。



やがて接近したポイントでアスランはその光景を目にし、愕然とした。
当然の如く新しい機体に乗り込んだシンとレイの『デスティニー』と『レジェンド』が同時にキラの『フリーダム』を襲撃していて。
必死にかわし続けている『フリーダム』も次第に押されていた。
『レジェンド』がドラグーンを放ち、その影で『デスティニー』が対艦砲を構えて。

照準を『フリーダム』に合わせた瞬間。

アスランの中で悪夢が蘇る。

シンがキラを討ち落とした瞬間。

あの時はミネルバで見ているだけだった。

しかし、今なら。
止められる。

自分の手で、身体で、言葉で。
シンを、止められる。

半ば無意識に緊急チャンネルを開き、回線が繋がった『デスティニー』へと叫んだ。

「やめろーッ!」

叫びながら距離を縮め、『デスティニー』へ急接近する。

モニターに映し出されたシンの顔が驚愕と動揺に支配されていて。
死んだ筈の、殺した筈の人間を、アスランを、見て。
一瞬『デスティニー』の動きが止まる。

「やめろ、シンーッ!!」

また、アスランは叫んで。
急接近と絶叫により胸部がひどく痛みを発したのにも気付かずに。

腕部のシールドを相手に向け投げ飛ばしながら、自らも弾丸の如く飛び掛かる。
突然投げ付けられたシールドを混乱状態のまま弾いた『デスティニー』の対艦砲の射程距離に無理矢理割り込み、『ジャスティス』が宙を漂う『デスティニー』へとMSの身体ごと体当たりを仕掛け、激突した。

「うわぁぁーッ!」
「………ッ、ぐぁッ!」

互いに弾かれて、後退する。

突然現われた新しい、だが先の大戦でよく知られた機体『ジャスティス』。
その出現にレイが驚きを顕にした。
「アスラン!?、まさか!!」
キラも、確かにラクスに機体を委ねたけれど、こんなに早く彼が出撃してくると思わなくて。
「………アスラン、君!?」
彼の想いの深さを改めて知らされた。

「………っ、ぁ………」

シンが柘榴の眸を大きく見開いて、モニターに映るパイロットスーツを纏うアスランの姿と、目の前に現われた『ジャスティス』の機体に驚愕している。

どちらも空を滞空しながら。
互いの機体を向き合わせたまま。

『敵』として、対峙した瞬間。

「…っ、ぐ…っ。…シン…ッ!。やめるんだ、シン!」
痛みに顔をしかめながらも、モニター側のアスランがシンを真っ正面から見据え叫ぶ。
刹那シンの脳裏にあの時の記憶が鮮明に蘇る。

先へ、先へと、突き進むグフを追い詰め、そして。
レイの言葉とアスランへの想いが全てを狂わせ、歪ませて。
自ら剣を取り、彼を、刺し貫いた、あの記憶。

フラッシュバックする。

太陽に照らされ紅く輝く『ジャスティス』。

それに今、確かに彼が。
アスランが、生きて、其処にいる。

「…う、そ………。あんた、生き、て、た………」

呆然とシンが呟く。

その顔には先程までの険しい『戦士』としての眼差しはなく、まるで恐いものに怯えるような、あどけない『少年』の表情があった。
シンをモニター越しに見つめたアスランの胸に熱いものが込み上げてくるも、今は時間がないのだと理性が必死に食い止める。

「…っ、もう、やめろ…ッ!。お前、今…何を討とうとしているのか、自分の手で何を壊そうとしているのか!。判っているのか!、シンッ!!」

頬に張りついたガーゼ、長い前髪から覗く包帯、明らかに青ざめた顔色、痩せてこけた頬。
苦しげな息と共に吐き出す声音。

痛々しいけれど、確かにアスランだった。

どんな姿になっても見間違う訳はないけれど。
でもあの爆発で生きていたなんて。
どうしても信じられずにシンは混乱を深めていく。
彼が生きていた喜びも、しかし今戦いを挑まれた悲しみも。

あるのはただ戸惑い。

彼がいること、彼と戦うこと。

呆然としているシンにアスランは尚も言葉を投げ掛ける。

「お前が育った国を、オーブを!。オーブの民であるお前が!。その手で壊そうとするのか!?」

本当は、違う。
もっと、話したい。
ちゃんと、己の意志を、想いを、決断を、話したい。

だが状況はアスランの願いを許さぬように、ひたすら残酷に追い詰めていくだけで。
僅かな時間を、戦いながらも叫ぶしかない時間を、許し与えただけだった。

せっかく逢えたのに。
またこうして、お前と出逢えたのに。
シン、お前に生きて逢えたのに。

緊迫した時間の中で、アスランは己の私情を封じるしかなくて。

悲しいのに、嬉しいのに。今もまだ、愛しいのに。

「オーブを討たれ、悲しみで全てを憎んで!。もう何もなくしたくないと、戦う事を決めたお前が!。何故今オーブを討たねばならないんだ!。シンーッ!!」




アスランの絶叫が、悲しく互いのコクピットに響いて。

消えた。
Category [ 時系列(No.07)【太陽】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
太陽 03(#43)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/11[ Sun ] 23:10
それは、ほんの僅かの時間だった。

戦い合う機体の間に割り込み、砲撃を食い止め、やめろと叫ぶ。

たったそれだけなのに。

互いの顔をモニター越しに見つめ合いながら、シンもアスランも、ひどく長いことのように思えていた。



「争いをなくしたいと!。そう、誰よりも強く思うお前が!。何故今オーブを討つ!?」

アスランの叫びにも似た問い掛けがシンの心を揺さ振る。

何も云えない。云い返せない。
思考が完全に停止して、戦う気力も削がれて。
ただアスランの言葉に、声に、姿に、流されていく。

「争いをなくす為に戦争を仕掛けた『ロゴス』を討つ。確かにその理屈は判る!。だが何故向けた刄がオーブを討つんだ!?」
「…っ、な、に!?」
「オーブは『ロゴス』だといつ誰が決めた!。話を聞かないから討つのか!。従わないから討つのか!」

アスランの言葉は更にシンを追い詰める。

判っている。彼は自分を死んだと。
殺したんだと、ずっとそう思って。
しかし今自分は彼の前に現われた。
だから混乱して、動揺して。

今もモニターの向こうで苦しげな表情でアスランを見つめ返している。
時折何かを云おうとして、しかし声にならなくて。あがいて苦しんで。
泣きそうなカオまでして。
そんなシンを更に追い詰めていくだけだと判っている。

でも、だからこそ。
今でなければならないのだ。
シンがオーブを討つ前に。
後に後悔しない為に。
今、シンを、止める。

「それでは『侵略』と変わらない!。違うか、シンッ!!」

アスランの想いが、言葉となってシンに襲い掛かる。
投げ掛けられた言葉にシンは必死に首を振る。

「………っ、違、う………っ!」
「お前が願った事は逆らう者を力で捻じ伏せ、従わせる事なのか!」
「…っ、違、違う…っ!。違うーッ!」

シンがぶるぶると身体を震わせて叫ぶ。
シートに蹲るように、アスランから眼を逸らして。

違う。そんな事、望んでいない。誰かが誰かを支配する。そんな世界、望んでなんかいない。

望んだのは、平和な世界。笑って退屈で大切な時間を過ごす世界。

かつてオーブに居た時のような。

そうして、シンは、はっ、と気付く。

自分が守りたいと願ったもの。
それはオーブに居た時のような時間を取り戻すこと。
それはつまり、今でもこの国を、オーブを、大切なものとして認識し続けていた事実。

以前アスランに問われた言葉を不意に思い出す。

君は本当はオーブが好きだったんじゃないか?

あの時は無性に腹が立って否定したけれど。
でも本当は、心の深層で、好きだったと。
そう思い続けていたのだ。
ずっと、ずっと。

「お前が本当に欲しかったもの。それは何だ!?。思い出せ、シンっ!。お前は、何が欲しかったんだーッ!!」

アスランがモニターの向こうで叫ぶ。
何故か泣きそうな顔をして、必死にシンに向かって叫び続けて。

判ってくれ、と。

しかしシンには彼の言葉は重くのしかかるだけで。

「………ぁ、あ、あぁ………」
「………シン」

突然アスランの声音が変化した。
その異変に震えながらも顔を上げ、シンはアスランを見た。

「シン………頼む、思い出して、くれ………っ」

アスランは、泣いていた。

否、涙こそ流してはいなかったけれど。
泣いているように見えた。

「お前に、オーブを………討って、欲しくない………」
「ア、スラ、ン」

先程までの頭ごなしに叱るような口調ではなく、泣き縋るような、声音。
シンの中でどす黒く渦巻いていた何かが白く染まるような。

しかし。

刹那、二人の間に何かの声が割り込んできた。

「いい加減黙れ!。この、死にぞこないが!」

レイの声だった。

『ジャスティス』が加わってからアスランの心情を察したのか『フリーダム』が『レジェンド』を引き付けるように射撃し、彼等に話す時間を与えていたのだ。
だが急に防御から攻撃に転じた『フリーダム』を振り切って、『レジェンド』が空中で停滞していた二人の機体に急接近してきたのだった。

「シン!。惑わされるな!。俺達を、ザフトを、裏切った奴の言葉に惑わされるなーッ!」

レイの叫びがシンを揺らす。

『レジェンド』のビームライフルが『ジャスティス』を狙い撃ちする。咄嗟にそれをかわせば、『デスティニー』から引き離された。
しかし今度は『ジャスティス』が威嚇で撃ち返し、『フリーダム』までもが友を庇うように前に飛び出し、『レジェンド』に迫り来る。

「………っ、レイーッ!」

仲間の危機にシンが漸く我に返った。
急いでビームライフルを構えながらレイの元へ駆け付けようとした時。

「シンッ!」
「…っ、くそっ!」

『ジャスティス』が『デスティニー』の進路を塞ぐように前に躍り出た。
指をかけたトリガーは止める事もなく、『ジャスティス』に向けて発射された。
だが撃たれた事にモニターの向こうのアスランは動じていなかった。

覚悟は出来ている、と。
シンと戦う覚悟は出来ているのだ、と。
そう告げるかのように。

「何でっ、何でだよッ!」
「シンッ!?」
「何でそんな事今更…っ!」

シンが叫ぶ。

判ってる。
オーブを討つと決意したのは自分だ。
だから判っているつもりだった。
なのに何故今。

どんなに苦しんで決めたか知らないくせに。
信じたいと縋る想いをまた裏切られたのに。
まだ、あの時の、家族を失った時の光景が、消えないのに。

苦しんで、あがいて、そして身を裂かれるような思いで決断したのに。

またオーブが道を誤るというなら、今度こそそれを自らの手で正してやるのだと。
そう決めたのに。

なのに彼はそれを止める。
彼の言葉が判らない訳じゃない。
何を討とうとしているか判っている。
けれど、自分の想いを知っていて、何故。

オーブの民である自分がオーブを討とうとし、プラントの民である彼がオーブを守ろうとするのだろうか。

「オーブを討つな、シン!。お前が討っては駄目だ!」

またアスランが叫ぶ。

もう言葉は届かないのだろうか。
そんな絶望にも似た想いにかられながらも。

しかしそのアスランの叫びは、シンの心を熱くして。




一気に沸き上がる怒りの炎が、シンの眼を更に赤く染めた。
Category [ 時系列(No.07)【太陽】 ]
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太陽 04(#43)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/11[ Sun ] 23:08
ビームライフルを構え、何度も『レジェンド』を救う為に先に行こうとする『デスティニー』を、『ジャスティス』は行かせまいと、ビームサーベルを抜き出して挑んでくる。

完全に憤怒に支配されたシンはコクピットの中で絶叫した。

「煩い、煩いーッ!」
「シン…っ!?」
「あんた、何も判っていないくせにーッ!」

そして『デスティニー』が長大な剣、アロンダイトを抜いた。

かつてこれで、グフを、アスランを、刺し貫き、討ち落とした剣。

それを今また、彼に向けて。

モニターに映るアスランの、包帯が巻かれた額から一筋の血が流れ落ちた事にも気付かずに。

「うおぉぉぉーッ!」
「…っ、シンーッ」

叫びと共に『デスティニー』がアロンダイトを振りかざし『ジャスティス』に切り掛かった。
『ジャスティス』も腕部のシールドをビームフィールド全開に出力し、逃げる事なく刄を受けとめる。

ぎりぎりと刄と盾が激しくぶつかり合う。

「何にも判ってないくせにっ!。裏切ったくせにーッ!」
「………っ!」

確かに、そう思われても仕方がない。
そういう風にミネルバを捨ててきたのだ。
一人取り残されたシンが何を思い、考えてきたのか判らない。
アスランは何も言い返せなかった。


そして互いに押し合う力に弾かれるように後退した瞬間、とうとう二人は本気で戦う事となる。


『デスティニー』がビームブーメランを投げ付けた。
左右から同時に迫り来る光の刃を『ジャスティス』は確実に見切り、シールドで一つを払い落とし、もう一つを脚で蹴り上げた。
深紅の機体が、ひらり、と鮮やかに宙を舞う。

「…っ、くそぉッ!」

こんなにも軽がると避けられるだなんて。

強いと知っていた。だから憧れた。
いつか超えたい、彼に認められたいと、秘かに願っていた。

だけど艦に合流してからの彼は弱さばかり目について。『フリーダム』に無様に撃墜された。
代わりに自分は強くなり、軍にも、議長にも認められて。『フリーダム』も落とした。

超えたとは思わなくとも、近付けたと思った。

なのに今目の前に立ちはだかるアスランは、シンを凌駕する力を見せ付ける。

悔しい。悔しい。

そう思う気持ちがシンの怒りを更に増幅させていく。
続け様にまた剣で切り掛かるもかわしながら体勢を直し、ビームサーベルで正面から受けとめられる。

「…っぐ!。ぅ…っ、シン、シンッ!」

機体を襲う衝撃にアスランが呻きながらもシンの名を呼ぶ。

額を流れる血が増えていく。

機体と同じ、深紅の血。

「畜生…っ、畜生ーッ!」

アスランの流す血が、シンを麻痺させていく。

頭の中で今までの記憶が瞬時に蘇る。

アスランに云われた言葉。
ステラに云われた言葉。
レイに、議長に、云われた言葉。

どれも今のシンを冷静にさせず、感情を昂ぶらせていくだけで。

「くっ、そぉ---ッ!!」

シンが絶叫した。

刹那、自分の中で、何かが。


ぱん、と。

弾けた。


一気に視覚がクリアになり、全ての神経が研ぎ澄まされる。

途端に動きを変えた『デスティニー』の変化にアスランが気付く。
互いの刄が押し返し続けるのを『デスティニー』が急に力を強め『ジャスティス』を弾き返したのだ。
一旦空を後退し、しかし次の瞬間背中の翼部が放つ光を増し、『デスティニー』が加速して接近してきた。

アロンダイトを振りかざし、今度こそと。
あの深紅の機体を、討つのだと。

「………っ、シン………ッ!」

シンは本気で切り掛かろうとしている。

『フリーダム』を討った時のように、まるで鬼神の如く憤怒に支配された攻撃。

アスランの中で何かが目覚める。

本気か、シン。
本気で、俺を、オーブを、世界を、討つのか。

心の奥で繰り返す。

ならば。
決めざるをえない。

彼に対し、自分が出来る事。
シンに、せねばならない事。

アスランは、決断し。


そして。

覚醒を、果たす。


突進してくる『デスティニー』に『ジャスティス』が一気に加速してくる。
互いに刄を向けて。シンはアスランを、アスランはシンを。
手にした刄で、斬った。

否、そう、シンは思った。
そうして空で交差しすれ違った瞬間。

『デスティニー』の腕が間接部から切り落とされ、無残に落下していく。

「………っ!?」

シンは驚愕し、モニターに映し出された己の機体の異常部位を信じられない思いで見つめた。
たった一瞬。
攻撃はこちらの方が仕掛けるのは早かった。
あの状況で、どうして。
背後にいる『ジャスティス』はどこも損傷しておらず、無傷のままだった。
ではこちらの斬撃を瞬時にかわし、そうして突進しながら抜いたビームサーベルで剣を握る腕を切り落としたという事か。

「………シン」

驚愕しているシンをモニター画面のアスランが切なげに見つめていた。
シンも呆然となりながらもアスランを見つめ返す。

今の攻撃で、完全にシンの戦意は喪失され、決着はついた。



たった一撃で、シンはアスランに破れる事となった。
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太陽 05(#43)
TB[ - ]  CM[ 1 ]   Edit   2005/12/11[ Sun ] 23:07
「………ぅ、あ、あ………」

シンが小さく呻きながら顔をしかめた。

まるで今にも泣きだしそうな、カオ。

アスランもそれを辛い思いで見つめる。
視界が赤く染まっている気がしたが、まだアスランは額を流れる血に気付いていなかった。

「………シン?」

動きを止めた『デスティニー』を『ジャスティス』が悲しく見つめて。

アスランが優しい声音でシンを呼んだ。
ぴくん、とシンの身体が反応して。
呆然としていた眸に僅かに光が戻る。

「シン………」

また、呼んだ。

シンはモニター越しにアスランを見つめて。

生身ではない再会。
機体越しの再会。
こんな形でしか果たせなかった再会。

『敵』となってしまった、瞬間。

画面に映るアスランは、傷だらけな上に血まで流したひどい有様で。

でも、アスランは。

ふわ、と微笑って。

前と何も変わらない微笑みをシンに見せて。

ああ、好きだ。好きだったんだ。
彼が、アスランが。
大好き、だったんだ、と。
改めてその想いをシンに知らしめて。

「ア、ス、ラン………」

好き、だ。

たったそれだけの言葉が、云えなかった。
今となっては重すぎて、遠すぎて。

「シン」

アスランの唇が、静かに動いて。

開かれた緊急チャンネル。
誰に見られても、聞かれても、いいように、と。

声もなく、何かを、呟く。


「     」


「………………っ!」

シンが、眼を見開いた。

聞こえなくとも、言葉が、通じた。



そして。

青い空に、休戦を呼び掛ける信号弾が、打ち上がった。

「………ッ」

それに反応したアスランが息を飲むのが判る。つられてシンも現状を理解した。
戦闘はこれで終わりだと。

「…シン!」

『フリーダム』と戦っていた『レジェンド』が信号弾を合図に『デスティニー』へと近付き、撤退を促した。

「大丈夫か?」
「…あ、ああ」
「ならば戻るぞ」
短く言葉をかわし、シンはレイに促されるまま機体を旋回した。

「…っ、シンっ!」

アスランの声が、聞こえる。
まだ緊急チャンネルは開かれたまま。
モニターに彼の姿が映されたままだ。
しかしシンは眼を逸らし、損傷した機体を動かしてレイの後を追って飛び立った。

「シ、ンっ」

アスランの声が一瞬途切れる。

駄目だ。
まだ、話が、あるんだ。
云わなければならない事が、あるのに。

休戦を知らせる信号弾に安堵した所為か、一気に痛覚が蘇ってくる。
身体中が激しく痛みだす。
額を流れる血が、モニターに映るシンの姿を霞ませて。

「シ、…ン。お前、…メ、…リン…っ、殺…し、て…な…」

微かにシンが反応し、逸らしていた視線をアスランに向けた。

泣きだしそうなカオをしていて。

こんな呻く声では伝わらない。
はっきり云わなければならないのに。

モニターに映るアスランの姿を哀しげに見つめながら、シンは次第に遠ざかっていく。
それに追い縋るかのように、アスランはシートから身を乗り出してシンに叫ぼうとする。

「………ぐ、ぅ………っ!」

しかし、それは叶わない。

ズキン、と胸部の傷口がひどく痛んで。
パイロットスーツの中でぬるついた感触がした。
云えないままに、空の彼方に消えていくシンを赤く霞んだ視界でぼんやりと見つめながら。

「アスラン、アスラン!?」

モニターを通してキラの声が聞こえたような気がした。


「………………………シ、ン」

浅い吐息と共に、彼の人の名を呼んで。


かくん、と。


アスランは激痛に意識を引きずられるようにして。

追い掛けようと握り締めたレバーから手を離す事なく、シートに身体を沈めたまま、気を失った。



『ジャスティス』の手が握っていたビームサーベルが光を失った。
と同時に制御するパイロットの失神を表すかの如く、力を失い、空の中で、がくん、とバランスを崩した。
後ろに倒れこむかのように『ジャスティス』の機体が傾き、そして。

空から、墜ちる。

風を切るように落下していくも、体勢を整えようとしない『ジャスティス』をキラが追い掛ける。
「アスランっ、アスラン!」
何度呼び掛けても返事はなくて。
モニターも急にブラックアウトしたままだ。

完全に力を失った機体は巨大な鉄屑のように地上へと落下速度を早めていく。
キラは『フリーダム』のバーニアを全開にしてアスランに追い付き、海面に叩きつけられる寸前でその機体を抱き留める。
二機分の落下の衝撃をバーニアで中和させると、攻撃を避ける為に先程海の中に潜ませていたAAが海面に姿を現した。
そして『フリーダム』は『ジャスティス』を抱えたまま、帰投した。



アスランの記憶は、泣きそうな顔をした、少年の姿と。
青い空で眩しく輝く太陽だけが。
鮮明に焼き付いて、そして途切れた。
Category [ 時系列(No.07)【太陽】 ]
Thread Title[ 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY ]   Thread Theme [ アニメ・コミック ]
太陽 01(#43)
TB[ - ]  CM[ 0 ]   Edit   2005/12/10[ Sat ] 23:38
ラクスが差し出した真新しいパイロットスーツをアスランは纏う。

未だ満足に動けない身体で出撃しようとするアスランにメイリンが必死で考え直すよう説得したが、アスランの意志は変わらず、ラクスにも諭されて諦めたようだった。
今は黙ってアスランがパイロットスーツに着替えるのを手伝っている。

脚は打撲と捻挫だけですんだからまだ何とかなる。
しかし腕がひどい怪我を負っている。
特に左腕は微かに動かすだけでも激痛が走る。
胸部も折れ砕かれた肋骨の治療によって傷口は未だ塞がっていない。

こんな身体で凄まじいGに耐え切れるとは自分でも思わない。

しかし心は、行け、と告げている。

ならば素直に従おう。

元より心はシンに全て置いてきた。
あるのは肉体だけだ。
シンを救う為なら、果ててもいい。

その決意を胸に、アスランは再び格納庫へと行き、そうしてかつての愛機のコクピットへと姿を消した。

アスランの姿を心配そうに見つめていたメイリンの肩をラクスがそっと抱き寄せて。

「大丈夫ですわ。全てが終わるまで彼は必ず生きて戻ってきます」

そう、きっと。

キラから聞いた、少年を救う日までは、アスランは死なない、と。

メイリンが泣きそうになりながらも小さく頷いて。

どうか神様、いるのなら、アスランさんを守ってください。
シンも、お姉ちゃんも、皆も、どうか守ってください、と。

切実に祈った。


シートに座り、パネルを操作してキラが書き替えたデータを再び戻していく。
慣れた手つきで自分が扱いやすいように設定しながら、初期設定からして自分が扱う為に作られた機体だと改めて知る。

ふう、と。ひとつ息を吐いて。

確かにまだ胸部はひどく痛む。
出撃する前に医療スタッフに怒鳴られながらも鎮痛剤を処方してもらい、傷口の包帯も巻き直してもらった。

とにかく今は。

オーブを守る事。
シンを守る事。

シンがオーブを討つのを阻止する事。

それだけを思って。

目蓋を伏せ、そしてまた開く。



「アスラン・ザラ、『ジャスティス』出る!」

翡翠の眸は、もう揺らぐことがなかった。



カガリの新しき黄金の機体を、戦場はここではない、国家を守る事が何より大切だと、キラは行かせて。
代わりにシンと再び対峙する。

「何だよ…っ、何で、またお前が現われるんだよッ!。」

シンがコクピットで叫んだ。
一度は確かに撃墜した『フリーダム』がまた目の前に現われて、混乱よりも動揺よりも、憎悪が激しく沸き起こる。
何度もビームライフルを撃ちこんでも、あの青い翼はひらりとかわし、晴れた大空を自由に飛び回る。
接近してもあちらからビームライフルを撃たれ、また引き離される。
相変わらずコクピットを狙わず武装だけを狙ってくるのがシンの怒りを増長させる。
レイが駆る『レジェンド』も加わり、二機で立ち向かうも『フリーダム』はいとも簡単に攻撃をかわす。

しかし『レジェンド』の背面に装備されたドラグーンを見て、キラは一瞬過去に対峙した機体と、それを操っていた男を思い出し僅かに動揺していた。

「畜生!。一気にケリをつけてやる!」

『デスティニー』がライフルを連射しながらバーニアを吹かし、『フリーダム』に急接近した。
ライフルを避けながら宙を後退する相手に悟られる前に長刀を掴んで。
一気に振り上げた。

「うおぉーッ!」

これで最後だ。
本当に終わりにしてやる、と。

『フリーダム』めがけて対艦刀のアロンダイトが逃げ切れなかったその機体を切り裂いた、と思った瞬間。
『フリーダム』はひらりと宙を舞いながら『デスティニー』のアロンダイトを手刀で叩き落とした。

「…っ、くそ!」

簡単にかわされたばかりか、相手にすらしてもらえていない現状にシンが呻く。

「馬鹿にするなぁーッ!」

絶叫しながら再びビームライフルを連射する。
またもかわす『フリーダム』に今度は『レジェンド』のドラグーンが宙に散開し、集中砲撃を食らわして。
余りの砲撃の多さにキラは攻撃も出来ず逃げるしかなかった。

「今だ、シン!」

モニターの向こうのレイがシンに叫ぶ。
それを合図に『デスティニー』は一旦『フリーダム』から離れポジションをとるとビーム砲を構えた。

大型艦ですら沈める砲撃をこの距離で食らえば、いくら最強とうたわれた『フリーダム』でもひとたまりもない。

今度こそ、あの悪魔を仕留める!と。

シンが、『デスティニー』を操り、トリガーを引こうとした。

その時。


『やめろーッ!』


刹那飛び込んできた、声。

緊急チャンネルを開き、敵味方関係なく通信を繋ぐ方法で。

割り込んできた『声』と、コクピット内部の小さなモニターに強制的に映し出された『姿』。


「………………………え?」

『やめろ!、シンーッ!!』


また、聞こえてきた『声』。

今度は、シンの名まで叫んで。



シンは一瞬自分が、夢を見ているのだと。

愛しい人を『殺した』あの瞬間を何度も繰り返す悪夢か。

出会い、結ばれ、幸せだと思っていた頃ばかりを見た夢か。

どちらにせよ、何度も何度も夢で逢った、彼、が。




アスランが、今。

確かに、モニターの向こうに。



アスランが、シンの前に、居た。



生きて、いた。
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